義父母の存命時には、義父母と一緒に暮らして面倒をみることを約束に、家を建てる際に多額の援助をしてもらったにもかかわらず、義父の介護も、義母と一緒に暮らすことも義妹であるミツコ押し付けた、長男嫁・レイコと長男・一郎。そんな一郎とレイコは、老後に、いい大人になっても自由気ままに暮らす二男を抱えていました。レイコは二男とケンカが絶えず、一郎はそんな2人のケンカを受け流す、そんな毎日だったのです。
同じころ、娘たちにみんなで温泉に行こうと誘われていた三男嫁ミツコ。一方、レイコは、独立しない二男の洗濯物をたたみながら、「温泉に連れて行って」と夫に持ちかけるのでした。
イジワル長男嫁の末路とは…
日頃の感謝をこめてと、娘家族に有名な温泉旅館に連れて行ってもらい、最高の家族の思い出をつくってもらったミツコ夫婦。一方、温泉で癒やされたいと願っていたレイコは、家に住みついた二男の出費がかさみ、レイコ自身もパートに出なくてはならないほど。温泉旅行どころではなく、温泉の素で我慢するのみでした。
長男の嫁というだけで、弟嫁たちをこき使ってきたレイコ。それに対し、ミツコは家族みんなのことを考えて、理不尽なことにも耐えてきたミツコ。ミツコは「自分のやってきたことは間違いない」ということを誇りに、娘や孫たちに囲まれた幸せな老後を送るのでした。
---
ミツコとレイコ、それぞれの人生で楽しいことも苦しいこともあったでしょうが、どのくらい周りの人を幸せにしてきたか、ということで比べると、どうしてもミツコのほうが多かったのだろうなと感じてしまいます。そして、その差が彼女たちの老後を比べたときの差になっているのかもしれないと感じました。
自分のことは大切です。でも、人間は1人では生きられません。知らない誰かだって、自分のことを支えてくれていますし、自分が生きていくために大切な存在です。自分だけでなく、他人のことも大切にし、そして幸せにしていくことは、自分の幸せにつながっていく――そう強く感じるお話でした。