部屋の至るところに…
大学生のころに交際していた、アルバイト先の先輩。彼はフリーターでしたが、俳優になることを目指して頑張っていました。私は、彼の夢をひたむきに追う姿に惹かれたのです。
そして、私がそんな彼の家に遊びに行ったときのことです。
部屋に入ると……壁の至るところに、白い紙に黒いペンで書かれたポエムや格言みたいなものがびっしり貼られていました。それはトイレのドアの内側にまで貼られており、私は圧倒されてしまいました。
夢を追うことに酔いしれてない?
ただ、彼は自作のポエムにとても自慢げな様子でした。夢を追いかける姿勢は素敵ですが、びっしり貼られたポエムや格言に、私は夢を追うことに酔いしれているのではと思ってしまって……。笑うこともできず、ただ戸惑ってしまって何も言えませんでした。
彼はよく男友だちを自宅に招くこともあったようなので、彼の友人たちが、この部屋を見て何も思わなかったのか、私は不思議でたまりませんでした。
一度、彼に「こういうのを貼っていて、恥ずかしくないの?」とそれとなく聞いてみたことがあるのですが、「ものすごくいい詩なのに、なんで恥ずかしいの?」と真面目に言っていました。
結局、彼とは別れることになりましたが、そんな彼を、今もテレビで見かけることはありません。あの部屋にびっしり貼られたポエムたちは、彼の夢の痕跡だったのかもしれません。
著者:白川なぎ/30代女性・男の子のママ。YouTube鑑賞と推しのアイドルの聖地巡りが趣味。
イラスト:マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
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