この春からお子さんを保育園に預けるという方も多いかと思います。わが子には保育園で安心して楽しく過ごしてほしいと願っていると思います。僕が多くの子どもと関わってきた中でいろいろと見えたことがあります。それは、親の気持ちや対応次第で、子どもがよりつらい思いをすることもあるし、逆に安心して過ごすこともできる、ということです。そこで今回は、預けるときに知っておいてほしいことをお伝えしようと思います。
「ごめんね」や「かわいそう」と思うと子どもは不安になる
子どものプラスにならないので避けた方がいいというのが、子どもに向けて「預けられてかわいそう」という親の気持ちを醸し出すことです。
それまで一緒に過ごしていた子どもと離れるのは親としても心配や不安な気持ちがあることでしょう。それは当然のものです。僕自身も第一子を預け始めたときは、この子が知らない大人や子どもばかりのところで心細くならないだろうかといった心配を覚え、後ろ髪を引かれるような気がしたものです。
でも、仕事や事情があって預けなければならないのですから、そういう大人の思いは心にあってもあまり出さないようにした方がいいです。なぜなら、親が不安や心配を強く出していると、子どもは信頼する大人の気持ちに敏感なので、その気持ちが子どもにもうつって子ども自身の不安や心配が大きくなってしまいます。
すると、子どもは新しい環境にも慣れるのに余計に時間がかかり、よりつらい思いをすることになります。親の方も、園にいきたがらない子どもや、迎えに行くと泣いている子どもの姿に直面することが多くなり、より心配になりそれが子どもに伝わり……、という悪循環を引き起こしかねません。
つまり、親が「かわいそう」と思うと子どもは本当に「かわいそう」な状況になってしまうのです。では親はどうしたらいいのでしょうか、次にみていきましょう。
「必要だから預ける」という大きな気持ちで
子どもを預けるのはなにか理由がありますよね。仕事のため、病気の療養のため、出産のためなどなど。別に我が子を虐げようとして預けるわけではありませんね。どんな理由であれ、それは預けることが必要だからです。
なので子どもに対しては「必要だから預けるんですよ。だからあなたも頑張ってね」という気持ちでいた方が子どもは安心することができ、保育園での生活に慣れていきやすくなります。
基本的に、子どもには大きな順応性があるので、親は大きな気持ちでど~んと預けてしまった方がいいのです。もし、子供に対して「ごめんね」や「かわいそう」という気持ちがあっても、それは心のうちにしまっておいて、安心している姿や保育園を信頼している姿を見せてあげる方が園で安定して過ごせることにつながります。
登園時は「必ず迎えに来るよ」、お迎えの時は「ありがとう」
かわいそうとたくさん心配されるよりも、自身の頑張りを認めてもらった方が、子どもとしてもうれしく、また力にもなります。そこで、不安があるときはこんな風に気持ちの持ち方をかえてみたらいかがでしょう。
登園時
「私お仕事頑張ってくるから、あなたは保育園で楽しく過ごして待っててね。必ずお迎えに来るから大丈夫だよ」
泣いているからといつまでもそばにいたり、離れて安定したころに「心配だから」とまた部屋に戻って顔を出したり、あやしにきたりする人がいますが、これはかえって大人の持つ心配や不安感が伝わってしまい子どもを余計につらくさせてしまいます。子どもの前では、不安や心配は心の中にしまっておいて、あっけらかんと「いってきまーす。あなたもがんばってね~」とどこか他人事のようにまるで心配していないようなスタンスで。
お迎え時
「ただいま。あなたに早く会いたかったよ。あなたが保育園で過ごしてくれたから私お仕事頑張れたよ。ありがとうね」
できれば明るく「会いたかったよ~。ありがとうね」とハグをしてあげるなど。もしお迎えのときに急に泣き出したりしても、それはそれまで頑張っていた気持ちからの、安心感だったり、親に甘える気持ちだったりするので、そういった姿に直面して心配を募らせてしまうよりも、「そっか~、がんばって待っててくれたんだね。いつもありがとう」と子どもの気持ちを受け止めて安心させてあげましょう。
朝は笑顔で登園してあっけらかんと明るく預ける、そして帰りはありがとうという気持ちで子どもが頑張って離れて過ごしていたことを認めてあげる、そうすることで保育園でも安心して過ごしていけるようになると思います。
まとめ
ひとつ前の記事「「あぁそうなんだ」が子育てに重要なワケ」をご覧になりましたか?その中で「子どもに対してどこか他人事のようなスタンスをもちましょう」という話をしました。保育園に預けることについても心配がいっぱいよりも、どこか他人事のように思ってしまう方が子育ての安定化につながるかと思います。
どこか他人事のように「がんばって~」と言える親のスタンスは、実は子どもにとって「自分の力を信じてもらえている」という自信や安定につながる心の成長をもたらすからです。
そうは言っても、子育てに心配が起こるのも当然のことです。それが悪いわけではありませんよ。そういうときは自分一人で解決しようと思わずに、その気持ちを普段からパートナーや保育園など、周りに出していいんです。
頑張りすぎない、我慢しすぎない、自己犠牲しすぎないところで子育てのバランスをとっていきましょう。