
母の引っ越しが転機に
私は40代で大きな仕事を終えた後、仕事の依頼も来ず、何もやる気が起きなくなってしまったのです。その後、自分の周りで思いもしなかった大きな変化がありました。
それは、母の引っ越しです。
父はだいぶ前に他界しており、実家は母が1人暮らしで店舗を営んでいる状態でした。その母があれこれ悩んだ末、実家を引き払って私の自宅近くに引っ越すことにしたのです。
母は引っ越しが落ち着くと、また働き始めました。還暦をとうに過ぎ、大きな手術も経験している母が、知り合いのいない町にやってきて、面接で年齢を理由に落とされて落ち込んだりしながらも、なんとか仕事を見つけ、新しいことを覚えながら奮闘しているさまは、胸に迫るものがありました。
と、同時に「お母さんがこうして働いてるのに、娘の私がどうしよ〜ってクネクネしてるわけにはいかん」とも思いました。そこで、私も週3日ほどパートに出ることにしました。
会社員として働いていたのは20代の半ばまでなので十数年のブランク……。ワードもエクセルもろくに使えず、資格といえば自動車免許のみの私。学生時代にやっていたバイトはハードなもの(氷点下での交通警備など)ばかりなので、さすがに今の私には無理だろうと思いました。
どんな仕事が今の自分にとって合っているのか、そしてどんな仕事なら雇ってもらえるのか、さっぱりわかりません。自分の老け具合にヒイッと声をあげながら証明写真を撮り、ドキドキしながら履歴書や職務経歴書を準備しました。
最初に応募したのはホテルで、宣伝のためのチラシやウェブサイトを作る仕事。採用も不採用も一切連絡がないままで、「やっぱり年齢が……?」「それともスキルが……?」としばらく凹みました。
次が写真スタジオ。 一応採用はされたのですが、思っていた以上に仕事内容が多岐に渡っており、今の自分には難しいと感じて辞退させていただきました。
その次は広告会社。デザイン専門の部署では不採用でしたが、求人広告を扱っている別の部署で採用になりました。マンガを描いていることもペンネームもあえて伏せておいたので、「一応グラフィックソフトは使えるらしい自称イラストレーター」としての採用です(私が会社側の人間だったら絶対雇わないなあ……)。
思い切ってやってみることにしました。「似たようなことやってきたし、仕事はまあなんとかなるでしょー」と内心思っていたんですが……。




こんな感じで、しょっちゅう年下の上司をピリつかせております……(汗)。覚えることがものすごくたくさんある仕事で、最初は心も体もクタクタ。これは半年も持たないかも?と思っていましたが、しばらく続けてみたところ、いろいろと良い成果が出ていることに気付きました。
●生活リズムができた
●人前に出るのでおしゃれを楽しめるようになった
●新しいことを覚えたり会社の人と雑談するのが新鮮
●お給料がもらえる
などなど。 何より予想外の収穫だったのは、「私の気力が戻ってきたこと」です。久々に人と関わって仕事するうちに、少しずつ元気になり、時間をやりくりして自分の作品も作るようになりました。
やっぱり人間、気力は大事! しんどいことの多いここ数年でしたが、やっと一歩沼から這いずり出せた気がしています。これからも「もうBBAだから」と諦めず、一歩ずつ進んでいきたいところです。
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母の引っ越しを機に再び働き始めた和田さん。生活のリズムや気力が戻り、新しい挑戦につながりました。環境の変化を味方にできるといいですね。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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和田フミ江