やさしそうな女性に恐怖を感じた理由と真相
臨月も近い大きなおなかを抱え、1人でスーパーへ買い物に行ったときのことです。少し動くだけでも息が切れ、おなかの子に「もうちょっとだけ頑張ろうね」なんて心の中で話しかけながら、ゆっくりと商品を選んでいました。
そんなとき、見知らぬ年配の女性がふいに近づいてきて、「赤ちゃん、元気? あなた、大丈夫?」と穏やかに声をかけてくれました。そのやさしい口調に、少し張り詰めていた気持ちが和んだのも束の間、女性は「もし何か困ったことがあったら、ここに連絡してね」と言いながら、電話番号が書かれた小さなメモを私の手に握らせたのです。
予期せぬ出来事に、私は「え……?」と声を出すのが精一杯で、ただ固まってしまいました。親切心からだと頭では理解しようとしても、見ず知らずの人から突然連絡先を渡されるという状況に、正直なところ、恐怖を感じてしまったのです。「いったいどうして……?」という戸惑いと警戒心で、その場では感謝の言葉もそこそこに、会釈をしてそそくさと立ち去ってしまいました。
家に帰り、ようやく冷静になって、恐る恐る手の中のメモを広げてみました。そこには、電話番号とともに『〇〇地区 子育て支援ボランティア 鈴木(元助産師)』と書かれ、『1人で抱え込まないでね』というメッセージが添えられていました。
その文字が、あの女性の眼差しの意味を、すとんと胸に落としてくれました。 専門家のような、ではなく、専門家そのものの、温かくも真剣な眼差し。私の警戒心はすぐに消えていきました。 これは怪しい勧誘などではなく、地域に根差した、温かい善意のバトンなのだと理解できたのです。
そう考えると、じんわりと胸が温かくなるのを感じました。見ず知らずの私とおなかの子を気にかけてくれる人がいる。その事実に、驚きは安堵へと変わっていきました。
結局、そのメモの電話番号に連絡することはありませんでした。でも、あの出来事はい
ざというときには手を差し伸べてくれる人が地域にいるかもしれないと、私を心強い気持ちにさせてくれました。
そして、あの女性が私にかけてくれたように、私も誰かの不安に寄り添える人間になりたい、と思うように。今、子育てをする中で、道端で困っている様子の妊婦さんや小さな子を連れたお母さんを見かけると、何かお手伝いできることはないかと気にかけるようにしています。あの日の女性の親切が、今の私につながっているのだと思います。
著者:石田歩/30代女性/最近、家族4人でキャンプにハマり中。趣味はおいしいキャンプ飯を作ること。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
※生成AI画像を使用しています
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