キャラ弁を笑われた日
会社でのことです。昼休みに、持参した弁当を広げていたとき、同僚の男性が僕の弁当箱をのぞき込んで、「なんだその弁当w」と鼻で笑いました。
彼が見たのは、姪のために作ったキャラ弁の試作品。くまの顔をかたどったご飯や、たこさんウインナーなど色とりどりのおかずを詰めたもの。僕はもともと料理が趣味で、実はこのとき、幼稚園に通う姪を数日預かる予定がありました。姪が持って行くお弁当はかわいいものがよいだろうと、自分なりに試作していたのです。
「今度、姪を預かるので、お弁当の試作で……」
そう答えると、彼は「へぇ…」と苦笑してひと言。それは「男がそういうのを作るのはおかしい」と言いたげな口ぶりでした。「男が料理をする」のはなんらおかしいことではないと思いますし、何より「姪のためにかわいいお弁当を作りたい」という気持ちを踏みにじられた気がして、ショックでした。
ただ、何か言い返そうにも、うまく言葉にできませんでした。
通りかかった女性同僚から痛快なひと言
そのとき、女性の同僚たちが通りかかりました。その中には社長の娘である上司の姿も。
そして彼女たちは僕の弁当を見て、「え、すごい!」「かわいい!」と言ってくれたのです。「これ、全部手作り?」「どうやって作るの?」と興味津々の様子で、弁当を囲むように集まってきました。
そんな状況を見た男性の同僚が、「子どものためとはいえ、男がこんなかわいいのを作るって変じゃないですか?」と、女性の同僚たちに言っていましたが、女性同僚のひとりは、「子どものために作れるやさしさがあるって、素敵なことじゃないですか?」と口にして……。
その言葉に心がじんわりと温かくなり、悔しい気持ちがすっと軽くなった気がしました。
そして弁当を通して、女性同僚たちとは話が弾みました。料理が苦手な人は「参考にしたい」と言ってくれて、子どもがいる上司は「うちの子にも作ってあげたい」と目を輝かせて言ってくれたのです。
男性が料理好きでも変じゃない
昼休みが終わるころ、空気はすっかり変わっていました。最初に茶化してきた男性同僚も、終始居心地悪そうにしていて、最後は黙り込み……バツの悪そうな顔をして去っていきました。
この男性の同僚は「料理は女性がやること」という考えなのだと思います。でも、誰が料理をしてもいいし、「作りたい」という気持ちに性別なんて関係ないと思います。その後、試作をしたかいがあり、姪にはキャラ弁を喜んでもらえました。兄や義姉にも「作り方を教えてほしい」と言われ、素直にうれしかったです。自分のやっていることが認められる喜びは、想像以上に大きなものだと感じた瞬間でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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