大学時代、私には親友と呼べる友人がいました。しかし、その信頼関係はあっけなく崩れ去りました。
ある日、キャンパス裏で彼女が私の彼氏と手を繋いで歩いているのを目撃してしまったのです……。
親友の裏切りと残酷な言葉
「どういうこと!?」
その日の夜、混乱しながら電話で問い詰めると、彼女は悪びれる様子もなく笑いました。
「あー、見られちゃったか。まっ、別に隠すつもりもなかったんだけど。見たなら、もうわかってるでしょ? 私たち、付き合ってるんだよね」
「はぁ!? 彼は私の彼氏なんだよ!」と言うと、信じられない言葉が返ってきました。
「だから何? 正直なところ前から狙ってたんだよね。あんたより私のほうが似合うと思うし。別にいいでしょ」
私の彼氏は当時、学生起業家として大学内で知られていて、学内の広報からも取材を受けていました。
「将来性ある人の隣に立つのは、私のほうがお似合いなのよ。むしろ、あんたみたいな平凡女が彼女じゃおかしいんだから」
親友だと思っていた彼女から「平凡女」などと言われるとは思わず、絶句してしまった私。
「私のこと、親友だと思ってるんでしょ? これくらい許してよ~。私と彼なら、もっと華やかな勝ち組カップルになれるはずだし」
怒りと悲しみで言葉を失う私をよそに、彼女は「あんたの分も幸せになってあげるね」と言い放ち、一方的に電話を切りました。それきり、彼女とは連絡が取れなくなり、大学で彼女の姿を見かけることはなくなりました。彼氏を問い詰めようかと思ったけれど、これ以上傷つくのが怖かった私は、彼氏に連絡できませんでした。彼の方からも連絡がくることはなく、そのまま私は彼とは音信普通になりました。
数週間後――。
同じ講義を受けていた同級生の男の子から、「彼女と連絡が取れないか」と尋ねられました。教材を貸したままとのこと。事情を話すと、彼はとても驚いていました。
「君の彼氏を奪ったの!? あんなに仲良さそうにしてたのに!?」「彼と一緒に大学を辞めたって噂で聞いてたけど……本当なのかもね」
私の元彼が事業に専念するために大学を中退していたことは、私も知っていました。しかし、その同級生によると、親友も同じタイミングで退学届を出したそうなのです。
「はぁ……彼氏と同時に親友にも裏切られるなんて」
落ち込む私に、彼は「落ち込んでるときに、蒸し返すようなことをしちゃってごめん。教材のことは気にしないでね。それよりも、元気出して」とやさしく声をかけてくれました。
彼のその言葉に、私はどれだけ救われたかわかりません。
転落した元親友からの数年ぶりの連絡
それから数年後――。
あのあと、励ましてくれた同級生の彼と付き合い始めた私。大学を卒業してからも交際は続き、穏やかな日々を送っていました。
そんなそんなある日、スマートフォンの通知が鳴りました。SNSの見知らぬアカウントから、メッセージが届いたのです。
「ふざけんな!!! なんで、あんたが私より先に幸せになるわけ!?」
それは、音信不通になっていた元親友でした。
「私たちに裏切られて捨てられたくせに……! あんただけ順調に大学出て結婚なんて、許さないんだから!」
聞けば、彼女は共通の友人のSNSを辿って私のアカウントを見つけ出し、投稿された写真から、私が新たな彼氏と幸せそうに暮らしていることを知ったようでした。
「私がこんなにボロボロなのに……あんたが幸せとか本当にムカつくわ!」
しかし、彼女は「私こそが社長夫人になるのよ!」と言って、私から彼氏を奪ったはず。思わず「え? ボロボロって……?」と尋ねると、彼女からは荒々しいメッセージが返ってきました。
「どこまでもムカつくやつね……! 彼の会社なんて、とっくに潰れたわよ!」
彼女の話は衝撃的なものでした。元彼の会社は赤字まみれで倒産し、彼は夜逃げ。「すぐに返すから」と泣きつかれ、彼女はアルバイトで稼いだお金を彼に渡していたそう。彼に乞われるままにお金を貸し続けた彼女は、最終的には親をだましてお金を用意したそうです。
しかし、そのお金はそのまま彼に持ち逃げされてしまいました。大学中退で学歴もなく、まともな仕事も見つけられなかった彼女。実家を頼ろうにも、無断で中退したことがバレ、絶縁されたというのです。
「毎日、バイト掛け持ちして家賃だってギリギリよ! そんな時にあんたの幸せそうな顔見たら、腹も立つでしょ!」「こんなの絶対に許さない! 私のほうが絶対に幸せになるんだから! 覚悟しておきなさいよ!」
完全な逆恨みでした。一方的にメッセージを送り続けてくる彼女に、私は1通だけメッセージを返しました。
「いい加減にして。よくわからない脅しをされても、私は何も怖くない。謝罪する気もないなら二度と連絡してこないで。私たち『親友』じゃなくなったの、わかるよね? すべて自業自得よ」
勘違いした元親友の自業自得の結末
それから数週間後――。
元親友から再び連絡が来ました。今度はハートマークを散りばめたメッセージで、上機嫌そうです。
「そろそろ、私たちからの招待状が届いたかしら?」
「私は心が広いから、『親友』としてあんたを結婚式に招待してあげるわ!」
あわてて郵便受けをたしかめると、そこにはたしかに結婚式の招待状が。しかし、その中身を見て、私は目を見開きました。
「新郎の名前、見た? あんたの婚約者、私と結婚することになりました~!」「いやー、ついにやったわ! 今度こそ幸せをゲットね♡ やっぱり私のほうが、あんたより魅力的な女なのよ! どう? 悔しい?」
高笑いする彼女に、私は混乱していました。まさか、大学時代と同じことを、私相手に二度もしようとしてくるなんて……。
「今度はあんたの婚約者を奪っちゃった♡ごめんね~」
「私の幸せな花嫁姿、あんたに最前列で見せつけてあげるから!」
「私、もう結婚してるけど……?」
数年前に、すでに彼と結婚していた私。子どもにも恵まれ、あたたかな家庭を築いていました。
「私は大学の同級生と結婚したんだけど……。えっと……誰を、奪ったつもりなの?」
そう聞くと、「あんたの家からこないだ男の人が出てきたじゃない! 見たことない顔だった!」と彼女。
そこで、私はピンときたのです。
「あぁ、なるほど! それ多分、夫の元部下だわ!」
その元部下は、ミスばかりで会社を解雇されたばかり。その直後に住んでいたアパートで揚げ物鍋から火を出すボヤ騒ぎを起こし、行くあてをなくしていたのです。見かねた夫が「数日だけなら」とわが家に泊めていました。
「え……部下ですって?」と戸惑いを隠しきれない彼女に、私は「そう、根はいい子なんだけど……なんというか、本当にトラブルメーカーで。その彼が『住む場所見つかったんで』って予定よりも早く出て行ったから不思議に思ってたんだけど……行き先、あなたのところだったのね」と返しました。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 嘘でしょ!? てっきりあんたの婚約者だと思ってたのに……」 「いやぁ、笑っちゃうわね!」「じゃあ私……無職でとんでもないポンコツ男と入籍したってことになるじゃない!」
私よりも幸せになれると信じて疑わなかった元親友。どうしても受け入れられないようで、次々とメッセージが送られてきます。まともに取り合うことをやめ、私は彼女からのメッセージ通知を切りました。
その日の夜――。
夫にことの経緯を話すと、夫も大笑いしていました。
「あいつ、根は本当にいいやつなんだけど、とにかくドジでトラブルメーカー体質だからなぁ。奥さんもトラブルメーカー体質なら、お似合いだよ!」
私たちは、このまま2人がまとまってくれれば、と願うばかりでした。
しかし数日後、今度は彼女から泣きながら電話がかかってきたのです。
「お願い、助けて……! 結婚生活……現実が、想像の100倍ひどかった……!」
事情を聞くだけ聞いてみると、夫の元部下は無職のまま。さらにボヤ騒ぎの損害賠償として200万円を請求されていたのです。元彼の借金も抱える彼女は、新しい夫の借金まで背負うことになってしまったのでした。
「なのに彼、『夫婦になったんだから、一緒に返済頑張ろうな』って! 私の稼ぎから200万を払わせようとしてくるの!」 「こ、こんなの……地獄でしかないわ……! なんで私だけ、こんなことになるのよ!」「お願い、私のこと見捨てないで……! 今までのことはごめんなさい……全部私が悪かったわ……助けて……!」
ついに謝罪の言葉を口にした彼女に、私は静かに告げました。
「悪いけど、私はあなたを許すつもりはないから」「簡単に『助けて』とか言ってるけど、人の人生を何だと思ってるの? 私の人生を踏みにじったのは、あなた自身よ。薄っぺらいプライドのために私を蹴落とそうとした結果がこれ。私はもう関わりません」
そして、私は「それじゃ、お幸せに」と言い残し、彼女の連絡先をブロックしました。
その後――。
噂によれば、彼女は今も離婚できず、働かない夫と元彼の借金返済のため、さらにバイトを増やしたそうです。
人を傷つけ、見下して手に入れた幸せが長続きするはずがありません。他人のものを奪おうとすれば、結局は自分自身が大きな代償を支払うことになるのだと、彼女が教えてくれました。
私はこれからも、私を大切にしてくれる家族と共に、誠実に、穏やかな毎日を歩んでいこうと思います。
【取材時期:2025年10月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
マンションとかじゃなく一軒家みたいだし、一軒家なら表札出てるから、結婚してたら名字も違うだろうし、矛盾点が多すぎる!