こんにちは! 助産師のREIKOです。ママの産道を通って赤ちゃんが生まれてくる経腟分娩の過程で、急いで赤ちゃんを出産させなければいけなくなったときの手段として、前回、鉗子分娩についてお話しさせていただきました。
今回は、もう1つの手段である「吸引分娩」について、私が働いていた病院を例にお話ししたいと思います。
吸引分娩で使う器具はどのようなもの?
吸引分娩の際には、吸引カップという器具を使います。吸引カップには、金属製の金属カップとプラスチック製のソフトカップがあります。それぞれ、さまざまサイズがあり、状況によってどのカップにするのか、サイズはどうするのかを医師が決めて使います。
この吸引カップにチューブと吸引器を接続して使います。ソフトカップのほうが扱いやすいこともあり、私が働いていた病院では、吸引分娩のときにはソフトカップが多く使われていました。
吸引分娩になるケースって?
吸引分娩も鉗子分娩同様、ママの疲労などでお産が進まなくなってしまった、赤ちゃんが降りてくる向きが違っていてお産が進まない、赤ちゃんに苦しいサインが出ているなど、赤ちゃんを急いで出産させなければならないケースで選択されます。
吸引分娩も、子宮口が全開大したあと、吸引分娩が可能な位置まで赤ちゃんが下がってきているなどの条件が必要です。逆子ちゃんや赤ちゃんが向いている方法によっては、吸引分娩ができないことがあります。
吸引分娩だと、赤ちゃんはどのようにして生まれるの?
吸引分娩は簡単にいうと、吸引カップを赤ちゃんの頭に装着し、吸引圧をかけて赤ちゃんを引っ張り出すお産の方法です。
吸引カップを装着する位置や吸引圧によっては、吸引カップが赤ちゃんの頭から外れてしまうことがあります。しかし、吸引をかける時間や回数に関するルールがあり、それを超えると吸引分娩は中止となり、鉗子分娩や帝王切開など、ほかの方法をとる必要が出てきます。
吸引分娩のリスクって?
吸引分娩も、吸引カップをママの産道に入れてお産するということもあり、お傷が生じる恐れがあります。しかし、鉗子分娩のときよりは、大きな傷ができるということはあまりなかったように思います。
赤ちゃんの頭に吸引カップを装着して吸引圧をかけるので、ほかのお産より生まれた赤ちゃんの頭に「頭血腫(ずけっしゅ)」を生じることが多かったように思います。頭血腫は吸引によって、赤ちゃんの頭の骨の膜が剥がれ、そこに血液が溜まってしまう状態です。
頭血腫は、血液が自然に吸収されるのを待ちますが、日に日に大きくなることがあり、その影響で黄疸が強く出る可能性もあります。そのため、頭血腫のある赤ちゃんは毎日、頭血腫の大きさや黄疸の状態などを注意深く観察していました。
お産の方法はいろいろあります。イメージ通りにいかないこともあるかもしれませんが、どんなお産であれ、ママと赤ちゃんの安全と健康が第一だと私は思っています。
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監修者・著者
助産師 REIKO
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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