【医師監修】赤ちゃんの視力はどのくらい?新生児・乳児期の視力

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

 

赤ちゃん視力イメージ

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、視線が合わず、どこを見ているかわからないことが多いですが、月齢が進むにつれてだんだんと目が合うようになり、ママやパパのことを認識するようになっていきます。では、赤ちゃんの目は、新生児から1歳までの間にどのように見えるていくようになるのでしょうか。今回は、赤ちゃんの視力や、視力の発達のために気を付けることについて解説します。

 

 

赤ちゃんの視力

赤ちゃんが目にする世界はどんな見え方をするのでしょうか。各時期の赤ちゃんの視力は下記のようになります。

 

新生児

生まれたばかりのころは、明かりがぼんやりわかる程度の視力しかなく、その後、ママやパパの顔やおもちゃを見たりしながら、徐々に見えるようになっていきます。

 

生後1カ月ごろには、視力は0.01くらいになり、目の前で手を動かして、その動きが分かるぐらいの視力になります。

 

2カ月~5カ月

生後3ヵ月ごろになると、視力は0.02~0.03程度になり、ママやパパの顔をじっと見たり、目で物を追うこと(追視)ができるようになります。

 

6カ月~1歳

生後6カ月ごろになると、視力は0.04~0.08程度になり、視線がほぼ定まるようになってきます。両目でものを見て遠近感を正確に把握できるようになるため、おもちゃを手渡しで受け取ったり、触ったりすることができるようになります。また、ぼやけていても色や物の判別ができるようになります。生後8カ月ごろには視力は0.1程度になります。


1歳ごろになると、視力は0.2程度になります。つたい歩きができるころですので、立ち上がることによって赤ちゃんの目の位置が高くなり、視野も広くなってきます。

 

 

乳児期の視力を発達させるために気を付けること

目の構造は、生まれたばかりの赤ちゃんでもほぼ成人と同じ程度に完成しています。ですが、視力はわずかしかなく、視力が1.0になるのは4~5歳ごろになります。視力の成長に必要なのは物を両目で見て網膜から脳に刺激を加えるという経験を積むことです。

 

視覚の感受性の高い時期(生後1カ月から上昇し1歳半にピークを迎え、その後衰退しながら8歳ごろに消失します)に視覚の刺激が阻害されると弱視になってしまう可能性が高くなります。

 

乳児期の視力の発達に悪い影響を与えるものは下記のとおりです。

 

■長時間のメディア視聴
テレビやビデオ、スマートフォンなど幼児向けの番組を見せることもあるかもしれません。これらのメディア視聴は、目のピントを調節する筋肉が緊張するため、目に負担をかけ、視力に影響が出ることがあります。また、番組に集中することによってまばたきが減り、目の充血やドライアイの原因となります。画面と目の距離が近いと負担が大きくなるため、画面に近づけすぎないようにしましょう。

 

■眼帯
ものもらいができたときなどに付けることがありますが、乳幼児は短時間でも弱視の原因となります。


■斜視などの眼科的異常
目は左右両方が連動して動き、両目の視線が対象に対してまっすぐに向きますが、斜視では左右が違う方向を向いて視線が一致しなくなります。このため片方の目だけで物を見てしまい、反対の目は使われないため弱視となります。斜視以外の屈折異常や白内障などでも視力の発達が影響を受けることがあるので、正面から見て黒目がずれていたり、眼球が揺れている、目の大きさが左右で異なる、目の表面や中が濁ったり光っているように見える場合は病院を受診しましょう。

 

 

まとめ

0~2歳の視力の感受性は非常に高く、たった1日眼帯をしただけでも視力に影響が出るほどです。乳幼児の時期に顔を見て話しかけてあげましょう。視界を広くするため抱っこする、お散歩に行くなどしてあげると赤ちゃんの視力は発達し、目にとっては良い刺激となりますので、テレビやビデオをできるだけ控えて両親が赤ちゃんと関わる時間をもちましょう。目の感受性の高い乳幼児の時期は早期の治療が効果的ですので、赤ちゃんの目に異常を感じたらためらわずに病院を受診しましょう。日ごろの赤ちゃんの目にも注目して、問題がないか観察してみることも大切です。

 

参考:

日本小児眼科学会 子どもの眼の発達と年齢ごとの異常所見について <http://www.japo-web.jp/info_ippan.html>

日本小児科医会 スマホに子守りをさせないで <http://www.jpa-web.org/dcms_media/other/smh_leaflet.pdf>

日本眼科学会 弱視 <http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_amblyopia.jsp>
 

 

 

 

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