【医師監修】乳幼児の歯ぎしりの原因と対処法
赤ちゃんが歯ぎしりをするとビックリしてしまうママも多いかもしれませんね。実は歯ぎしりは5歳以下の乳幼児に多い症状なのです。何らかの不安と関連していることがあるため、必要に応じて寝る前に本を読んであげたり、お話をしてあげると良くなることもあります。一般的には一時的なものが多いのであまり心配せず経過をみるといいでしょう。ただ、歯ぎしりが強い場合や、なかなか治らない場合、歯への影響も出てくることがありますので、歯科に相談するといいでしょう。
赤ちゃんが歯ぎしりする時期は?
まず、そもそも赤ちゃんが歯ぎしりをするのかどうか疑問に思う人もいるかもしれません。歯ぎしりとは、歯をかみしめたり、ギリギリとすり合わせたりすることをいいます。英語ではブラキシズムと呼ばれ、寝ているときに起こす場合と起きているときに起こす場合の2パターンがあります。したがって、歯がまだ生えていない時期の赤ちゃんは歯ぎしりしませんが、赤ちゃんでも歯が生え始めれば歯ぎしりすることがあります。
乳歯が生え始める生後6カ月から、歯が増え始める生後8〜10カ月くらいの時期に歯ぎしりが始まることが多い傾向です。その後、上下の歯が生えそろう2歳半くらいまで続くことがあります。この期間の歯ぎしりは1〜2割程度見られるもので、さほど珍しいものではありません。乳幼児の歯ぎしりは不安と関連されているとされていますが、同様に指しゃぶりの発達現象の1つとして捉える考えもあります。
また、初めて生えてきた歯を自分で確かめてみるために、本能的に歯をすり合わせてみていることもあるようです。歯の生え始めは歯ぐきがムズムズするので、そのせいで歯ぎしりしていることもあります。そのため、あまり心配しないで見守ってあげましょう。
赤ちゃんの歯ぎしりは悪影響がある?
赤ちゃんの歯ぎしりは生理的なもので、成長の一過程のことが多いですから、ほとんど心配はいりません。歯が生えそろってくれば自然と治まります。ただ、原因は問題ないとしても、放置しておいて大丈夫なのか心配になる人もいるかもしれません。たとえば、子どもや大人の歯ぎしりであれば、「歯が削れてしまう」「歯並びが悪くなる」「歯が変形する」といった悪影響が心配されます。
その点、赤ちゃんの場合はほとんどのケースで悪影響はありません。精神的なストレスが原因の場合は、過度に歯ぎしりしてしまうこともあります。しかし、赤ちゃんのように歯の位置を確認したり、歯やあごを使ってみたりしているだけの歯ぎしりの場合は、歯を痛めるほどの強い力がかかることはほとんどありません。様子を見てあげて、特に問題がなければ、そのまま治まるのを待っていて大丈夫です。
ただし、まれにですが、歯にトラブルが生じるほど強い歯ぎしりが見られるケースもあります。もし歯が欠けたり、すり減ったりするようなら、一度歯科医を受診したほうがよいでしょう。乳歯は、やわらかいので少しの圧力で欠けることもあります。その場合は、欠けた歯で口の中をケガする危険性があるので、赤ちゃんが歯ぎしりする場合は口の中をこまめにチェックしてあげるようにしましょう。
赤ちゃんの歯ぎしりはどんなときに受診が必要?
赤ちゃんが歯ぎしりしているとわかっても、基本的には何もしなくて大丈夫です。歯ぎしりの多くは歯が生える時期に起こる一過性のもので自然に治まっていきます。歯科医を受診する必要もなく、家で様子を見てあげるだけで大丈夫です。ただ、何らかの対処法を取って歯ぎしりを減らしたいと思うこともあるでしょう。そのような場合は、歯がためグッズや噛むおもちゃなどを与えることで、歯ぎしりを減らすことが可能です。
赤ちゃんが歯ぎしりする理由は、歯の生え始めのころのむずがゆさを解消したり、歯の位置を確認したりして歯を使って噛むための練習をしているからです。そのため、噛むトレーニングができるおもちゃを与えれば、歯ぎしりをする必要がなくなるので、歯ぎしりを減らすことができます。赤ちゃんが自分で手に持って噛めるので、一つ用意しておくと便利です。
赤ちゃんの歯ぎしりは放置しても原則として問題ありませんが、受診したほうがよいケースも中にはあります。たとえば、歯ぎしりの程度が強かったり、2歳半ごろになって乳歯が生えそろってもまだ歯ぎしりが続く場合や、歯ぎしりのせいで歯が欠けたり、グラグラしたりしている場合です。このような場合は、生理的な原因ではなく、何か口腔内のトラブルを抱えている可能性があるので、一度歯科医を受診してよく診てもらうことをおすすめします。
まとめ
赤ちゃんの歯ぎしりは成長過程の一つで、生理的なものが多いので、まずは見守っていて大丈夫です。乳歯の生え始めに歯がむずがゆかったり、歯を使う練習をしたりしているだけなので、特に対処法は必要ありません。自然と治まるのを見守ってあげましょう。ひどい歯ぎしりや歯が生えそろった後も歯ぎしりが続くようなら、一度受診することをおすすめします。