【医師監修】離乳食を進める過程で赤ちゃんに卵を与えるときの注意点

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ゆでたまご

 

今回は、卵アレルギーについての説明と離乳食を進める過程で卵を与えるときの注意点についてお話しします。

 

 

離乳食を進める過程に卵アレルギー=卵白アレルギーは起こりやすい

人間の体には、体内の異物を追い出そうとする仕組みがあります。口から食べたものはこの仕組みが働きにくくなっていますが、特定の食品にはうまく働かないことがあります。これを食物アレルギーといいます。

 

原因となる食品を食べてすぐに湿疹やかゆみが現れるため即時型アレルギーとも呼ばれます。ときに重症のアナフィラキシーを起こすこともあります。乳幼児では、年齢とともに耐性が出てきますが、与え方や調理方法に工夫が必要です。

 

即時型アレルギー:
食物アレルギーの典型。原因食物の摂取後2時間以内にアレルギー反応による症状(湿疹や蕁麻疹、かゆみ、鼻水、くしゃみ、目の充血など)を示す。

 

アナフィラキシー:
原因食物の摂取後、数分~数時間以内にアレルギー反応による症状(全身に湿疹や蕁麻疹が出現、かゆみ、息苦しい、喘鳴、嘔吐、ときに意識レベルの低下)

 

離乳食を進める段階で、食物アレルギーを起こすことが多い食品は鶏卵です。卵黄と卵白ではタンパク質の種類が違い、卵白のタンパク質がアレルギーの原因であることが多いため、卵アレルギー=卵白アレルギーと考えます。

 

食物アレルギーだからといって離乳食を遅らせる必要はありません。かゆみなどの症状があれば、医師と相談し離乳食を進めます。

 

 

卵を開始するときは、20分ぐらい加熱しごはん粒1/10サイズから

卵アレルギーの原因となる卵のタンパク質は加熱することでアレルギー源としての働きは弱まります。卵黄は大丈夫でも、生卵や半熟卵、加熱時間の短い卵白ではアレルギー症状が出ることがあります。

 

卵を初めて食べさせるときは離乳食を開始して1カ月以上経過してから(およそ生後6~7カ月ごろから)、赤ちゃんの体調が良いときに新鮮な卵を20分間加熱して固ゆでした卵黄、もしくは炒り卵をごはん粒の10分の1程度にしましょう。 

 

初めて卵を食べさせるときや量を増やすときは、アレルギー症状が出てもすぐに受診できるように小児科が開院している時間帯(平日の昼間など)に与えるようにしましょう。

※参考;日本小児アレルギー学会 鶏卵アレルギー発症予防に関する提言 2017年

 

 

卵を開始するときは卵黄から

卵アレルギーの原因となるタンパク質は、加熱することでアレルギー源としての働きは弱まります。卵黄は大丈夫でも、生卵や半熟卵、加熱時間の短い卵白ではアレルギー症状が出ることがあります。


初めて卵を食べさせるときは離乳食を生後5~6カ月ごろに開始して、つぶしたおかゆから与え、慣れてきたら野菜、果物を、さらに慣れてきたら固ゆでした卵黄を与えます。卵は新鮮なものを選び、かたゆでした卵黄をすりつぶして多めの水分でのばしたものを耳かき1杯程度にして与え、少しずつ増やしていきます。初めて卵を与えるときや量を増やすときは、アレルギー症状が出てもすぐに受診できるように小児科が開院している時間帯(平日の昼間など)で、赤ちゃんの体調が良いときに与えるようにしましょう。

 

生後7~8カ月ごろは卵黄1個~全卵1/3個、9~11カ月ごろは全卵1/2個、1歳~1歳6カ月ごろは全卵1/2~2/3個を目安に与えます。

 

 

卵アレルギーかも? と思ったら

卵の加熱時間や加熱温度によってアレルギー源が弱くならず、アレルギー症状が現れることがあります。例えば、おかゆやうどんを卵とじにする場合や卵焼きを焼く場合、茶碗蒸しやプリンを加熱する場合はしっかり中まで火を通すことが大切です。ただし、しっかり火を通したつもりでもアレルギー源が弱くなっておらず、アレルギー症状が出てしまうことがあります。症状が出た場合は、小児科医あるいはアレルギー専門医の診察を受けましょう。重症度によっては、卵を完全に除去する必要がない場合もあります。
 
また、少しずつ卵が食べられるようになっても赤ちゃんの口の周囲だけが赤くなる場合は、卵のタンパク質が肌に付着して炎症を起こしている可能性があります。その場合は、医師の指示のもと、肌を守るために口の周りにワセリンを厚めに塗ってから食べるようにすることがあります。

 

卵を除去したほうがいいと医師が判断した場合は、卵の代わりに肉・魚・大豆でタンパク質を補うようにしましょう。卵と卵を含む加工食品、その他の鳥の卵(うずらの卵など)は離乳食で与えないように気をつけましょう。

 

ハンバーグなどのつなぎなどは、片栗粉などのでんぷん、すりおろしたじゃがいもやれんこんで代用します。離乳食の準備が負担にならないように卵不使用の肉や魚の加工食品、調味料、ホットケーキミックスなどをじょうずに使いましょう。なお、卵に含まれるタンパク質と、鶏肉や魚卵に含まれるタンパク質は異なるため、鶏肉や魚卵を除去する必要はありません。

 

 

 

授乳中の母親が卵を食べることを控える必要はありません

赤ちゃんが卵アレルギーと診断されても、授乳中の母親が卵を食べるのを控えたり、食べないようにする必要はありません。両親や上のお子さんに食物アレルギーがあった場合でも、母親が卵を食べることを制限する必要はありません。赤ちゃんが重症な卵アレルギーだったとしても、母親は卵を含む菓子類やパン類は食べてもかまわないことが多いです。

 

今のところ、妊娠中や授乳中の母親が特定の飲食物やサプリメントを摂取することで赤ちゃんのアレルギーを予防できる確実な方法はありません。

 

 

食物アレルギーを確実に予防できる方法はありません

卵に限らず、食物アレルギーを確実に予防できる方法はありません。乳幼児期に発症した卵・牛乳・小麦などのアレルギーは3歳までに約50%、5−6歳までに約60−70%が治ります。

※参考:食物アレルギー研究会 食物アレルギーの診療の手引き2017

 

食物アレルギーに限らずアレルギーは遺伝と環境によって発症すると考えられています。生まれて間もない時期から赤ちゃんの肌を清潔に保湿して健やかに保つことや、赤ちゃんの肌に食物アレルギーを起こす食品が触れないようにすることで、アレルギー性の湿疹を予防できることがわかっています。離乳食を開始するよりも前から湿疹がある場合は、湿疹の治療を優先しながら離乳食を進めたほうがいいこともあります。湿疹や離乳食の進め方については、小児科医やアレルギー専門医へ相談しましょう。

 

離乳食を開始して、食物アレルギーかもしれないと思ったときは、すぐに小児科あるいはアレルギー専門医に診てもらいましょう。何をどのくらい食べたのか、どのような症状が出たのかをメモや写真でもいいので持参して受診しましょう。

 

原因となる食品を除去した方がいいのかなど、どのように離乳食を進めていくかについては、医師の診断が重要です。医師は卵の調理方法によるアレルギー症状の現れやすさを参考に、食べられる範囲を決めていきます。親の判断で除去はせず、赤ちゃんがアレルギー症状に悩まされることのないように医師と相談しながら離乳食を進めていきましょう。
 

 

まとめ

親同士の口コミやインターネット上の情報には、食物アレルギーについて医学的根拠のない内容や体験談が含まれていて、正しい知識や必要な情報にたどり着くまで時間がかかることがあります。離乳食の進め方について相談したい場合は、居住地の保健所や保健センターの保健師・栄養士・助産師へ相談しましょう。食物アレルギーかな? と思ったら小児科医やアレルギー専門医のいる医療機関を受診しましょう。


参考:
厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド 2019年改訂版

日本アレルギー学会

日本小児アレルギー学会 鶏卵アレルギー発症予防に関する提言

 

監修者

医師 松井 潔 先生

小児科 | 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長


愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医


経歴

1986年 愛媛大学医学部卒業

1986-1988年 神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント

1988-1990年 同神経内科非常勤

1990-1992年 国立精神・神経センター小児神経科レジデント

1992-2005年 神奈川県立こども医療センター新生児科 医長

2005年− 同総合診療科 部長


著者

助産師 古谷真紀


一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー

大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。


2019/07/10


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