【助産師監修】お七夜とは?命名式との違いは?由来や現代の祝い方について
「お七夜」という行事のことについて聞いたことがありますか? 赤ちゃんが誕生した日を1日目と数えて7日目 (誕生6日後)の夜におこなわれる行事のことです。今回は「お七夜」についてお話しします。
「お七夜」の由来は?
「お七夜」は「おしちや」と読み、その発祥は古く平安時代から続いている民俗行事だと言われています。現代ではあまり考えられませんが、医療が十分に発達していない時代の赤ちゃんの生存率は低く、特に生後1週間が最初の山だと思われていました。そのためその1週間を母子ともに無事乗り切り、これからも元気に育っていくことを願う行事として伝わってきています。
また昔はこの日のことを「枕引き」「枕下げ」とも言い、母親が床上げをする日と言われていましたが、ここ数十年、母親が床上げをするのは産後4週間程度が定着していますので、「お七夜」の日に床上げをする家庭は今ではほとんどないようです。
さらにこの時に赤ちゃんの命名をおこなうことも多かったので、「お七夜」のことを「命名式」とか「名づけの祝い」と呼ぶ地方もあるようです。
そのため「お七夜」の流れとしては、産院などからもらった命名紙や半紙に赤ちゃんの名前を記入し、その後、赤ちゃんの両親や祖父母など身内の人たちで赤飯などのお祝い膳を囲むのが、一般的だと言われています。
現代の「お七夜」は?
残念なことに全般的に「お七夜」の行事は、以前ほど盛んにおこなわれなくなってきているのが現状です。その要因として以下のようなものが挙げられます。
▼生後7日目に家族で集まる余裕がない
里帰り出産は以前からもありましたが、最近では夫婦それぞれの出身地が遠いことも多く、時には夫が海外赴任中ということもあります。さらに昨今では、ネット環境が整備されてきていて毎日のように映像で赤ちゃんの姿を見ることもできますので、慌てて何度も飛んで行かなくても大丈夫だという点もあるでしょう。そして、とりあえずは「お七夜」の行事は夫抜きで妻の実家だけで軽くしていただき、両家の親族が揃ってのお祝いは「お宮参り」の日におこなうという家庭も多いようです。
▼産院での入院期間が短くなった
20年ほど前までは産院での入院期間は普通分娩の場合、1週間程度でした。ところが次第に入院期間が短くなり、最近では4、5日後には退院することが多くなっています。ですから以前の「お七夜」は退院の日の夜の「お祝い膳」として兼ねることができましたが、今ではこのリズムが崩れつつあります。この点も多少は影響を与えているのかもしれません。
▼産院で「お祝い膳」を用意してくれる
以前は病院食というと「おいしくない」というのが定番でしたが、最近ではどこの病院でも病院食の味が良くなっていて、特に産院ではその傾向が顕著です。そして極め付けは、退院の前日の夕食が豪華ディナーという「お祝い膳」でしょう。高級レストランにも引けを取らない内容ですし、もしもう赤ちゃんの名前が決まっていると誕生祝いのメッセージカードを添えてくれる産院もあります。そしてママと赤ちゃんとだけでその膳を囲むのでなく、夫がこられるなら夫と、来られない場合は実家のお母さんなどと一緒に食べることもできます。このようなイベントがあると「お七夜」を改めておこなおうという気持ちも薄れてしまうかもしれません。
「お七夜」をどんなふうにすればいい?
「お七夜」自体は赤ちゃんの誕生を祝う大切な行事ですので、できればきちんとおこないたいものです。そこで、どんなふうに「お七夜」をおこなえばよいのかまとめてみました。
▲生後7日目にこだわらない
生後7日目におこなわれるから「お七夜」と言うので、その日程にこだわらないとなると本末転倒のような気がしますね。でも無理に日程にこだわってしまい、結局「お七夜」ができないよりは、7日目という日程にはこだわらず夫の仕事の都合の良いとき、そして名前が決まった日などを勘案して「お七夜」としておこなったほうが結果的には良いこともあるでしょう。そしてなにより優先すべきはママと赤ちゃんの体調ですので、その様子をみながら計画してみましょう。
▲お料理にこだわらない
伝統的に日本でのお祝い事のお料理は、赤飯に鯛の尾頭付き、紅白のお麩が入ったお吸い物など、ある一定のしきたりがあります。もちろん「お七夜」のお料理としてこれらを準備できればいいですが、全部を揃える必要はありませんし、「お祝い」としての気持ちがこもっていればほかのお料理でも差し障りはないでしょう。特に初めての赤ちゃんのママは、慣れない赤ちゃんの子育てに疲れているかもしれません。せっかく揃えたご馳走もママの口に合わないと意味がありません。ママが食べたいお料理を中心にメニューを考えても良いでしょう。
まとめ
生後7日目という日程と日本古来からのお祝い膳にこだわらないとすれば、意外にすんなりと「お七夜」をおこなうことができるかもしれません。「新しい生命が生まれ、名前が付けられ、これからも元気に育っていってほしい」という家族の願いがこめられている「お七夜」であることが大切です。そのような思いで「お七夜」をおこなってみましょう。
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