【助産師監修】ノンストレステスト(NST)とは?おなかの中の赤ちゃんの状態がわかる!

ノンストレステスト イメージ

 

妊婦健診で妊娠後期になると実施される「ノンストレステスト(NST)」。具体的に何をみているのかわからない方も多いのではないでしょうか。ノンストレステストは、お母さんやおなかの中の赤ちゃんに負荷をかけることなく赤ちゃんの状態やおなかの張り有無がわかります。ここではノンストレステストの目的や検査内容、判断基準などについて詳しくお話ししていきます。

 

 

ノンストレステストとは?

NSTと略されることも多い「ノンストレステスト(non-stress test)」は、胎児心拍数モニタリングと言われる検査の1つで、おなかの張りがない状態でおなかの中の赤ちゃんが元気であるかを胎児心拍から評価するための検査です。これは、自然分娩に赤ちゃんが耐えられるかを見るためにもあります。産院によって異なりますが、だいたい妊娠34週前後に、必要に応じておこなわれます。

 

ノンストレステストをおこなうと、時間の経過とともに胎児心拍数や胎動、おなかの張りを記録できる胎児心拍数陣痛図(CTG)に波形で記されていきます。

 

おなかの中の赤ちゃんが元気であれば、胎動や内診、おなかを刺激したときなどに赤ちゃんの交感神経が刺激され、心拍数が増えます。心拍数の増加は、おなかの中の赤ちゃんの自律神経系が正常であることを示す反応のため、ノンストレステストでは胎動などで起こる心拍数の変化を利用し、胎児心拍数陣痛図に一過性頻脈と言われる波形が認められるかをみます。

 

 

ノンストレステストの方法は?

ノンストレステストは、お母さんのおなかに赤ちゃんの心拍数とお腹なかの張りを計る2つのセンサーを装着しておこないます。基本的には、上半身を約30°起こした姿勢でおこなうことが多いですが、その体勢がつらいときなどは、スタッフに相談してみると良いでしょう。

 

検査にかかる時間は、おなかの中の赤ちゃんの状態によりますが、最低でも20~30分程度の時間がかかります。おなかの赤ちゃんは、20分起きて20分寝ての40分の睡眠サイクルを繰り返しています。赤ちゃんが寝ているタイミングに測定すると元気である状態が見えずらく、赤ちゃんが起きるのを待つため、測定の時間が長くなる場合もあります。

 

 

ノンストレステストの費用は?

検査費用に関しては、妊娠・出産が病気ではないため、妊婦健診自体が健康保険の適応外になっています。そのため、負担額は2,000円前後がほとんどです。自治体からもらえる妊婦健診補助券が使える場合もありますので、産院で確認すると良いでしょう。ただし、切迫早産など治療でノンストレステストが必要な場合は保険の適応になります。

 

 

ノンストレステストの判定方法とは?

ノンストレステストは、時間の経過とともに胎児心拍数陣痛図に記された「胎児心拍数」に加え、「胎動」や「おなかの張り」などから判定されます。

 

【胎児心拍数陣痛図】

胎児心拍数陣痛図イラスト

 

●胎児心拍数陣痛図の見方

胎児心拍数陣痛図のグラフは、2本の波線が出ます。

上段に表示されているのが「胎児心拍数」で、おなかの中の赤ちゃんの心拍数になり、下段に表示されているのが「子宮収縮圧」で、おなかの張りになります。

真ん中の「■」で表示されているのは赤ちゃんが動いたときに表示される「胎動」となります。

 

赤ちゃんの心拍数のグラフについては、平らな状態よりギザギザと波打っている状態のほうが元気です。ただし、おなかの中の赤ちゃんが寝ているときは、動きが少ないので平らな状態が続くことがあります。おなかの中の赤ちゃんが起きて動いている状態だと心拍数が上がってギザギザが大きくなり、元気であると判断することができます。これを一過性頻脈と言います。

 

反対に胎盤の機能が落ちているときや赤ちゃんに元気がない状態だと、心拍数が下がったり、谷のように下に心拍がぐっと下がる場合もあります。赤ちゃんの状態によっては、入院や緊急帝王切開となる場合もあります。

 

下段のグラフはおなかの張りがあるかを示しています。おなかの張りがあると山のような形になり、おなかの張りが強く、時間が長いほど大きい山になります。このおなかの張りがどのくらいのペースで来ているかで、陣痛が始まっているのか判断することもできます。

 

おなかの張りが来たときや来たあとに、赤ちゃんの心拍数が下がるときがあります。そのようなときは、本格的な陣痛のときにおなかの張りの力も強くなるため、赤ちゃんが陣痛に耐えられないと判断され、帝王切開でのお産になることもあります。

 

 

赤ちゃんが元気でないと判断された場合は?

ノンストレステストでおなかの中の赤ちゃんが元気な状態ではないと判断されたときは、人工的におなかの張りを起こして、赤ちゃんの心拍数の変化をみるコントラクションテスト(CST)やノンストレステストに超音波検査を一緒に使い胎動や羊水量、呼吸の運動などを確認する検査をおこない、おなかのなかの赤ちゃんの状態を判断することになります。実際に、赤ちゃんが元気ではないと判断されたなかで状態が悪化しているケースは、50%未満と言われています。

 

 

まとめ

おなかのなかの赤ちゃんの状態を知ることができるノンストレステストは、赤ちゃんが陣痛に耐えられるのか、赤ちゃんは元気であるのかがわかる大切な検査です。赤ちゃんが元気ではないと判断された場合も追加検査などで詳しく調べられ、おなかの中の赤ちゃんの状態に応じた適切な対処につながります。ノンストレステストでは、おなかの中にいる赤ちゃんの心臓の音を聞けるチャンスがある検査です。赤ちゃんの心拍音を聞きつつ、リラックスして検査を受けられると良いですね。

 


監修者:Yuko

看護大学卒業後、大学附属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務、私立大学看護学部実習助手、市役所臨時職員を経てベビーカレンダーの記事執筆・監修に携わる。現在一児の子育て中。

 

 

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