妊娠中の性行為はあり? 控えた方がいい時期・してもいい時期と注意点

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妊娠中セックスのイメージ

 

妊娠中の性行為については、医師や助産師へ質問しづらいことと思います。今回は、妊娠中の性行為についてお伝えしていきます。

 

 

妊娠中の性欲について

妊娠初期(妊娠0~15週)は、ホルモンバランスの変化やつわりなどの体調の変化、妊娠をしたことへの緊張や流産への不安などの心理的な変化を理由に、妊婦さん本人の性欲が低下することがあります。
 
妊娠中期(妊娠16~27週)は、妊娠初期に比べて体調も心理的な面も安定することから、性欲が増すことがあります。少しずつ大きくなるおなかや乳房など体型や五感の変化を理由に性行為を喜びと感じることもあれば、性行為を避けたいと感じることもあります。
 
妊娠後期(妊娠28週以降)は、妊娠中期と同じように体型や五感の変化を理由に性行為を肯定的にとらえる妊婦さんもいれば、おなかの張りや出血、出産することへの期待や不安などが入り混じることで、性欲が低下することもあります。
 
妊婦さんの性欲は、いずれの週数においても個人差があり、妊娠期間中の生理的な変化に伴って増減することがあります。それは妊婦さん本人の気持ちが大きいものですが、パートナーとの関係性によっても左右されます。性欲が高まる妊婦さんがいる一方で、パートナーの体臭が苦手になる、手を繋ぐことはできるけどキスは受け付けないなど、パートナーに対して愛情はあるものの、一時的に性的なコミュニケーションを苦痛に感じることもあります。また、パートナーの性欲も個人差があり、妊婦さんや赤ちゃんのことを心配して性欲が低下する人もいれば、妊娠した安堵感や避妊をしなくていい解放感から性欲が増す人もいます。

 

 

妊娠中に性行為をしても大丈夫?

妊娠経過が順調で、妊婦さん本人の体調が良く、担当医から性行為を控えるように注意を受けていなければ性行為をしても問題ありませんが、次のような状況では性行為を控えるようにしましょう。
 
・おなかの張りがある
・出血がある
・子宮頸管が短くなっていると診断されている
・前置胎盤もしくは低置胎盤と診断されている
・赤ちゃんが逆子(骨盤位)と診断されている
・医師から安静にするように指示されている
・その他、医師から性行為を控えるように注意されている

 

妊婦さんの性欲が低下している場合や妊娠経過によって性行為を控える場合は、パートナーの性欲をどのように処理するかをカップルで十分に話し合うことが大切です。

 

 

妊娠中の性行為が妊娠経過や胎児に与える影響について

妊娠初期は、性行為が流産の原因になるかもしれないと心配される方もいるでしょう。しかし、妊娠初期の流産の原因はほとんどが遺伝子や染色体の異常によるもので、胎児側の理由なのです。過激なこと、乱暴なことをしなければ、特定の行為が原因で流産になるというわけではありません。


また、妊娠中の乳頭刺激やオーガズムは、子宮を収縮させるオキシトシンというホルモンの分泌を促しますが、妊娠経過が順調であれば、陣痛に直結するほどの作用はありません。また、精液の中には子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質が含まれていますが、こちらも妊娠経過が順調であれば、陣痛に直結するほどの作用はありません。


性行為によって腟内にペニスを挿入しても、胎児に直接触れることはありませんが、ペニスの挿入を伴う性行為によって、細菌感染を起こす可能性があります。HIVや梅毒、クラミジアなどの性感染症は、赤ちゃんの健康状態に影響するため、妊娠中に検査をします。もし、妊婦さんの検査結果が陽性、つまり感染しているとわかった場合は、パートナーも検査と治療を受けましょう。完治するまではセックスをしてはいけません。腟炎や子宮内感染などを予防するために、必ずコンドームを使用しましょう。

 

 

 

妊娠中に性行為をするときの体位と注意点について

妊婦さんが心身共に負担にならない体位であれば、どのような体位でも問題ありません。腹部を圧迫しない、浅い結合で子宮を刺激しない対位が望ましいです。パートナーは両手で自分の体を支えるなど、妊婦さんのおなかを圧迫しないように工夫しましょう。また、感染症を防ぐためにも、コンドームを装着して、ペニスを深く挿入しないように注意しましょう。
 

妊婦さんが性行為中におなかの張りを感じた場合は、中断するようにしましょう。また性行為後に、おなかの張りや出血、破水など異常を感じたら必ず受診しましょう。

 

 

 

産後の性行為について

産後の1カ月健診で特に問題なければ、性行為は開始しても大丈夫です。しかし、体は回復していても、子育てが始まり親になることを優先する生活のなかで、いつの間にかセックスレスになるカップルも珍しくありません。妊娠中と同じように、性欲には個人差、男女差があることをお互いに理解して、自分たちにとって心地よいコミュニケーションの取り方を話し合いましょう。

 

 

まとめ

妊娠中は、生理的な変化や心理的な変化によって妊娠前と同じように性行為ができるとは限りません。妊娠中の性欲については個人差があること、男女で気持ちに温度差が生じやすいことをお互いに理解し、カップル間で良い関係を築くようにしましょう。

 

参考:

産婦人科診療ガイドライン産科編2017
・助産師基礎教育テキスト妊娠期の診断とケア 編集:森恵美 日本看護協会出版2018年版

 

 

監修者

医師 天神尚子 先生

産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長


日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。


経歴

1981年 日本医科大学医学部卒業
1988年 米国ローレンスリバモア国立研究所 留学
1994年 日本医科大学 産婦人科学講師
1995年 東京都教職員互助会三楽病院 産婦人科科長
1995年 日本医科大学 産婦人科学客員講師
2004年 三鷹レディースクリニック開業

 

■所属学会

日本産婦人科学会
日本女性医学学会
日本生殖医学会
日本産婦人科乳腺医学会

 

■メディア履歴

【雑誌】

妊婦さんの出産準備を応援する雑誌「Pre-mo(プレモ)」(主婦の友社発行)

「マタニティ」(学研プラス発行)

「妊すぐ」(リクルート発行) ほか多数

 

【テレビ・ラジオ】

NHK『ニュース シブ5時』でPMDD(月経前不快気分障害)セルフチェック!の取材

患者さんから先生へ感謝の手紙を紹介する番組『Letters~感謝の手紙~』(テレビ東京)

TBS『アッコにおまかせ!』で産後うつについてコメント 他

 

【その他メディア】

妊娠・出産・育児の情報サイト『ベビーカレンダー』監修者
生活総合情報サイトAll Aboutで産後ブルーについての記事執筆
妊娠・出産・育児に関する情報サイトgooベビーで診察室から 最近の診療現場で感じることの記事執筆


2018/10/25

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