【医師監修】妊婦さんは湿布を使っても大丈夫? 妊娠中に湿布を使う場合の注意点

この記事の監修者

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

妊婦湿布のイメージ

 

妊娠中に肩こりや腰痛などに悩まされ、湿布を貼りたいと思う妊婦さんもいると思います。今回は、妊娠中に湿布を使うことができるのかお話しします。

 

 

妊娠中の湿布の使用について

妊娠中に湿布を使う場合は注意が必要です。湿布には、痛みをおさえる効果をもつ鎮痛剤の成分が含まれています。鎮痛剤の成分は、湿布を貼った患部の皮膚から吸収され、痛みを和らげる効果があります。妊娠中にお母さんが湿布を使った場合、湿布を貼った皮膚からお薬の成分が吸収されて、その成分の一部がお母さんの血液に混ざって全身を巡り、胎盤を通過して、赤ちゃんの体へたどり着きます。


湿布に含まれる代表的な成分は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)という成分ですが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、赤ちゃんの心臓に影響を及ぼすことがわかっているため、妊娠中は下記の成分が含まれる湿布は使ってはいけません。

 

【非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) の成分名】
・ロキソプロフェンナトリウム水和物
・ケトプロフェン
・インドメタシン
・フェルビナク
・ジクロフェナクナトリウム など

 

妊娠中に耐えがたいほどの肩こりや腰痛に悩む場合は、自己判断で市販の湿布は使わず、医師や助産師へ相談しましょう。妊娠前から関節リウマチなどで、日常的に湿布を使っている場合は、痛みを和らげる方法を主治医と相談しましょう。

 

上記の鎮痛剤の成分が含まれていない湿布、冷却機能のみの湿布は妊娠中に使っても大丈夫です。おすすめはしませんが、応急処置としてやむを得ず市販の湿布を購入する場合は、必ず薬剤師へ妊娠中であることを伝え、相談してから購入しましょう。また、自宅に常備している湿布を使う場合は、上記の成分が含まれていないことを必ず確認してから使いましょう。

 

 

妊娠中に湿布を使った場合の影響は?

妊娠中期(妊娠16~27週)に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれている湿布を使った妊婦さんに、羊水過少(通常よりも羊水の量が少ない状態)が起きたケースが報告されています。また、妊娠後期(妊娠28週以降)に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれている湿布を使ったことで、おなかの中の赤ちゃんに胎児動脈管収縮(赤ちゃんの心臓にある動脈管という大切な血管が収縮して、心不全や全身にむくみが生じやすい状態)が起きたケースが報告されています。(※1)


この報告をふまえて、産婦人科では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含まない湿布を処方するように対応しています。産婦人科以外の診療科を受診して、もし湿布を処方された場合には、成分について必ず医師や薬剤師に確認しましょう。 


妊娠に気づく前から日常的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の含む市販の湿布を使っていた、あるいは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の含まれる湿布だと知らずに使い続けていた場合には、医師へ相談しましょう。

 

 

湿布に頼らないための予防法と対処法

自己判断では使用できない湿布ですが、では、湿布を使わずに違和感や痛みを和らげるなどの対処方法はあるのでしょうか? ここではいくつか対処の方法について解説します。

 

まずは医師や助産師へ相談する

日常的に肩こりや腰痛に悩む場合は、医師や助産師へ相談しましょう。痛みには個人差があり、妊娠に伴う単なる痛みなのか、他に理由があるのかは診察しないとわかりません。妊娠前から関節リウマチなど痛みを和らげる目的で湿布を使っていた場合は、主治医と相談しながら治療を続けましょう。


わざわざ受診するほどではないからと市販の湿布を使う妊婦さんもいますが、湿布は痛みを一時的に和らげるもので、痛みの原因そのものを取り除くことはできません。本やwebの情報、口コミなどを見て自己判断だけで使わないようにしましょう。

 

ストレッチをする

妊娠中に起こりやすい肩こりや腰痛に関しては、運動不足が影響しています。運動といっても、妊娠前に運動習慣のない妊婦さんが息の上がるような運動をすることや、運動が好きな妊婦さんであっても飛んだり跳ねたり走ったりするレベルは不要です。腕を上げ下げする、肩を回す、手を組んで背伸びをするなど、簡単なストレッチを1日数分でもいいので毎日コツコツ続けましょう。

 

急激な体重増加や負荷のかかりやすい動作に注意する

急激な体重増加は腰痛の原因になります。妊娠後期(妊娠28週以降)は体重増加しやすい妊婦さんもいますので気をつけましょう。


第2子以降の妊娠中で、上のお子さんが小さい場合、日常的にかがむ姿勢が頻回であったり、抱っこやおんぶの負荷が体にかかりやすい状況が続くと痛みが生じやすいことでしょう。家事や仕事を身体に負荷がかかったままの状態で継続せず、座っておこなう、できるだけ動作をする回数を減らすなど心がけましょう。


痛みが生じた状態に骨盤ベルトなどの補助道具を使うことで、さらに痛みが増したり、痛みの原因を取り除くこと自体が難しくなっているケースもあります。腰痛=骨盤ベルトという風潮がありますが、必ずしも必要というものではありません。もし装着する場合は、製品について正しく教えてくれる専門家やトレーナーの指導を受けながら使うようにしましょう。

 

 

まとめ

妊娠中は、自己判断で湿布を使わないようにしましょう。湿布に限らず、おなかの赤ちゃんに影響する鎮痛剤の成分が含まれているゲル剤やクリームや薬も、妊娠中は避けましょう。体に痛みがあるときは、担当医や助産師へ相談しましょう。
 

鎮痛剤の成分について、詳しい情報を知りたい場合は担当医に相談するか、「妊娠と薬情報センター」(※2)などを利用してください。

 

 

参考:

※1 平成26年度 医薬品・医療機器等安全性情報(No.312-321) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 

※2 妊娠中・授乳中のお薬Q&A | 国立成育医療研究センター

 

 

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