【医師監修】妊娠の兆候はいつあらわれる?

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師福岡 正恒 先生
産婦人科 | 産婦人科医

京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医、京都大学医学博士。

妊娠の兆候のイメージ

 

妊娠を望んでいる方にとって、まだ妊娠検査薬の使えない妊娠のごく初期に当たる時期は、妊娠しているのかどうかわからず、非常にもどかしい時期ですよね。この症状は妊娠の兆候かなと検索をする方も多いと思います。妊娠のごく初期は、人によっては症状がまったくないこともありますが、妊娠の兆候となる症状が出る場合もあります。ここでは、そんな妊娠の兆候や初期症状についてお伝えしたいと思います。

 

 

妊娠の兆候や初期症状はいつから起こる?

妊娠しているかを確かめる方法として、妊娠検査薬があります。妊娠検査薬は、検査薬に尿をかけることで妊娠しているかどうかを簡単に判定することができます。最近の市販の検査薬は、妊娠4週頃にあたる、生理予定日頃から検査できるものが一般的で、妊娠したと推定される日(排卵日前後)からいうと2週間ほど後になります。もし妊娠していた場合、女性の体には次のような変化が起こります。

 

妊娠2週目(最終生理開始日から14日目)

排卵後、卵管の中で受精が成立し、受精卵が細胞分裂しながら卵管を通って、子宮へと移動していきます。

(※妊娠週数は最終生理日からカウントされていくため、排卵前の「妊娠0週~1週」とは、実際にはまだ妊娠していない状態です)

 

妊娠3週目

受精卵が子宮に到着し、子宮内膜に着床します。ここで初めて妊娠成立となります。

 

妊娠4週目

妊娠していなければ、生理が開始する時期です。妊娠していれば、徐々にホルモンの分泌が増え、hCGホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)が尿中に分泌される時期です。hCGホルモンは妊娠しないと分泌されないホルモンで、妊娠検査薬はこのホルモンの量で妊娠の有無を判定します。妊娠検査薬でも感度が高く、早期にチェックできるものは、この時期に妊娠の判定が可能です。

着床して初めて「妊娠成立」となりますので、「妊娠3週目」までは受精卵がまだ子宮内膜に着床しておらず、はっきり妊娠しているとはいえない状態です。着床するとhCGなどのホルモンが分泌され始めるため、妊娠の兆候が出るのは、早くても妊娠3週目以降となります。ただし、この頃の症状は、妊娠していない周期の生理前に出る症状と大きな差がなく、症状がはっきり出てくるのは4~5週以後のことが多いです。また、排卵日は月によってずれることもあるので、こうした症状の出方は、自分の予測とは必ずしも一致しない可能性があります。

 

 

妊娠兆候・初期症状はどのようなものがある?

妊娠の兆候や症状は、個人差が大きく、症状の出方は様々です。妊娠の兆候や初期症状をいくつかご紹介します。

 

基礎体温が高い時期、もしくは微熱が3週間以上続いている

基礎体温を計測していると、妊娠していることを知るのに役立ちます。月経周期が規則的な場合、高温期は通常2週間ほど続いた後、低温期に変わり生理がきます。そのため、高温期が3週間近く続くと、妊娠の可能性が高いことがわかります。また、基礎体温を測っていない場合でも、熱っぽい感じが3週間以上続く場合、妊娠によって高温期が持続している可能性があります。

 

胸の張り・乳首が過敏になったり、痛みを感じる

妊娠すると女性ホルモンの分泌が増えるため、乳房の張りなどの症状が出る場合があります。この作用は、プロゲステロンという女性ホルモンの影響が大きいです。

 

強い眠気

プロゲステロンは眠気を起こす作用があるため、眠気が強くなる場合があります。睡眠を十分とっているはずなのに、日中も眠気が続いたり、仕事や家事に影響が出ることもあります。

 

軽い風邪の症状、だるさ、吐き気、胃の不快感、頭痛、めまいなど

ホルモンバランスの変化によって、軽い風邪のような症状や、からだのだる重い感じ、疲労感などを感じる場合があります。吐き気や胃の不快感など、つわりのような症状が出る場合もあります。

 

生理とは違う少量の出血がある

着床時に少量の出血が起こる場合があり、生理予定日の約1週間前あたりに出血があれば着床出血の可能性があります。また、妊娠初期に少量の出血があることは珍しくなく、いつもより量の少ない生理だと思っていたら妊娠していたというケースもあります。

 

唾液分泌が多くなる

よだれつわりと呼ばれる唾液の分泌が多くなる場合があり、つわり症状と相まって、唾液を飲み込むのもつらいという状態になる方もいます。

 

精神面の変化

些細なことでイライラする、不安になる、涙が出るなど、精神的な変化が起こる場合があります。

 

食事面の変化

食の好みの変化が起こる場合があります。例えば、酸っぱいものや酸味のあるものを摂りたくなることが多いようです。また、においに敏感になる場合もあり、においのきついものや炊き立てのご飯の香りなどで吐き気が誘発されるケースもあります。

 

寝汗をかく

妊娠中は高温期の状態が持続するため、体温が高くなり、寝汗をかきやすい状態になっています。

 

肌トラブル

吹き出物ができたり、肌の乾燥や脂っぽくなるなど、肌の調子が悪くなる場合があります。

 

便秘や下痢

ホルモンの変化によって、便通が乱れる場合があります。

 

 

妊娠の初期症状が起きたら気を付けること

妊娠初期症状は、妊娠以外でも体調不良や月経前症候群(PMS)などの症状とも似ているので、妊娠による症状ではない場合もあります。しかし、妊娠の可能性が少しでも考えられる場合、次の点に注意して過ごすようにしましょう。

 

飲酒・喫煙

飲酒や喫煙は、赤ちゃんに悪影響を及ぼすことが知られています。妊娠中にアルコールを多く飲むと、発育や知能に影響がある胎児性アルコール症候群になったり、さまざまなリスクの原因となります。

 

また、妊娠中の喫煙は、赤ちゃんに酸素が十分に低酸素状態を引き起こし、発育障害や低出生体重で産まれる確率が高くなります。流産の発生率も約2倍、早産率も約1.5倍となります。

 

妊活中の期間は飲酒や喫煙をしないことが大切です。

 

風邪薬など薬の服用

妊娠の影響で体がだるくなったりすると、風邪かと思って風邪薬を飲みたくなるかもしれませんが、赤ちゃんへの影響が考えられるため、安易に薬を使うことはやめましょう。特に妊娠4週目から7週目は絶対過敏期といわれる時期で、赤ちゃんの重要な器官が形成される時期です。

 

薬の影響によって奇形となる危険性があるため、もし何かの薬を飲む必要がある場合は、医師に妊娠の可能性があることを伝えて安全なものを処方してもらうようにしましょう。

 

 

まとめ

妊娠の兆候・初期症状は人によっていろいろな症状がありますが、共通していえるのが、いつもとなにか違うという感覚です。しかし、この感覚が風邪や病気によるものなのか、妊娠によるものなのか、妊娠検査薬が使える時期までははっきりわかりません。もし、妊娠の可能性がある場合には、飲酒や喫煙はやめ、自己判断での薬を使うこともやめておきましょう。妊娠検査薬が使える時期より前に、妊娠の可能性をいち早く知ることができますので、妊娠を希望されている方は、基礎体温をつけることをおすすめします。

 

 

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