【医師監修】妊婦さんは牛乳を飲んでも大丈夫?

この記事の監修者

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

妊婦さんと牛乳

 

妊娠中に摂取する飲食物がおなかの赤ちゃんにどんな影響を与えるか気にしている妊婦さんは多いでしょう。特に三大アレルゲンの1つである牛乳の摂取には気を使っている人も少なくありません。今回は、妊娠中に牛乳を飲んでも大丈夫か、飲む際に気を付けることはあるのか、牛乳を飲むことと牛乳アレルギーは関係があるのかについてお話ししていきたいと思います。

 

 

牛乳に含まれる4つの栄養素とは?

牛乳に含まれる栄養素は、カルシウムをはじめとしたタンパク質、炭水化物、脂質、ナトリウムなどです。


カルシウムは、骨や歯を形成する重要な成分になります。体内で生成することのできない成分のため、食物や飲料で摂取するしかありません。不足すると骨が充分に成長せず、骨粗鬆症の原因にもなりやすいです。カルシウムには筋肉の働きを正常にする働きや精神を落ち着かせリラックスさせる働きも持っており、陣痛を適切に起こす大切な成分の1つになります。


タンパク質は、体内で作ることのできないアミノ酸が含まれており、食物で摂取するしかありません。筋肉や肌を作るような成分です。日本産婦人科医会によると、妊娠中の母親の炭水化物の1日の摂取量が少ないと子どもの体脂肪率が多くなり、小児肥満の決定要因になります。


脂質は、人体を動かす際のエネルギーとして利用されている成分です。摂取しすぎると高血圧になりやすいため、適度に制限する必要があります。脂質はブドウ糖と同じく妊婦さんの活動エネルギーとして使われる成分です。しかし、おなかの赤ちゃんはブドウ糖をエネルギーとして活動しており、脂質は利用していません。そのため、脂質が体内に残りやすく、コレステロール値が高くなる原因となります。生命活動に必要なエネルギーですので、まったく摂取しないというのも問題です。しかし、摂取のしすぎにも注意が必要でしょう。


ナトリウムも人体を動かす際に必要なエネルギーです。脂質と同じく、取りすぎると高血圧や妊娠中毒の原因となります。こちらも生命活動に必要なエネルギーですので、摂取量に注意が必要です。
 

 

おなかの赤ちゃんに影響はないの? アレルギーの心配は?

牛乳は複数の栄養素をバランスよく含んでいるため、妊娠中に積極的に摂りたい食材です。特にカルシウムの含有量が多く、他の食材と比べてもトップクラスを誇ります。製品によっても異なりますが、コップ1杯分(200ml)の牛乳には約220mgのカルシウムが含まれています。シシャモ3尾(45g)のカルシウム量が約149mg、小松菜(70g)のカルシウム量は約119mgです。


牛乳は、三大アレルゲンに指定されています。そのため、妊娠中に飲むことでおなかの赤ちゃんがアレルギーを引き起こす原因になるのでは? と不安に思う人もいるでしょう。しかし、厚生労働省によると妊娠中・授乳中に母体が摂取した飲食物が原因で胎児がアレルギー性疾患を発症するといった明確な根拠は見つかっていません。むしろ、食事制限によって妊婦さんの体重増加不良や胎児の成長不良が心配されるため、医師から禁止されていなければ摂取しても問題ないでしょう。


三大アレルゲンというと、牛乳以外にも「卵」や「小麦粉」があげられます。卵や小麦粉も牛乳と同様で、お母さん自身がアレルギーを持っているなどの理由がなければ摂取することに特別な問題はないとされています。ただし、特定の食材だけを食べ過ぎるのは栄養素の偏りが発生します。赤ちゃんの健全な成長を阻害する可能性だけでなく、お母さん自身の健康に悪影響をおよぼす可能性があるため注意が必要です。

 

 

妊娠中の女性が牛乳を飲むときに気を付けておきたいこと

妊娠中の女性が必要とするカルシウムの摂取量は1日650mgです。これは妊娠していない女性が必要とするカルシウムの量と同じになります。妊娠中期から後期は胎児の骨や歯の形成でカルシウムが使われ、カルシウム不足になりやすいです。そのため、牛乳はカルシウムの保有量も多くカルシウムの吸収率も高い飲料ですので、意識的に摂ったほうが良いでしょう。


しかし、牛乳は脂質を多く含んでいる飲料です。多量に摂取することで高血圧やコレステロールが高くなる可能性もあります。脂質の少ない低脂肪牛乳を飲むなどの工夫が必要です。

 

また、牛乳は一度に多量に飲むと下痢になる恐れがあります。牛乳に含まれる乳糖が分解されないと起こる現象です。乳糖は消化に時間のかかるオリゴ糖の一種で、腸内細菌叢に影響します。少量ずつ回数を分けて飲む、温めて飲む、ヨーグルトやチーズなどの乳製品と一緒に飲むなどの工夫をおこなうことで分解しやすくなります。他にも牛乳だけで栄養素を補おうとせずに、別の飲食物で調整するなどの工夫が必要になります。

 

 

まとめ

牛乳にはカルシウムをはじめとした妊娠中に不足しがちな栄養素が複数含まれています。特に調理や加工が必要な飲料ではないため、手軽に摂取できるのがメリットです。赤ちゃんの成長だけでなく、妊婦さんの活動に必要なエネルギーも含まれています。過剰摂取は高血圧などの可能性があるため、バランスに気を付けて摂取すると良いでしょう。

 

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