【医師監修】妊婦さんは銭湯に行っても大丈夫? 妊婦さんが銭湯に行くときに気をつけること

この記事の監修者

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

この記事の監修者

助産師古谷真紀

一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー。大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。

銭湯のイメージ

 

今回は、妊娠中に銭湯やサウナ、薬草風呂などを利用してもいいかどうかについてお話しします。

 

 

妊婦さんは銭湯に行っても大丈夫?

妊娠経過が順調で当日の体調が良ければ、銭湯へ行くことはかまいません。妊娠中の銭湯の利用については、自己責任かつ無理のない範囲で楽しみましょう。

 

妊娠中のどの時期であっても、銭湯などの公衆浴場の利用は自由ですが、銭湯には老若男女かつ不特定多数の利用者がいます。それぞれの健康状態に対して予防・対策をするのは利用者のマナーであり、自己責任です。公衆浴場では、すべての利用者が快適に過ごせるように施設ごとにルールを設けているので、利用する施設が妊婦の利用を許可しているかについては、自分で事前に調べましょう。

 

利用当日に体調が変化する可能性を考えて、母子健康手帳、かかりつけの産婦人科の診察券、保険証を持参しましょう。破水や性器出血が起きたときのために、生理用ナプキンも持参したほうが安心です。

 

 

スーパー銭湯や日帰り温泉施設は利用しても大丈夫?

利用する施設が妊婦さんの利用が可能というルールを設けていれば、利用してもかまわないでしょう。銭湯と同じように、利用する際の健康状態に対して予防・対策をするのは利用者のマナーであり、自己責任です。

 

気分転換や観光を兼ねて遠出することも考えられますが、利用当日に何らかの症状があってもすぐ受診できるように、かかりつけの産婦人科から遠く離れていない公衆浴場を選んだほうが安心です。公衆浴場の近くに病院があっても、状況によってかかりつけではない妊婦さんの診察は断られることがあります。
 

 

サウナや岩盤浴は利用しても大丈夫?

サウナや岩盤浴は民間療法で科学的根拠が乏しいため、医学的な視点ではどの妊婦さんにおいても利用しても大丈夫とは言えません。

 

サウナや岩盤浴というと、ダイエット効果やデトックス効果が期待される健康法ですが、その効果について誰にでも当てはまるという理論や科学的根拠のある論文は今のところ存在しません。汗をかくことがデトックス効果と思われがちですが、そもそもデトックスという言葉自体が、何を意味しているのか科学的な定義づけはなく、あいまいな表現でもあります。

 

サウナや岩盤浴は発汗作用はありますが、利用後に体重が減るのは、単純に水分が失われただけで、体脂肪の燃焼に結び付く効果はほとんど期待できません。医学的な視点では、アルコールや薬物に対する依存を断ち切るために、体から依存している物質を排出する目的の治療をデトックスと言いますが、一般的な健康法で使用される用語のデトックスとは異なります。

 

サウナや岩盤浴の利用環境から考えると、母体の体温上昇が胎児や妊娠継続に影響する可能性があります。母体の体温が上昇すると、子宮の筋肉の中で、子宮の筋肉を弛緩させる作用があるエピネフリンというホルモンの量が減少するため、子宮収縮が起こり、早産の危険性が高まります。

 

また、おなかの中の赤ちゃんの体温は母体の体温よりも0.5度程高いですが、この温度差が逆になったとき、つまり母体の体温のほうが高くなった場合に、動物実験では中枢神経系の先天異常が発生していることが確認されています。ヒトでの同様の報告はありませんが、妊娠中に危険性がゼロではないと知りながら、あえて高温多湿の状況で過ごすことを選ぶ必要はないでしょう。
 

 

薬草風呂や漢方風呂は入浴しても大丈夫?

薬草風呂や漢方風呂というのは、お風呂に薬草や漢方を入れて湯に溶け出た成分の効果効能を期待するものですが、薬草や漢方を使用した入浴方法は民間療法で科学的根拠が乏しいため、医学的な視点ではどの妊婦さんにおいても利用しても大丈夫とは言えません。

 

薬草や漢方の種類によって、妊娠中の肌に刺激が強いことや、嗅覚が敏感になるために湯気と共に立ち上る香りで気分が悪くなることもあるでしょう。自然由来の薬草や漢方というと安全と思いがちですが、量や濃度によっては妊婦や赤ちゃんへ思わぬ影響を及ぼす可能性を否定できません。薬草や漢方の種類が不明な場合や、妊婦さんが入浴しても大丈夫な成分かどうか不明な場合は、利用しないほうが無難でしょう。

 

また、妊娠に気づかず入浴してしまった場合や妊娠中に気にせず利用した場合に、妊娠や胎児への影響を気にする妊婦さんもいますが、その後の妊娠経過が順調であれば気にする必要はないでしょう。

 

 

妊娠中に銭湯を利用する際に気をつけること

・妊娠中はのぼせ、立ちくらみ、脱水を起こしやすい
妊娠中は血液循環量が増えているため、銭湯や温泉など蒸し暑い場所で過ごすことで、血行がよくなって気分が悪くなったり、のぼせ、立ちくらみなどを起こす危険性があります。また、汗を大量にかくことで、妊娠していない状態よりも脱水症状を引き起こしやすいです。普段より入浴時間は短めにして、のぼせる前に上がるようにしましょう。入浴前後の水分補給も忘れないようにしましょう。

 

・妊婦さんは、滑りやすい環境で転倒する危険性がある
公衆浴場は滑りやすい環境で、妊娠によっておなかが大きくなり、体のバランスが取りづらい状況で瞬発的な動きが鈍くなることから、転倒する危険性があります。血行が良くなり、立ちくらみなどを起こすことと関連しますが、思いがけない状況で転倒して、おなかや頭を打ってケガをするかもしれませんので、足元には細心の注意を払いましょう。

 

・公衆浴場の施設は高温多湿のため、細菌が繁殖しやすい
銭湯などの公衆浴場は、不特定多数の老若男女が出入りする高温多湿の環境は、定期的に清掃をしていても、細菌やカビなどが繁殖しやすい状況です。妊娠中は、妊娠していないときよりも抵抗力が低下しているため、感染症を避けるために利用しないというのも1つの選択です。

 

 

まとめ

妊娠中に銭湯などの公衆浴場を利用する場合は、体調と安全に十分気をつけましょう。


■参考文献
産婦人科診療ガイドライン産科編2017

疑似科学とされるものの科学性評定サイト 明治大学科学コミュニケーション研究所

あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは 発行:環境省 監修:日本温泉気候物理医学会​

一般社団法人 日本温泉協会HP

 

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