【医師監修】妊娠中にしょうがを食べることで得られる効果と注意点

この記事の監修者

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

この記事の監修者

助産師古谷真紀

一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー。大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。

生姜

 

今回は、妊娠中にしょうがを食べることで得られる効果と注意点についてお話しします。

 

 

しょうがの効果

しょうがは熱帯性の植物で、アジアを中心に古くから料理や民間療法や伝統医療で使われてきました。何千年という長い歴史のなかでしょうがの効果効能が研究され、現在では日本の伝統医学である漢方医学の理論に基づいて、病院で処方される漢方薬にも含まれています。生のしょうがは生姜(ショウキョウ)、熱処理したしょうがは乾姜(カンキョウ)と呼びます。

 

一般的に、しょうがは冷えを改善する効果がある、風邪を予防する、胃腸の働きを助けるなどの効果があるとして重宝されています。これらの効果は、しょうがの辛味成分のジンゲオールとショウガオールによるものと考えられています。生のしょうがに多く含まれるジンゲオールは、鎮痛・解熱・消炎・発汗効果があり、体温を下げようとする効果があります。生のしょうがを加熱や乾燥させるとショウガオールという成分に変化します。ショウガオールは代謝を良くして、深部から熱を作り出し、体の芯から温めて持続させる効果があります。

 

しかしながら、ジンゲオールやショウガオールが誰にでも効果を発揮するという報告はありません。しょうがを食べ物として、あるいは薬味やスパイスとして使用することは安全と考えられていますが、大量に食べたり、食べた人の体調によっては腹部膨満感、胸やけ、下痢などが起こることがわかっています。

 

しょうがの摂取量の目安

しょうがは食品なので、摂取量に決まりはありません。食べる人の体質によって1g食べただけで効果を感じる人もいれば、20g食べても効果を感じない人もいます。しょうがの種類や調理方法によって得られる効果は異なるので、自分にとって健康的においしく食べたり飲んだりできる量を目安にし、大量に食べることは避けたほうがいいでしょう。

 

妊娠中にしょうがを食べるときの注意点

・妊娠中に、しょうがを食品として、あるいは薬味やスパイスとして使用してもかまいません。大量に摂取することは避けましょう。

 

・妊娠中にしょうがを食べることで、妊娠経過やおなかの中の赤ちゃんへ悪影響があることを証明する研究は今のところありません。

 

・しょうがは、妊娠中の吐き気や嘔吐などのつわりの症状を緩和させる可能性があることが研究で明らかになっています。つわり(重症悪阻を含む)のために処方される漢方薬の半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)や小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリュウトウ)には、生姜(ショウキョウ)が含まれています。これらの漢方薬の処方を受けている間は、しょうがの成分の過剰摂取によって漢方薬の効果が弱まることを防ぐため、しょうがを食品として摂取するのは控えましょう。

 

・しょうがは、妊娠中の冷えを必ず改善するという報告は今のところありません。しょうがを過剰摂取することでさらに冷えが起きている妊婦さんもいます。冷えを改善したい場合は、まずは医師や助産師へ相談しましょう。

 

・妊娠中に下記の治療薬を使用している場合は、しょうがの成分によって治療効果を妨げる可能性があるため注意が必要です。治療中の妊婦さんが、しょうがの摂取について気になる場合は、医師や薬剤師へ相談しましょう。


血糖値を下げる治療薬:インスリン(ヒューマリンR® ヒューマログ® ノボラピッド®等)
血液の凝固を防ぐ治療薬:ヘパリン(ヘパリンCa®) 低用量アスピリン(バイアスピリン® バファリン配合錠A81)
血圧を下げる治療薬:カルシウム拮抗薬ニフェジピン(アダラート®)

 

・しょうがは妊娠中に必ず摂取しなければならない食品ではありません。しょうがが苦手、あるいはしょうがを摂ることで体調が悪くなる妊婦さんは、摂取を控えましょう。また、妊娠中にしょうがの成分を含むサプリメントや健康食品を摂る必要はありません。妊婦さんをターゲットにした製品の情報や広告に惑わされないように気をつけましょう。

 

 

なぜ特定の食品が健康に良いと言われるの?

東洋医学では、「薬食同源(医食同源)」という言葉があり、食べ物も薬も本質的には同じものでどちらも重要という考え方があります。東洋医学で処方する漢方薬は、複数の生薬を配合して作られます。生薬とは、長い歴史のなかから薬としての効果があると判明している自然に存在する植物や動物を原料としています。体の症状を「寒:冷え、血行不良等」と「熱:ほてり、暑がり等」に分けて、「寒」には温める漢方薬、「熱」には冷やす漢方薬を処方します。

 

この理論のもと、例えば冷えのある人には、温める漢方薬を選ぶように食べ物も温める性質のものを食べることで、冷えが改善されていくと考えられています。自分の体に合った食べ物を食べることで、健康維持や病気の予防をする食養生(しょくようじょう)という考え方です。

 

食養生は、薬に頼らない方法として日常的に取り入れやすい習慣ですが、特定の食品ばかりを食べ続けたり、一度に大量に食べたり、極端な食生活を続けることは逆効果です。特定の食品が健康に良いという情報が出回ると、妊婦さんもメディアもそれを食べれば大丈夫という流行を作り上げてしまうことがあります。東洋医学の視点から食養生は大切ですが、専門性のない情報に惑わされないように気をつけましょう。
 

 

まとめ

妊娠中に、しょうがを食品として、あるいは薬味やスパイスとして使用してもかまいませんが、大量に摂取することは避けましょう。妊娠中は、母親と赤ちゃんの体づくりに必要な栄養素を過不足なく摂ることができる栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。普段の食事を見直して健康管理をしたい場合は、医師や助産師、栄養士へ相談しましょう。


■参考
厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業「統合医療」情報発信サイト

 

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