【医師監修】妊娠中の貧血について

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師池谷 美樹 先生
産婦人科 | 横浜市立みなと赤十字病院産婦人科 副部長

岐阜大学卒業、日本赤十字社医療センターで初期研修後、同センター常勤医師として勤務、東京慈恵医科大学産婦人科講座入局、博士号取得、国立成育医療研究センター周産期診療部勤務、日本赤十字社医療センター産婦人科勤務を経て、現在は横浜市立みなと赤十字病院産婦人科 副部長。

【医師監修】妊娠中の貧血について

 

症状

貧血とは、簡単に言うと血液が薄くなる状態のことを言います。めまいや立ちくらみといった症状がよく知られていますが、体がだるい、頭痛がするなどの症状が起こることも。それとは別に、妊娠中は血圧が生理的に低くなるので、脳への血流が少なくなり、血液自体に貧血がなくても、脳の酸素不足から同様の症状が起きることがあります。

 

原因

母体は胎児の発育のために多くの鉄分を胎児に供給する必要があります。そのため母体は鉄分が減少し、貧血になりやすくなります。また、胎盤という細い血管の塊のような部分に充分な血液が流れるように血液中の水分が増加します。そのため、見かけ上は血液が薄まり、血液検査では貧血となります。これらは生理的な変化なので病的なものではありませんが、程度や症状を考慮して必要性に応じて治療がおこなわれます。

 

治療の基準と治療法

【妊娠中に貧血と診断される基準】

ヘモグロビン濃度 11g/dl未満

ヘマトクリット値 33%未満

 

妊婦健診の血液検査などで貧血と診断されると、鉄剤が処方されることもあります。貧血の薬には便秘や下痢、胃がムカムカするなどの副作用がおこる場合もあるので、服用後に不快な症状がある場合は、主治医に相談をしましょう。

 

予防と対処法

【医師監修】妊娠中の貧血について

 

鉄分とたんぱく質をとろう

赤血球の色素成分でもあるヘモグロビンの原料になります。野菜(ほうれん草や菜の花、小松菜など)に含まれる鉄分は非ヘム鉄と言い、吸収率がたんぱく質(ヘム鉄)と比べると単体での吸収率が劣ります。動物性たんぱく質と野菜を一緒にとることで、効率よく鉄が吸収されるだけでなく、赤ちゃんの体づくりのためにも重要な栄養素をたくさんとることができます。


レバーは定番の鉄分が多い動物性食品ですが、妊娠中はあまりたくさんとることはおすすめできませんので、牛の赤身肉、豚もも肉、貝類(しじみやあさり)、魚(いわしやあじ、かつおなど)をとるようにしましょう。

 

 

(監修/池谷美樹先生)

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