【助産師監修】おしるしとは? 色、量、対処方法と注意点
出産が近いことを知らせる「おしるし」。しかし、おしるしがどのようなものなのか、いつ来るのか、よくわからないという妊婦さんも多いのではないでしょうか? そこで今回は、おしるしについて詳しく解説していきたいと思います。
- 【目次】
- ・おしるしとは?
- ・おしるしはいつ来るの?
- ・おしるしが来たときの対処法と注意点
- ・まとめ
おしるしとは?
一般的に言われている「おしるし」は、医学的には「産徴(さんちょう)」という名称がついています。
おしるしが起こるメカニズム
おなかの中の赤ちゃんは、羊水に満たされた卵膜に包まれています。卵膜は子宮壁にはりついており、子宮頸管(子宮の入り口)は頸管粘液栓によって塞がれています。しかし、お産が近くなると子宮口が開きはじめ、次第に卵膜と子宮壁の間にはズレが生じます。すると卵膜は子宮壁から剥がれ始めるため、出血が起こります。そして、この出血と頸管粘液栓が血液と混ざって、外に排出されます。このとき排出されたものが「おしるし(産徴)」です。
おしるしの色や量は?
おしるしは、少し粘り気があり血液が混じったおりものというのが特徴です。出血の量は下着につく程度の少量の人もいれば、月経量と間違えるほどの量が出る人まで個人差があります。おしるしの色は、出血量が少ない場合はピンク色や茶色、褐色程度ですが、量が多い場合は鮮血ということもあります。
おしるしはいつ来るの?
おしるしは、出産間近のサインと言われており、予定日が近くなったころに見られると言われていますが、分娩の前日~数日前に起こることが多くなっています。また、おしるしが来たからといってすぐに分娩が始まるとは限りません。
分娩の前兆としては、おしるしのほかにも
・前駆陣痛
・胃がすっきりする
・胎動が少なくなる(※まったく胎動がなくなるということはありません)
・頻尿
・おりものの増加
・恥骨の痛み
などがあります。
出産の徴候としては、おしるし→陣痛→破水という順番が一般的です。しかし、おしるしがない場合や、おしるしや陣痛が来る前に破水してしまうケースもあります。おしるしが来たら陣痛や破水が数日のうちに起こることが多いため、出産に備えて準備しておきましょう。
おしるしは初産婦さんと経産婦さんでは違う?
1人目の出産時はおしるしがあったけれど、2人目ではなかった、またはその逆のケースなど、おしるしがあるかどうかは、初産婦さんと経産婦さんで違いがあるということは特にありません。ただ、初産婦さんと経産婦さんでは分娩の兆候が見られてから、分娩までにかかる時間に差があります。
個人差はありますが経産婦さんは、初産婦さんに比べると分娩の徴候が見られてから分娩が完了するまでにかかる時間が短くなっています。一方の初産婦さんは一般的には経産婦さんの倍の時間がかかることが多いようです。
おしるしが来たときの対処法と注意点
おしるしは分娩の徴候の1つですが、すぐに出産になるということは少ないため、慌てる必要はありません。まずは、生理用ナプキンをあて出血の対処をしましょう。初産婦さんでは10分間隔または1時間に6回、経産婦さんでは15分おきの規則的なおなかの張りがなければ、いつも通りの生活を続けていてかまいません。
破水の場合はすぐに産院に連絡を
おしるしと違って破水の場合は母子ともに感染のリスクがあるため、早急に受診する必要があります。動くたびにチョロチョロと出てくる、生臭いにおいがする、色が透明や黄色といった場合はおしるしではなく、破水の可能性があります。破水した場合、あるいは自分で判断できない場合は、かかりつけ医に相談し、指示を仰ぎましょう。
気を付けなければいけない妊娠中の出血
おしるしは出産の兆候の1つですが、妊娠37週未満で見られる場合は、早産のおそれもあります。
また、「前置胎盤」と診断されている場合、入院管理となることが多いですが、少量の出血(予告出血)後、大量出血するおそれもあります。
そして、「常位胎盤早期剥離」は、内出血に比べて外出血が少ないという特徴があります。症状を放置していると出血が進行し、ショック状態となるおそれもあります。そうすると母児ともに危険な状態に陥る可能性も出てきてしまいます。
このように妊娠中注意が必要な出血もあります。出血量が多い(レバーのような塊が出る)、激痛を伴うなど、気になる症状がある場合、かかりつけ医に相談し指示を仰ぐようにしましょう。
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まとめ
おしるしは、陣痛や破水と並び出産の徴候の1つとなっていますが、すべての妊婦さんにおしるしがあるわけではありません。また、経産婦さんでもおしるしがあったり、なかったりとさまざまのようです。おしるしがどのようなものかを知って、焦らずに対処するようにしましょう。おしるしがきた場合は数日のうちに分娩に進むことが多いため、出産に備えて身の周りの整理や入院の準備などをしておくことをおすすめします。
参考:
・メディックメディア:病気がみえるvol.10 産科
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