【助産師監修】妊娠検査薬・早期妊娠検査薬はいつから陽性・陰性の反応が出る?
生理が遅れていることに気づき、妊娠をしているかもしれないと考えたときに、妊娠検査薬を使用することが多いでしょう。薬局では妊娠検査薬が購入できますので、手軽に検査することができます。しかし、妊娠検査薬は使用に適したタイミングがあるため、時期が早すぎてしまった場合には結果が陰性となることもあります。
今回は妊娠検査薬と早期妊娠検査薬の違い、妊娠検査薬はいつから使えるのか、フライング検査やフライング検査のメリット・デメリットとについて解説します。
妊娠検査薬はいつから使える?(使うタイミング)
妊娠検査薬は、「産婦人科に行く前にまず自分で妊娠しているかどうか知りたい」「受診のタイミングを知るためにもまず検査薬で調べておきたい」というときに使うことが多いのではないでしょうか?
妊娠週数の数え方は最終月経の初日が「妊娠0週0日」で、これが妊娠の起算点となります。その後は1週が7日間単位で、妊娠1週、妊娠2週と数えていきます。一般的な妊娠検査薬が生理開始予定日の1週間後、つまり妊娠5週目くらいから検査できます。
早期妊娠検査薬は生理開始予定日、つまり妊娠4週目くらいから検査が可能になります。
妊娠検査薬を正しい時期に使用し検査するためには、普段から自分の生理周期を把握しておくことが必要です。ただし、使用可能時期はあくまで目安にすぎません。生理周期が不順の人の場合は個人差が大きいので、工夫が必要です。生理開始予定日などがよくわからないという場合は、性交日から3週間過ぎを目安に調べるとよいとされています。また、基礎体温をつけている人は、高温相が3週間続いているようであれば、妊娠を疑って検査薬を使ってみるとよいでしょう。
妊娠検査薬は、妊娠したことによって分泌されるhCGというホルモンの有無を調べるものですから、朝・昼・夜いつでも検査することが可能ですし、食前・食後というような食事の時間や内容、飲酒の有無などに影響されることもありません。そして風邪を引いていたり、体調がすぐれないときでも基本的に検査することができます。ただし、不妊治療などでhCGを含んだ性腺刺激ホルモン剤の投与を受けている場合は検査結果に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。その場合は最終投与から2週間以上経ってから検査するか医師に相談するようにしましょう。
フライング検査とは
フライング検査とは、妊娠検査薬の判定可能な使用時期より早めに検査することです。生理が遅れていることに不安になり、早く娠検査薬を使用したいという女性もいます。しかし、フライング検査にもメリット・デメリットがあります。
メリット
フライング検査をすることで早期に妊娠していることがわかれば、それだけ早くから体調管理に努めることができます。妊娠初期は胎児の脳や心臓など、大事な器官が形成される時期です。ですから、妊娠がわかったあとは飲酒や喫煙をやめる、食生活に気を配る、睡眠不足やストレスに注意する、感染予防としてマスクや手洗い・うがいをする、レントゲン検査を避けるなどの対策をとることができます。おなかの中の赤ちゃんのために規則正しい生活を過ごすことはもちろん、体調が悪いときは横になって休む、仕事や家事などは無理しないなど自分で体調をコントロールして過ごすことができます。
また、妊婦さんのなかには早くからつわりが現れる人もいます。しかし、つわりだと気付かず、薬で治そうとしてしまうかもしれません。フライング検査で妊娠がわかることで体調不良がつわりだと気づき、安心することができます。
早くから妊娠に気づくことで、ママとおなかの中の赤ちゃんのためにできることはいろいろあります。しかし、神経質になりすぎないことも大切です。
デメリット
フライング検査のデメリットとしては、妊娠を早くに知りすぎることです。受精卵は必ずしも順調に着床し、成長していくとは限りません。受精卵が着床しても妊娠が継続できなかったというパターンがあるのです。これを化学流産といいます。
妊娠初期の流産は、そのほとんどが遺伝子異常など胎児側の理由で起こります。化学流産は自然流産の一種ですが、生理とよく似ているために、生理だと思って過ごす人も多いものです。しかし、フライング検査で陽性反応が出ていますから、流産してしまったとわかってしまうのです。
ほかのデメリットとしては、フライング検査の陽性反応は薄いため、蒸発線と見間違えることがあるということです。蒸発線は検査後に出る薄いグレー線のことですが、検査薬に付いた尿が蒸発して線を残す場合があります。
さらに、フライング検査で陰性だと再度検査することになり、検査費用がかかることになります。また、本当に妊娠したのか心配になり、不安を抱えて過ごすことになる可能性もあります。
hCGが分泌される速度や分泌量には個人差がありますので、早くからhCG濃度が高くなる人では陽性反応が出るようですが、これはあくまでまれなケースです。正確な妊娠判定をおこなうためには、取扱説明書通りの判定可能な時期に検査するほうがよいでしょう。
妊娠検査薬で陽性反応が出たときの注意点
妊娠検査薬で陽性反応がでたら、妊娠している可能性が非常に高くなります。多くのメーカーで、hCGの検出精度が99%以上の正確さをうたっていることからも、ほぼ妊娠していると考えて間違いないでしょう。ただし、いくつか注意したい点があります。
まず、妊娠検査薬で陽性反応が出ても、100%妊娠しているとは限らない点です。妊娠検査薬は簡易検査で、陽性反応というのはあくまで「妊娠の可能性が高い」ということを示すものです。妊娠の正確な診断は、医療機関で受けなければなりません。次に、「陽性反応が出ていること=正常妊娠というわけではない」ことに注意が必要です。妊娠しているとしても、正常妊娠とは限りません。
正常妊娠とは、受精卵が子宮内に着床し、その後きちんと発育していることが確認できた状態を言います。受精卵が着床してhCGが分泌されるようになれば、妊娠検査薬では陽性反応が出ます。しかし、きちんと子宮内で着床しているか、またそこから胎児として発育できるかどうかは、陽性反応が出た段階ではわかりません。
正常妊娠しているかどうかを判断するために重要なのが、胎嚢(たいのう)と胎児の心拍動です。胎嚢とは、胎児が入る袋のことを言います。超音波検査をして、この胎嚢と胎児の心拍動がきちんと確認できて初めて、医学的に「妊娠」と診断されます。胎児心拍動が確認されるようになるのは妊娠6週ころですので、妊娠検査薬が陽性になってから妊娠が確定するまでには少し時間がかかると言えます。
正常妊娠にならない場合としては、異所性妊娠(子宮外妊娠とも言い、卵管や子宮頸部、腹膜など、子宮内膜以外に受精卵が着床したもの)や胞状奇胎(ほうじょうきたい:絨毛がむくみ、嚢胞化することで胎児が発育できない状態)というケースがあります。
いずれもhCGが分泌され、妊娠検査薬では陽性と出ることがありますが、正常妊娠ではありません。異所性妊娠や胞状奇胎と診断された場合は処置が必要となり、血液検査によってhCGの値の変化を見ていく必要が出てきます。
妊娠検査薬で出る反応はあくまでhCGというホルモンの分泌量に対する反応であって、妊娠していることの1つの指標でしかありません。妊娠について確定的な判断をしてもらうには、医師による診察を受けることが必要です。
吐き気やおりものが増えるなどの症状を妊娠初期症状と結びつけられず、妊娠しているということがまだわからないとき、女性が受診する可能性がある診療科としては、内科や婦人科などが考えられます。しかし、妊娠検査薬で陽性反応が出ているのであれば、産科あるいは産婦人科を受診します。他の診療科を受診しても、妊娠検査薬で陽性反応が出たことを伝えれば、産婦人科の受診をすすめられるだけです。受診時間を無駄にしないためにも、はじめから産婦人科を受診したほうがよいでしょう。
産婦人科を受診する場合、最初の診察ではこれまでの月経の状況や過去の妊娠・出産歴などを確認する問診や尿検査、経腟超音波などがおこなわれます。そして妊娠が確定すると(1回の診察で妊娠が確定するとは限りません)妊娠証明書が発行され、次回の診察から妊婦健診に移行し、定期的な受診が必要になっていきます。
まとめ
生理の遅れや体のだるさなどの体調不良を感じたら、それは妊娠の兆候かもしれません。妊娠検査薬を選ぶとき、一般妊娠検査薬と早期妊娠検査薬についての知識があると、自分に合う検査薬かどうかを理解したうえで使用できるのではないでしょうか。
早めに妊娠を知りたくてフライング検査をした場合には、メリットだけでなくデメリットもありますので、よく検討してから使用しましょう。妊娠検査薬で陽性が出た場合は、早めに産婦人科を受診するようにしましょう。