【医師監修】エストロゲンとは?妊娠中の働き、効果、分泌を増やす方法
女性のライフサイクルに大きくかかわる女性ホルモンの中に、「エストロゲン」があります。今回は、エストロゲンについてくわしく解説します。
- 【目次】
- ・エストロゲンとは
- ・エストロゲン低下の原因と低下によって現れる症状
- ・エストロゲンを増やす方法
- ・まとめ
エストロゲンとは
エストロゲンは女性ホルモンの1つで、卵巣の中にある卵胞から分泌されており、卵胞ホルモンとも呼ばれています。思春期の体の成長や月経、妊娠、更年期障害などに関わりがあります。
エストロゲンは、思春期の第二次性徴の発現に作用し、正常な生理周期において生理が終わったころから増え始め、排卵の直前にピークとなります。子宮の内膜を厚くする作用があり、受精卵が着床しやすいように整えています。そのほか、善玉コレステロールを増やすと共に悪玉コレステロールを減らしたり、動脈硬化を防いだりして、脂質異常症(高脂血症)や心筋梗塞などの病気を防ぐ働きもします。
妊娠すると、エストロゲンは胎盤で作られるようになり、妊娠を維持したり、乳汁分泌の準備をしたりします。また妊娠後期には子宮頸管を柔らかくし、出産の準備に向けての働きもします。
エストロゲン低下の原因と低下によって現れる症状
エストロゲンは脳の視床下部・下垂体からの命令によって産生・分泌されます。
ストレスなどにより脳の視床下部・下垂体の機能が低下したり、加齢によって卵胞の発育が悪くなると、エストロゲンの分泌が低下します。特に生殖年齢の女性の場合は、無月経の原因となるようなストレスや、過度の体重減少(ダイエットも含む)などはエストロゲンの分泌を下げてしまう要素となります。
また、エストロゲンは卵巣以外に脂肪組織でも作られるので、年齢を問わず皮下脂肪の多い人のほうがエストロゲンはより多く産生されていると言えます。そのため、運動などによる過度の体脂肪率の低下は、エストロゲンの産生を低下させる要因となります。
エストロゲンが低下すると、以下のようなさまざまな症状が現れます。
・生理不順
・脂質異常症(高脂血症)
・動脈硬化・虚血性心疾患
・骨粗しょう症
・ニキビ
・しわ など
特に更年期以降はエストロゲンの分泌が低下するため、脂質異常症や動脈硬化、骨粗しょう症などのリスクが高まります。また、のぼせやほてり、発汗などの自律神経失調症状や憂うつ感やめまいなどの精神神経症状などがあらわれる更年期症状をきたす可能性もあります。
エストロゲンを増やす方法
更年期障害や卵巣摘出後の治療としてエストロゲンを補充する方法がありますが、今のところ、エストロゲンを増やす方法というのは明確になっていません。
エストロゲン自体を増やすことよりも、「エストロゲン様作用物質(エストロゲンの受容体に作用して、エストロゲンと同じような効果を発揮する物質)」を摂取することで、「エストロゲンが増えたような」効果が期待できます。エストロゲン様作用物質は、大豆などに含まれるイソフラボンやブドウの種子に含まれるプロアントシアニジンなどのポリフェノールが代表的です。
参考:
産婦人科の実際 臨時増刊号 「女性ヘルスケア集中講義!」2015 Vol.64(11) p.1659-1665
「女性医療におけるポリフェノールの魅力:女性のアンチエイジングは可能か?」
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科女性健康医学講座 寺内公一(てらうちまさかず
まとめ
エストロゲンは、生理や妊娠、更年期までとさまざまな年代の女性が関わりのあるホルモンとなります。月経不順や更年期症状など気になる症状がある方は、一度産婦人科で相談してみると良いでしょう。
◆妊娠力診断