【医師監修】妊娠前の準備で大切なこととは?
今まで仕事をしてきて、妊娠について意識をしていなかったけど、そろそろ赤ちゃんが欲しいと思っている方もいるかもしれません。今回は、妊娠しやすい体づくりから、お金のことなど、妊娠準備のために知っておきたいことについて解説します。
妊娠しやすい体づくり
妊娠を希望している方は、誰でも健康的な赤ちゃんが欲しいと考えているはずです。安心して妊娠生活を過ごし、何事もなく出産を迎えるために、出来ることから始めてみましょう。
やせすぎ、肥満にならないように食事や運動に気をつける
妊娠をするためには、生理が定期的にきていることが大切です。生理不順があると排卵しにくくなるので、妊娠が難しくなります。
過度のダイエットによるやせすぎや肥満は生理不順を起こしやすくなるので、バランスの良い食生活や、無理のない運動を心がけましょう。
やせすぎ、肥満の指標としてよく用いられるのが「BMI」です。BMIは体重(kg)を身長(m)×身長(m)で割った値で、18.5未満だとやせすぎ、25以上だと肥満ということになります。
例えば、身長が160cmの場合は自分の体重を(1.6×1.6=)2.56で割るとBMIを算出できます。身長160cmなら体重が47〜63kgの間が標準です。
禁煙
タバコには、妊娠経過や胎児の成長に悪影響を及ぼす成分が入っています。タバコに含まれるニコチンや活性酸素は卵子や精子の質を低下させたり、流早産の引き起こすリスクがあり、産後も子供の突然死や喘息の恐れがあります。
飲酒を控える
飲酒は、胎児に様々な悪影響がでることがあります。できれば妊娠前から少しずつ量を控えて、お酒のない生活に慣れておくと良いでしょう。
妊娠前にしておきたい検査と予防接種
検査
女性の場合、年齢が高くなるにつれて子宮が病気になる可能性が高くなります。生理の出血量が多いときや生理痛がひどいときには、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気の場合もあるので、注意しましょう。子宮に何らかの異常があると妊娠しにくくなる可能性があるので、婦人科で検査をしてもらっておくと安心です。こうした診察や検査(感染症,貧血,抗ミュラー管ホルモン*などの血液検査を含む)を「ブライダルチェック」として挙げている産婦人科もありますので、チェックしてみましょう。
予防接種
妊娠すると免疫力が低下するので感染症にかかりやすくなります。流産や早産のリスクが高くなり、ウイルスの種類によっては、胎児に悪影響が出るので注意が必要です。
妊娠中に感染すると胎児に影響がある「風疹」をはじめ、「麻疹」「おたふく風邪」「水痘」は妊娠中には受けることができない予防接種に分類されます。
過去に予防接種を受けたことがある、もしくは感染したことがあれば抗体があるかもしれませんが、記憶にない場合にはできるだけ妊娠前に受けておくことがおすすめです。
また、風疹に関しては、妊娠を希望する女性には検査や予防接種を自治体が全額または一部負担してくれる助成制度があるので、お住いの自治体の助成制度をチェックしてみましょう。
妊娠前にパートナーにしておいてほしいこと
妊娠を希望しているのなら、妊娠前から禁煙しておくことや予防接種を計画的に受けておくことが重要であると説明しました。禁煙や予防接種は、妊娠する女性だけではなくパートナーと一緒に行うと良いですね。女性だけがいくら禁煙してもパートナーが喫煙者であれば、同じ空間にいると副流煙の影響を受けてしまいます。また、予防接種に関してもパートナーが感染をすると女性に移る可能性もあるので、一緒に受けてもらいましょう。
風疹の予防接種を受ける場合、受ける時点ですでに(気づかないうちに)妊娠していたというようなことがないように、予防接種の1カ月前から避妊する必要があります。また、予防接種を受けた後も2カ月間は避妊しなければならないので、性行為の面でもパートナーの理解が重要です。
妊娠する前に知っておきたいお金のこと
妊娠・出産をすると今まで以上にお金がかかります。出産したらある程度の費用が戻ってくる制度や、出産、育児で仕事を休んでいる間の社会保障制度などを知っておくと経済的に助かります。
出産育児一時金
異常のない分娩の費用は、健康保険対象外のため実費となってしまいますが、妊娠4カ月以降の出産なら出産育児一時金を受けることができます。出産後、加入されている健康保険に申請すると1児につき42万円が支給されます。ただし、分娩をした医療機関が、産科医療補償制度(※)に加入していない場合は、支給額が40.4万円になります。
出産育児一時金は、事前に支給方法を決めておきます。直接支払制度を利用すれば、加入されている健康保険から直接、分娩をした医療機関に支払われます。そのため、入院や分娩にかかった費用から、出産育児一時金を差し引いた費用を支払うだけなので、経済的な負担は少なくすみます。
出産育児一時金直接支払制度を利用しない場合、ご自分で医療機関に全額支払わなければならないので、事前にまとまったお金を用意する必要があります。支払い後に加入されている健康保険に対して支給申請の手続きをするのです。
※産科医療補償制度は、分娩の際に赤ちゃんが重度の脳性麻痺になってしまった場合、経済的補償をしてくれる制度です。
出産手当
会社勤めをしている女性が産前産後の休業中、給料が出ない場合、加入されている健康保険から出産手当金が支給されます。日給の2/3相当額の手当金が、出産日の42日前から出産日の56日後までの分支給されます。給料が会社から支払われても、2/3未満しかもらえない場合、その差額分が支給されます。(※加入されている健康保険によっては支給されない場合があります)
育児休業給付金
雇用保険の被保険者が、1歳未満の子どもために育児休業を取得した際に支給されます。パパママ育休プラス制度の利用や、保育所に入れないときには支給期間が異なるので確認しましょう。
まとめ
妊娠するのは女性なので、ついつい女性ばかりが頑張ってしまいがちですが、妊娠は2人にとって人生の大イベントです。妊娠生活を安心して過ごすためにも、妊娠や生まれてくる赤ちゃんに関することは、パートナーにも相談し、協力してもらいましょう。