【医師監修】計画的な妊娠と避妊Q&A
正しい情報を身につける! Q&A
QUESTION
Q.腟外射精をすれば妊娠しないと思っていいですか?
A.そもそも避妊方法ではありません
腟外射精とは、射精の直前に男性の性器を腟の外に出して射精することを言います。ただ精液は射精の前から漏れていて、精液は一滴でもこぼれれば妊娠する可能性があります。避妊方法として不確実というよりも、そもそも避妊になっていないのです。
Q.コンドームをつけたときの避妊失敗率はどのくらい?
A.意外と高い失敗率。正しい装着を
コンドームの失敗率は約3〜15%と他の避妊方法に比べて高くなっています。正しく装着しなかったため、コンドームが破けたりはずれてしまったり、精液が逆流して腟内に入ってしまうなどが原因です。装着のタイミングが遅いことも失敗を招きます。
Q.産後、生理が再開するまでは妊娠しないのでしょうか?
A.生理前でも排卵は起こることがあります
卵巣機能には個人差がありますが、生理の前に排卵が起こります。一般には産後2カ月以上、早いと45日ほどで排卵が起こると言われています。「無月経=妊娠しない」との勘違いから避妊を怠り、出産して数カ月で次の妊娠をするケースも。また授乳をしていても産後半年くらいから生理が再開します。排卵の時期ははっきりわかるものではないので、次の妊娠まで期間を置きたい場合、出産後、最初のセックスから避妊が必要です。
Q.出産して次の子を妊娠するまでに空けたほうがいい期間はどのくらい?
A.母体の回復を考慮すると2〜5年くらい
帝王切開による出産、妊娠高血圧症候群の後遺症からの回復、また上の子との年齢差などを考慮すると、次の出産までに2年〜5年の間隔があるのが妥当だと言われています。次の出産が1年半より短い場合は、早産や低体重児のリスクも考えられます。家族計画について、パートナーとよく相談することが大切でしょう。
Q.閉経後も避妊は必要ですか?
A.「閉経している」と誤解していることも
閉経は、WHO(世界保健機関)によれば「卵巣における卵胞の消失による永久的な月経の停止」。本当に閉経していれば、妊娠することはありません。ただ突然、生理が止まったために「閉経した」と誤解して避妊をしなかったため、妊娠に至る例があります。妊娠を望まない場合は最終月経後の1年間は避妊を続けましょう。
Q.緊急避妊法のピルを飲みたいのですがどこに行けば買えますか?
A.産婦人科を受診しましょう
性交後に飲む避妊薬を「緊急避妊ピル」「モーニングアフターピル」などと呼びます。これらは医師の処方が必要になるので、必要な場合は産婦人科を受診しましょう。なお、緊急避妊ピルは自費診療扱いになり、医療機関や薬の種類によって費用が異なります。ノルレボ錠の場合は8,000〜15,000円程度、プラノバール錠4,000円〜8,000円程度が一般的です。72時間以内の服用が必要なので、それ以内に受診しましょう。
Q.生理予定日がどれくらい過ぎたら妊娠したと思っていいですか?
A.28日周期なら1〜2週間後に判明
妊娠の週数は「最終月経の開始日」を0週0日とカウントします。市販の妊娠検査薬では、妊娠4週目でほぼ100%陽性と出ますから、生理が28周期なら、月経予定日を数日過ぎれば妊娠の有無の判定ができます。ただし子宮外妊娠の可能性もあるので、妊娠5週くらいに産婦人科を受診して、正常に妊娠しているかどうかをみてもらうことが必要です。
Q.ネット通販で低用量ピルを購入したいのですが、注意点を教えてください。
A.医師の処方が必要。ネット通販は避けて
低用量ピルは医師の処方が必要な薬です。オンライン診療でも購入できますが、低用量ピルは女性ホルモンを主成分としていて、重大な副作用として血栓症のリスクがあげられます。これまでに罹った病気によっては検査が必要だったり服用できなかったりします。
Q.初めて低用量ピルの使用を考えていますが、副作用が心配です。
A.慣れるまでつわりに似た症状を感じる人も
低用量ピルは、女性ホルモンの働きにより「妊娠した」と脳を勘違いさせて排卵を抑える薬です。そのため、飲み始めてからホルモンが安定するまでに、つわりを軽くしたような吐き気や頭痛、倦怠感を感じる人もいます。これの副作用はいずれ慣れますが、注意したいのが血栓が血管につまる「静脈血栓塞栓症」のリスク。低用量ピルの主成分であるエストロゲンには血液を固めやすくする特徴があります。①過去に静脈血栓症、乳がん、子宮がんにかかったことがある ②高血圧 ③35歳以上 ④1日15本以上煙草を吸っている ⑤重い持病があるといった場合は服用できません。糖尿病、肥満、脂質異常、片頭痛などもリスク因子です。
Q.中絶は妊娠何カ月まで可能なのでしょうか?
A.母体保護法では妊娠21週6日まで
人工妊娠中絶ができる時期は「母体保護法」で決められていて、妊娠21週6日まで。これを過ぎると、理由がどうあれ中絶することはできません。また妊娠12週以降の中絶は人工的に陣痛を誘発させ、出産と同じように胎児を産む「人工死産」になります。死産届を役所に提出し、火葬の手続きが必要です。
Q.過去に中絶経験がありますが、将来の妊娠・出産に影響はありませんか?
A.トラブルがなければ妊娠前と同じ状態に
数は多くありませんが、手術後、子宮の炎症が卵管や子宮にまで及ぶなどの合併症を起こすと、不妊につながります。特にトラブルがなかったのであれば妊娠前と同じような体の状態に戻れます。ただ中絶手術を繰り返すと、子宮内膜が薄くなって受精卵が着床しにくくなります。