父親が色弱ですが遺伝しますか?
生後4カ月の息子について質問します。夫は色弱で、義父もまた色弱です。息子も遺伝する可能性はありますか? もしその可能性があるとしたら、いつごろ検査を受ければよいのでしょうか?
色弱は「色覚異常」と言い、遺伝による「先天性色覚異常」と目の病気などで起こる「後天性色覚異常」があります。先天性色覚異常で最も多いのは「赤緑異常」ですので、これについて説明します。遺伝形式は「X連鎖性遺伝」(伴性劣性遺伝)で、色覚異常を起こす遺伝子がX染色体にあります。男性はX染色体とY染色体が1本ずつなので、色覚異常を起こす遺伝子を持つX染色体を親から受け継ぐと、色覚異常となります。女性はX染色体が2本なので、2本とも色覚異常を起こす遺伝子を持つX染色体を受け継げば色覚異常となり、1本が正常なX染色体、1本が色覚異常を起こす遺伝子を持つX染色体を受け継ぐと「保因者」になります。保因者自身は色覚異常を発症しませんが、その子どもに遺伝する可能性があります。先天性赤緑異常の日本人の発症頻度は、男性が約5%、女性が0.2%です。一般的に色覚異常と言えば、この先天赤緑色覚異常を指し、「赤と緑」、「赤と黒」、「茶と緑」などの隣り合った色を見分けにくいことがあります。見る物が小さいとき、チラッと見ただけのとき、また暗い場所などでは、色の識別を誤りやすくなります。間違いやすい色には、色覚異常の種類や本人の自覚によって個人差があります。以前は、小学校の健診でこの色覚異常検査がありましたが、現在はおこなわれていません。小学校低学年では色を使った学習が多いので、色覚異常の場合には、使う教材の色の組み合わせによって見分けにくいこともあり、そのような場合には、担任教師との個別相談が必要になることもあります。ご質問の方のお子さんは男性なので、お父さんからY染色体、お母さんからX染色体を受け継いでいます。遺伝形式から考えると、お母さんが色覚異常の保因者であれば、お子さんが色覚異常になる可能性はあります。別の遺伝形式の色覚異常もありますが、頻度が少ないのでここでは述べません。検査の時期ですが、色の名前を正確に言えるようになったら、眼科で検査を受けることが可能となります。年齢としては、小学校就学前後のころでしょう。なお、進学や就職については、一般の学校や職場では色覚異常による制限を受けることはありません。また、夫にどの色の組み合わせが見分けにくいのか、いつごろ色覚異常がわかったのかを聞き、参考にされてもいいでしょう。