赤ちゃんの中耳炎で難聴になることはありますか
生後4カ月ごろから中耳炎になり、耳鼻科に通っています。その後も鼻風邪などで頻繁に通っています。風邪をひかないようにと注意してはいますが、中耳炎を繰り返していると難聴になるのでは……と不安です。難聴になることはあるのでしょうか?
新生児難聴は1,000人に1人と言われています。NICU(新生児集中治療室)に入院する赤ちゃんはその10倍ぐらいの頻度(つまり100人に1人)と言われています。新生児の難聴は言葉の発達に影響するため、多くの産院や病院では新生児聴覚スクリーニングをおこなっています。米国では多くの州で法律によってこの検査をおこなうことが義務づけられています。35dB(デシベル)の小さい音への反応(ささやき声レベル)を客観的に評価します。この検査で「パス」したかたは、「言語発達に影響を及ぼす聴覚障害はない」と言えます。一方、「要再検」となった赤ちゃんは精査が必要になりますが、のちの検査で異常なしとなることもあります。新生児難聴の原因は遺伝子異常、内耳奇形、高度の黄疸、先天性サイトメガロウイルス感染、新生児期に使用した薬剤の副作用等があります。原因不明のこともあります。
新生児期を過ぎても、乳児期(生後1カ月から12カ月未満)、幼児期(1歳以降)、学童期等難聴はどの時期にも発症する可能性があるため両親が子どもの耳が聞こえていないと感じた場合、聴力検査は必要です。年齢にあった検査を選択します。
ご質問の赤ちゃんは新生児聴覚スクリーニング検査がパスしていたとするなら、現在、音に対する反応がどうか?がポイントとなります。一般に、急性中耳炎で難聴になることは稀です。また、滲出性中耳炎という中耳に水がたまった状態の場合は、音の伝わり方が悪いため、言葉の発達に影響を与える可能性があります。このため耳鼻科での評価が必要になります。難治性の場合は小さなチューブを鼓膜に挿入する手術をおこないます。
私自身は、親指と中指を赤ちゃんの耳元で、こすりあわせて小さな音を出して、振り向くかどうかを見ています。これで35dBの「ささやき声」レベルの音を出しています。左右とも赤ちゃんが振り向いてくれればOKです。