「カシャ」すぐ近くで不穏な音
4歳の娘と1歳の息子を連れて電車でおでかけをしたとき、子ども2人はおそろいコーデで、すれ違う人にたびたび「わっ、かわいい!」と言われていました。「やっぱりうちの子たちかわいいよね~」と、心の中で鼻高々になりながら、みんなで電車に乗りました。
電車内は空いていたので、私とベビーカーの息子はドア付近に、娘と夫はドア付近の立ち、座席の端に座っていたのですが……。ガラ空きの車内で「今、大きい建物があったね!」など外を見ながら楽しく過ごしていたら、カシャッとすぐ近くでカメラの音がしました。
え?今勝手に撮った?
振り返ると、子どもたちの目の前に大柄なおじさんが。手にはスマホを持って、それを子どもたちに向けています。「かわいい子たちだね」と私にニッコリ笑い、また勝手に子どもたちをカシャッと撮りました。いきなりの行為に面喰ってしまった夫と私はちらりと視線を合わせ、夫が「あの、すみません、勝手に撮らないでもらえますか」と言いました。
しかしおじさんは「大丈夫大丈夫」と見当違いの返事をして、またパシャリ。「いや、あの、困ります」と夫が言いましたが、「何も使ったりしないよ」と面倒そうに言って再びパシャリ。おじさんに話が通じず、夫はオロオロしています。私は夫とおじさんのやりとりを見守っていましたが、次第に話の通じないおじさんに不安が大きくなっていきました。
しつこい…? 子どものためですから!
そこで私が横から「あの、子どもの写真を撮らないでください」とひと言。「何も悪用しないから大丈夫」とヘラヘラするおじさんに、「いえ、撮った写真も消してください。お願いします」と、自分よりはるかに大きな体格のおじさんに内心びくびくしながらも、できるだけ冷静に言葉を選びながら言いました。
おじさんは私の言葉に不快そうな顔をして「わかったよ」とスマホをおろし去ろうとしました。私は慌てて「写真削除して確認させてください!」と追加。おじさんはハーッとため息をつきながらスマホを操作し、「これでいいだろ!」と写真を削除したスマホ画面を見せて行ってしまいました。
おじさんが行ってからドッと汗が出てきた私。大柄な男性を咎めるのはとても勇気がいりましたが、もし子どもたちの写真が悪用されたらと思うと不安で、行動に出ていました。子どもをかわいいと思う気持ちはわかりますが、最低限のマナーは守ってほしいと思った体験談です。
著者:山口 花/30代女性・主婦。田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。
作画:うちここ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています