※コロナ禍前の体験談です
子育ての1つの分岐点…
子どもが1歳を迎えるころは、私の周りのママ友にとって子育ての分岐点だったように思います。育児休業を終えて保育園に入園させたり、2歳まで育休の延長をしていたり、幼稚園入園までは仕事をセーブするママ友もいて、それぞれの生活に合わせた子育てをしていました。
ライフスタイルが変わっても、子どもたちが生まれたころから家族ぐるみで交流のあるママ友の存在は、いわゆるなんでも話せる同志。その日も気心が知れた仲間だからこその悩み相談で集まっていました。
ママ友の悩みごと
きっかけは1人のママ友の発言。そのママ友は子育てで一度仕事を辞め、育児に専念している私とまったく同じ状況でした。仕事をしているママ友に対し、「子育てには仕事のような生産性がない。自分は何も生み出せていないから、仕事をしていることがうらやましい」と悩みを話し始めたのです。
周りはその言葉に「子育てってすごく大変だし、そんなことないよ!」と励ましてその場は和みました。しかし、同じライフスタイルを送っていた私にとって「子育ては生産性がない」という言葉がとても引っかかり、悲しい気持ちになりながらその場を終えました。
気づかされた義母からの言葉
その後、時間が経ったあとも心にしこりが残るなか、義実家へ家族で遊びに行ったときのこと。義母は嫁姑の間柄ではあるものの、私にとって子育ての良き相談相手です。思い切って私は、義母に先日の友人のことを相談してみることにしました。
すると義母は「確かに手に取れる報酬や成果はないから、疲れてしまうときもあるよね。時代も変化していて、私たちの子育てのときは働いている母親が少なかったから、仕事と比べることはあまりなかった」と友人の気持ちを汲みつつ、「それぞれの生活があって働く人、働かない人、なかには働ける状況にない人もいるからね。捉え方もそれぞれだけれど、子育てって毎日違うでしょ? 成長してるって実感もあるでしょ? それが生産性だと私は思うよ」と言ってくれたのです。
もしかしたら私自身も子どもの小さな変化に気づいてはいても、慣れてしまっていたのかなと気づかされました。
ママ友の悩みで自分自身が落ち込んだということは、当時の私も子育てのちょっとした喜びや達成感を見失っていた時期だったのかもしれません。悪意のない言葉に傷つき悩んだときは、日々の生活のなかで自分なりに頑張り、小さな喜びに達成感を感じられることが大事だと義母から学んだ経験でした。もちろんそのママ友とは今でも子育ての良き仲間です。
イラストレーター/山口がたこ
監修/助産師REIKO
著者:伊藤 美里
3歳の男児の母。多忙な夫との3人家族で、ほぼワンオペ育児を楽しんでいる。料理と子どもが好きで、食に関する情報や自身の子育て経験を中心に執筆活動中。