こんにちは。保育士の中田馨です。「実際に保育士がしている、イヤイヤ期のテーマ別の対応方法」のうち、今回は「食事でイヤイヤ星人」をお届けします。
※訂正:(誤)食事でイヤイヤ星人に→(正)食事でイヤイヤ星人の
食事でイヤイヤする子への対応方法
1日3回やってくる食事。子どものことを考えていろいろな食材を使ったり工夫しながら料理をつくっているのに、ひと口も食べずに「イヤ!」と言ってプイッと横を向いてしまうという経験をしたことがあるのではないでしょうか?
ひと口でも多く食べてほしいのが親心ですが、頑なに口を開いてくれないとどうすることもできません。無理やり口に入れるわけにもいきませんので、悩むママも多いことでしょう。
食事でイヤイヤ星人への基本的な対応方法は以下の4つです。
1.食べない食材があっても良しとする
2.食事には決まりがあると伝える
3.十分に甘えさせる
4.ある程度子どもの思いを尊重する
では、実際に保育所であった具体例を挙げながら見ていきましょう。
苦手な食べ物をひと口も食べないイヤイヤ星人
苦手な食べ物をひと口も食べてくれないイヤイヤ星人はとっても多いものです。私の保育所のイヤイヤ期の子どもたちは全員がそうと言ってもいいくらい。例えば、きのこが苦手な子の場合、きのこ単体ではもちろん食べません。えのきと一緒に数種類の野菜を汁物にしたら、じょうずにえのきだけをよけて食べます。ハンバーグにしいたけを練り込めば、その香りに感づいて食べてくれません。
このようなイヤイヤ星人にはどうすればいいのでしょうか?
まずは「食べない食材があっても良しとする」と思うことです。苦手な食材の1つや2つ大人もあると思います。なので、苦手な食材が多少あっても問題ありません。まずは、えのきが入っているのに汁物を食べようという意欲がある子どもを認めます。「今は、きのこを食べなくてもいいや」と思いましょう。
とはいえ、将来的に食べてほしいと思うなら、子どもが苦手な食材も定期的に食卓に出して、その存在を見せ続けます。親が「おいしい!」と食べているところを見せることが大切です。
椅子に座らないイヤイヤ星人
食事中にすぐ椅子から逃げ出したり立ち歩いたりする子がいます。つい追いかけてしまいたくなるところですが、それはNG。食事のマナーとして、立ち歩いて食べるのはよくありませんが、それよりも立って歩いて食べているときに、食べ物を喉に引っ掛けてしまうことのほうが怖いのです。
このようなイヤイヤ星人には「食事には決まりがあるんだよ」ということを伝えます。例えば、食事は座って食べるということもその1つ。座らないと食べさせないという家ルールをつくってしまうのです。
追いかけて食べさせると「歩いて食べてもOKなんだ」という認識になりますので要注意です。また、椅子から逃げ出した子どもに対して「待て待てー!」など大きなリアクションで対応すると、子どもはママに反応してもらって楽しいと思ってしまいますので、座らせるときは「椅子に座るよ」っと淡々と対応しましょう。
自分で食べられるのに食べさせてほしいイヤイヤ星人
手づかみ食べもスプーンやフォークなどを使って食べられるのに、急に「ママ、食べさせて!」と自分で食べなくなる子がいます。ママとしては、「もう、自分で食べられるでしょ?」と思うことでしょう。
このようなイヤイヤ星人には、十分に甘えさせましょう。ママに「食べさせて!」と言ってくるのは今だけの話です。子どもが成長する中では、心の充電がたくさん必要な時期があります。充電の方法はその子によって違います。この子の場合は、食事の時間に出てきたのかもしれません。ママが食べさせてあげたとしても、「じゃあ、自分でもひと口食べてみよう」と誘うのはもちろんOKです。
スプーンもまだなのにお箸で食べたがるイヤイヤ星人
まだ、手づかみ食べがメインでスプーンすらうまく使えないのに、パパやママの様子を見て「お箸が使いたい!」と言ってお箸を持ちたがる子がいます。持たせなかったら大泣きするので、持たせていいものか悩むところです。
このようなイヤイヤ星人には、ある程度子どもの思いを尊重しましょう。ある程度というのは、子ども用の短いお箸を用意して持たせるのはOKです。食具に興味を持つことは頼もしいものです。ただ、お箸は子ども用のものを必ず大人がそばで見守りながら食べさせてください。
イヤイヤ期全般に言えることですが、子どもがイヤイヤ言い出したらすぐに解決することはできません。いつもの3〜4倍は時間がかかるかなと大らかな気持ちで対応しましょう。
作画:はたこ