友人との飲み会へ行くと…
その日私は、仲のいい男友だちと飲みに行く予定でした。友だちから急に「1人友だちを連れて行く」と言われて、お店へ行くとなんと目の前にいたのは外国人! 外国の方と交流をしたことがなかった私は「ハロー」としか言えず、焦りで固まってしまいました。
友人も英語は話せなかったはずなので、どういう経緯で出会ったのか詳しく聞くと、外国人の彼からあるお店の場所を聞かれスマホの翻訳機能を使って話をしているうちに、意気投合してしまったとのこと。そして「一緒に飲みに行こう!」という流れになったというのです。コミュニケーションがうまくとれなかったらどうしようという不安はありましたが、彼を含めて3人でそのままお酒を楽しむことに。
そして、彼は年下だということ、人生で初めての一人旅で日本にきたこと、エンジニア志望の学生だということがわかりました。私たちは英語と日本語をミックスしながら話をして、仲良くなっていきました。
帰国前日に初めて2人で食事へ
彼とは連絡先を交換し、飲み会後も時間があれば友人含め3人で会うように。居酒屋や博物館へ行くなど、一緒に遊ぶなかでいろいろと彼の人となりが見えてきました。そして、真面目でやさしく、とてもいい人だなと彼に惹かれ始めていた私。しかしそのときは、なによりも日本を満喫してほしいという気持ちでした。
こうして約2週間ほど彼とは連絡を取り合っていたのですが、彼の帰国前日に「ラーメン屋に行きたい」と言われ、初めて2人で食事に行くことに。
2人でラーメンを食べたあと……その帰り道になんと彼から告白!
突然のことだったので、驚いてしまった私は「好きだけど、もう少しよく知ってから付き合いたい」と翻訳機能を使って返事をしました。すると彼はなぜだか少し照れた様子。最後にハグをして、次の日彼を見送ることに。
え!? 彼からきたメールに驚き
彼を見送ったその夜。彼から届いたメールには「今日が僕たちの記念日だね、僕は今幸せだ、愛してる!」という言葉が。
……???
「え? 誰と誰の記念日?」とプチパニックになってしまった私。
どうやら、彼は「好きだけどもう少しよく知ってから付き合いたい」という私の返事を、告白をOKしてもらえたと勘違いしたようでした。
彼のメールを前に「どうしよう!」と焦りましたが、その後、論文のような長いメールが。そこには日本語と英語を使いながら、日本で一緒に過ごした思い出や私への思い、遠距離についての思いがつづられていました。
「たくさん会いに行く」とも書いてくれていて、彼の勘違いではあったものの、その一生懸命さが愛しいなと思った私は、そのまま交際をスタートすることにしたのです。
遠距離恋愛のハードルとなったのは…
こうして付き合うことになった私たち。交際スタートから日本とフランス約9,844km、時差8時間の遠距離が始まりました。やりとりは、ビデオ電話やメッセージが主でしたが、長期のお休みはお互いの国へ行くことも。しかし、距離もあったので交際期間の約4年間で、会っていた時間はすべて合わせても1年ほどしかありませんでした。
そして私たちの恋愛は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けることに。彼は2020年の4月に日本に来る予定でしたが、新型コロナウイルスの流行を受けてすべてキャンセルになってしまいました。
人生、いつ何が起こるかわからないし、まして海外渡航なんていつできるのかと2人でビデオ通話をしていたとき、ふと画面を見ると、ビデオ電話越しに指輪を持っている彼の姿が。
「本当は日本の桜の下でするはずだったけど……ここでごめん。結婚してくれる? 今回は勘違いしたくないからYesかNoで答えて」とプロポーズされました。突然の出来事に驚きましたが、このプロポーズには迷うことなく「Yes」と答え、私たちは結婚することになったのです!!
彼の勘違いから付き合うようになった私たちですが、現在は無事に結婚の手続きを済ませ、海外で楽しく暮らしています。
今でもよく勘違い?言い間違い?はよくありますが、これは国際結婚あるあるなのかなと思います。私たちのなかでは夫婦の笑いのネタとしてよく話題に挙がっています。
著者/斉藤菜摘
イラスト/マメ美
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