こんにちは! 保育士の中田馨です。おじいちゃん、おばあちゃんに育児をお手伝いしてもらうこともありますよね。家事や仕事に忙しいので、両親や義両親の手助けが頼りになっている・助かっているという方も多いことでしょう。その一方で、「実はその行動はやめてほしい……」ということもありませんか?
今回のテーマはおじいちゃんやおばあちゃんの孫へのちょっと困った行動についてお伝えします。
母乳・布おむつ推奨派
「母乳で育てないの?」「紙おむつでラクしてちゃダメよ」などと言われたことがあるママもいるようです。
結論から言うと、母乳も育児用ミルクもそれぞれメリット・デメリットがあるので、赤ちゃんとママの体の状態や家庭の状況に応じて選択すれば問題ありません。そして、布おむつはおしっこが出たと赤ちゃんが感じやすい。紙おむつは、漏れにくく、長めの時間使える。などそれぞれの利点があります。
授乳もおむつも「こちらのほうが、絶対的に良い」というものはないことを知っておいてください。
私の場合は、子どもが生後1カ月から仕事に復帰したのに、「母乳と布おむつでできる限り育てたい」と思ってしまい苦しんだ1人。だんだん出なくなる母乳を時間をかけて飲ませたり、せっせと布おむつの洗濯をしたりして、最終的にそれがイライラにつながってしまいました。授乳しているときの子どものぬくもりや、白い布おむつがベランダで風に揺れている景色は、幸せでもあったんですけどね。
そんな私が「便利なものに頼ってもいい」と気づいたのは半年後。自分の意思でもしんどくなってしまうのに、外から言われるとママは大きくダメージを受けてしまうだろうな……と想像できます。
授乳もおむつ替えも毎日のことで、ほぼママがしなくてはいけないこと。周りの意見は参考までに聞いておき、ママが頑張れる範囲で使い分けるとよいのではないでしょうか。
昔の子育てを推奨する
子育ては、時代によって変化していきます。それは、子どものことを研究していくうちに「こちらのほうが適切」と発見されるからです。子育ての常識で変わったことのうち、今回は代表的な3つを例に挙げます。
①「抱き癖がつくから抱っこしすぎてはダメ」
「抱き癖がつくから抱っこしすぎてはダメ」というおじいちゃんやおばあちゃんもいますが、赤ちゃんが泣いたらできる限り抱っこしてあげましょう。抱っこは、赤ちゃんの心を安定させてくれます。
②「うつぶせ寝を推奨」
うつぶせ寝は、窒息や乳幼児突然死症候群につながります。現在では、厚労省でも1歳になるまではあお向けで寝かせることが定められています。医師の指示で必要なとき以外は、あお向けで寝かせるようにしましょう。
③「1歳までに卒乳」
1歳過ぎてもおっぱいを飲んでいる孫を見て、「1歳までに卒乳しなきゃ」というおじいちゃんやおばあちゃんもいますが、ママと赤ちゃんの気持ちに寄り添って自然に卒乳するのがよいでしょう。授乳の時間は親子のスキンシップでもあります。
どの子育て法も、昔はそれが常識だったのです。そのため、祖父母を否定するのではなく、「今はこんなふうに変わったんですって!」と伝えてみましょう。そのときに「保育士さんに聞いたんだけれど」など専門家に聞いたと伝えてもいいかもしれませんね。
お菓子を与え過ぎる
よくママたちから聞くのは「お菓子を与え過ぎて困る」という意見。わかります。私も経験者です。
私の場合は、同居している私の父です。父はミルク飴が大好き。しかし、小さな子どもに飴を食べさせるのは喉に詰まってしまう危険性もあるので、やめてほしいですよね。父には「ひとりでコッソリ食べてね」と口を酸っぱく言っていたのですが、娘が近くにいるのに、コッソリ食べようとするのです。(全然、コッソリではない!)
案の定、飴の袋を開ける音に敏感に反応する娘。そして、飴をGET! です。きっと、私がそばにいないときは、もっといろいろともらっていたことだと思います。
祖父母の心理としては「かわいい孫に、おいしいものを食べてもらいたい」という気軽な気持ちです。悪気はないのです。そのため、こちら側のルールを決めることと、「ここまでならOK」なルールを伝えてみましょう。
例えば遠方の祖父母の場合は、会うこと自体がたまになので、いつもより少し量や種類が多くてもよしとしていいのではないでしょうか。その上で、「最近、このお菓子が好きなんです」、「ケーキはまだ与えていないので、こちらのおやつがいいです」など今のお子さんの様子を伝えてみましょう。
私のように同居していたり、近所でよく会う場合は、上記と同じようにお子さんの様子を伝えることはもちろんのこと、おやつを食べる時間帯や量の目安を伝えてみてもいいでしょう。「おばあちゃんのおにぎりがおいしいって言ってました!」など、おやつになりそうな祖父母の手づくりのものをリクエストしてもいいかもしれませんね。
今すぐ使わないもの(必要のないもの・高価なもの)を相談なしに買う
「誕生日に、大型のプレイジムをプレゼント。家が狭くて置き場がないのに……」
「普段着できそうにない、高価な洋服。この服を着て出かける用事がない」
「将来のためにと辞書。使うのはきっと、10年後?」
「もうすぐひとりで寝るでしょ、と2歳の子に大人布団」
などなど……。
パパやママの意見を聞かずに、買ってしまったパターンもよくありますよね。気持ちはとてもありがたいですけどね。まず大切なのは、パパとママに「何が欲しい?」と聞くこと。そのときに、パパとママも「何でもいいですよ」と答えるのはNGです。欲しいものをきちんと伝えましょう。
また、買ったわけではありませんが、「息子が昔、読んでいたの」と古い破けた絵本をプレゼントされた方も。長い間、保管していたのだから大切だろうに。しかし、子どもが触ったらもっとボロボロになりそうなので、どう扱えばよいか困ったとのことです。これを聞いて「わ! 私、絵本だったらしてしまいそう!」と数年後の未来を想像してしまいました。気をつけなければですね。
おじいちゃんやおばあちゃんがしていることは、すべて「孫のために、良いと思ってしている」ことです。「困るなぁ……」と思うこともあるかと思いますが、もしかするとそれはそれぞれのコミュニケーションが足りていないことが原因なのかもしれません。お子さんのことを大切に思っている者同士です。これからも、子育ての協力者として感謝の気持ちを忘れずにいけたらいいのかな? と思います。