50代でコレステロール値は急上昇
健康診断の結果を見て、コレステロール値の上昇に驚く方は少なくありません。実は、この記事のテーマである「50代女性で数値が急上昇する」という傾向は、最新の医療データでも裏付けられています。
現在、脂質異常症の診断で重視されているのは、悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール」の値です。日本動脈硬化学会では、LDLコレステロール値が140mg/dl以上の場合を「高LDLコレステロール血症」としています。
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」のデータによると、LDLコレステロール ≥140 mg/dL に該当する女性の割合は、
・40代(40~49歳):18.5%
・50代(50~59歳):39.8%
と、50代を境にリスクが2倍以上に急増しています。
※出典データは「コレステロールまたは中性脂肪を下げる薬を使用している人を含む集計」です(令和元年・厚生労働省 国民健康・栄養調査)
自覚症状がないまま、なぜこれほど数値は上がってしまうのでしょうか。
コレステロール値の上昇は閉経後の体と深く関係

50代にコレステロール値が上昇する割合が増えるのは、閉経と深く関係があると駒形先生は言います。
「コレステロールは体に必要なホルモンの原料でもありますが、閉経後はエストロゲンを生成する量が激減するため、何もしないとコレステロールが過剰になってしまいます。
閉経前の更年期前期から、コレステロール値は少しずつ増える人が多くなります。それまでの数値より上がっていることがわかったら、脂質異常症の予備軍の可能性があります」(駒形先生)。
脂質異常症を放置すると…
「LDL(悪玉)コレステロールが高いということは、細胞に運ばれず血液中に残ってしまったコレステロールが多いということになります。取り残されたコレステロールが血管の壁にくっついて血流が悪くなり、動脈硬化を引き起こしてしまうこともあります。
動脈硬化が進行してしまえばさらに血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の疾患のリスクが上がります。
コレステロール値は、値そのものに異常があったとしても自覚症状が表れることがほとんどありません。ですから、定期的に健康診断や検査をおこなったり、自主的に生活習慣に気を付けることが大切なのです」(駒形先生)。
食生活で特に注意したいことは?

現在は脂質異常症の基準値を超えていなくても、閉経に向かうにあたり、これまでと同じ生活をしているとリスクが高まってしまいます。
「まず気を付けて欲しいのが食生活です。よく、体のことを考えて揚げ物は控えているという方を見るのですが、揚げ物を毎日食べる人はほとんどいないと思います。むしろ大切なのは、
毎日何げなく口にしているものに脂肪が含まれているのを知ることです。
特に多いのが、乳脂肪を多くとり過ぎているパターン。朝はトースト、昼はピザ、間食にクッキー、ドリンクはカフェオレ……といった場合、かなりの乳脂肪をとっています。パンやお菓子を手作りする方はわかると思いますが、かなりのバターやマーガリンを使用しているからです。
一切とってはいけないということではなく、毎日食べているものに乳脂肪が多く含まれていることを意識して、頻度を減らすだけでも変化があると思います」(駒形先生)。
まとめ
50代は、閉経という体の大きな変化に伴い、生活習慣のリスクが表面化しやすい時期です。最新の調査で「50代女性の約4割(39.8%)」がLDLコレステロールの基準値を超え、その割合が「40代(18.5%)の2倍以上」であるという事実は、決して他人事ではありません。
リード文の「特に暴飲暴食していないのに」という疑問に対し、駒形先生の「揚げ物より、パンやカフェオレに潜む乳脂肪」という指摘は、大きな「気付き」です。自覚症状がないからこそ、健康診断の結果を「体からの重要なサイン」として真摯に受け止め、日々の何げない食習慣から見直す「学び」のきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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取材・文/mido
ライター歴25年以上。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。