子連れで帰省中の電車でドキドキ
当時、息子たちは2歳と1歳とまだ幼かったのですが、急用で九州の実家へ行かなければなりませんでした。実家へは新幹線から在来線に乗り継いで行くのですが、降りる予定の駅のホームは改札口が遠く、階段を使わないと改札口まで行けない造りです。私は、次男を抱っこひもで抱いた状態で長男の手を引きながら、ひとりでスーツケースを運ぶことができるかが心配でした。
とにかく、長男まで寝てしまうと、スーツケースを運ぶのがもっと難しくなると思い、在来線に乗り換えてからは、長男を寝かせないように必死です。「窓の景色を見てみようか!」と声をかけると「ママ! あっち見て! 海が見えるよ!! お船も見えるね!!」と長男は久々に見る電車からの景色に大興奮。長男の声が少し大きかったせいか、扉の近くに立っていた金髪でピアスをたくさんつけた若い男性が、こちらをジロッと見てきて溜息を吐きます。「もう少し小さい声でね! そろそろ着くから準備しようか」と言いながら私は、男性の鋭い視線を気にしつつ、降りる準備を始めました。
左右どちらの扉が開くのかアナウンスがありましたが、運が悪いことに、開くのは金髪の男性が立っている側でした。「どうしよう! また睨まれるかも……」などと考えながら、男性のそばを横切ろうとしたそのときです! 「ちょっと!!」と男性が声をかけてきて、私が運ぼうとしていたスーツケースに手をかけたのです。私が驚いた表情をしていると「俺も降りるんで、運びますよ」とスーツケースを軽々と持ち上げて電車から降りていきます。「えっ! あっ! 重たいのにすみません。ありがとうございます」と私がお礼を言うと、「小さい子がいるのに階段しかない駅もあるから、大丈夫かなって思ってたんすよ!」と男性ははにかんだ表情。
どうやら、男性は私たちを睨んでいたのではなく、私たちのことを心配して様子を見ていたようです。「お兄ちゃん、ありがとう」と長男も私のまねをしてお礼を言いました。男性は、お礼を言われて恥ずかしかったようで、「電車好きなの?」と照れているのを隠すように、長男へ少し赤くなりながらもにこやかに話しかけてくれたのでした。その後、男性のお言葉に甘え、ホームの階段を下りるところまでスーツケースを運んでもらうことに。男性が長男と楽しく話してくれていたおかげで、長男も抱っこをせがむことなくスムーズに移動でき、本当に助かったし心遣いがうれしかったことを覚えています。
あれから5年ほど経っていますが、私たちのことを心配して、さっと助けてくれた男性には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。私も男性を見習って、周囲で困っている人がいたら、躊躇せずに手助けできる大人でありたいと思った出来事でした。
著者:鈴木遼子/30代・ライター。7歳と6歳の年子の男の子を育てる母。毎日パワフルに活動する子どもたちに振り回される日々だが、大好きなコンビニスイーツを食べて体力を回復している。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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