婦人科検診って何を検査している?
自治体や企業、検査機関により違いはありますが、一般的には以下のような検査がされるそうです。
内診
おなかを触りながら腟に指を入れて検査し、子宮の大きさや動きを見ます。異常がある場合は子宮筋腫あり、子宮腫大(腫れ)あり、卵巣嚢腫疑いなどと指摘されます。
頸部細胞診
子宮の入り口の細胞をこすり取って検査。現在は「クラス分類」と「ベセスダシステム」の両面から評価されます。大半は子宮頸がんの検査であり、子宮体がんの細胞診はオプションでおこなわれることが多いです。
超音波
内診だけではわからない子宮や卵巣の内部を調べます。
「クラス分類」「ベセスダシステム」とは?

頸部細胞診には「クラス分類」と「ベセスダシステム」、2つの評価があるのはどうしてなのでしょうか。
「子宮頸がんの検査結果は、これまで『クラス分類I~V』 の5段階で表していました。このクラス分類は、患者さんへ検査結果を伝えるには非常にわかりやすく便利でしたが、一方で、微妙な異常を分類し切れず、診断の見落としにつながることもありました。
そこで、従来のクラス分類に代わる子宮頸がんの新しい細胞診報告様式として、国際分類である『ベセスダシステム 』に基づいた分類が推奨されるようになったのです。
『ベセスダシステム 』では単なるクラス分類ではなく、より詳細に推定病変を明らかにし、 ヒトパピローマウイルス(HPV)関与のエビデンスを取り入れていることに特徴があります。これにより子宮頸がんの前の段階(前がん病変)の微妙な異常も見つけやすくなりました」(駒形先生)。
【ベセスダシステムの意味】※( )内はクラス分類の場合の表記
・NILM(クラスI・Ⅱ相当)=正常な細胞のみ
・ASC-US(クラスⅡ・Ⅲa相当)=軽度の扁平上皮(体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織)内病変疑い
・ASC-H(クラスⅢa・Ⅲb相当)=高度の扁平上皮内病変疑い
・LSIL(クラスⅢa相当)=HPV感染や軽度の異形成(異形成=正常とがんの中間の状態)
・HSIL(クラスⅢa・Ⅲb・Ⅳ相当)=中等度異形成・高度異形成・上皮内がん(がんが上皮にとどまり浸潤していないがん)
・SCC(クラスⅣ・V相当)=明らかな扁平上皮がん(体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織から発生するがん)
「NILM」ならとりあえず安心?

「NILMとは陰性という意味です。
さらにクラス分類がクラス I なら問題ありません。 クラスⅡの場合は、良性の細胞変化と書かれていることもあるかもしれません。 クラスI よりは細胞が変化しているという意味ですが、これも NILM なら要検査にはなりません」(駒形先生)。
【検査結果への対応】
・NILM→精密検査不要。定期検診を続ける
・ASC-US→要精密検査。ヒトパピローマウイルス(HPV)検査
・ASC-H・LSIL→要精密検査。コルポスコープ(腟拡大鏡)による組織診
・HSIL→要精密検査。コルポスコープ組織診
・SCC→要精密検査。コルポスコープ組織診
「要精密検査という指示があった場合は必ず守りましょう。また、3カ月後受診、6カ月後受診という指示がある場合もあります。それは、子宮筋腫などが時間とともに大きくなっていないか観察するため。自覚症状がないからと放置するのは危険です。検査しておけばよかったと、後悔しないようにしてほしいです」(駒形先生)。
まとめ
今回解説した「NILM」や「ASC-US」などの用語を知っていると、検診結果を受け取ったときの不安が大きく変わります。単に「要精密検査」という文字におびえるのではなく、「今はどういう段階なのか」「なぜ再検査が必要なのか」を理解することで、前向きに次のステップへ進めるはずです。
婦人科検診は、自覚症状が出る前の小さな変化を見つけるための大切なチャンス。もし結果通知に見慣れないアルファベットが並んでいても、放置せず、自分の体を守るために必ず医師の診断をあおぐようにしましょう。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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取材・文/mido
ライター歴25年以上。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。