しかし、いざ同居が始まると、予想もしていなかった事態になったのです。
同居直後から、義母の暴走が始まった
同居を始めてしばらくすると、義母は私たちの生活にどんどん口を出すようになりました。
夫の誕生日には、「この店がいいわよ!」とレストランを勝手に予約し、プレゼントも勝手に購入。もちろん、支払いは当たり前のように私に請求してきました。
家族旅行も、「ここに行きたいから予約したわ。支払いよろしくね」と、当然のように事後報告。
「予約する前に一度相談してほしいんです」
そう伝えても、義母はいつもにこにこしてスルー。思い通りになるのが楽しいのか、終始ご機嫌でしたが、私は少しずつ、胸の中に小さなわだかまりが積もっていきました。
息子の誕生日に……母親、ついに限界!
息子の4歳の誕生日が近づいたころ、リビングで義母がケーキのカタログを広げ、嬉しそうに言いました。
「孫の誕生日ケーキは私が選ぶわね♪」
私は思わず固まりました。なぜなら今年のケーキは、息子と「好きなキャラクターのケーキにしようね」と話していたからです。義母は続けて、「プレゼントも買っておいたから、お金はあとで払ってね」と当然のように言いました。
それまで我慢していた気持ちが、崩れ落ちてしまいました。その夜、私はこらえきれず、夫に気持ちをすべて伝えました。
夫に気持ちを打ち明けると
「お義母さんが相談もなく、私たちのことを全部決めてしまうのはおかしいよ……」
すると夫は眉を寄せて言いました。
「母さんが張り切ってるのにそんな言い方しなくても。母さんの言う通りにしておけば揉めずに済むし、それでいいだろ?」
その言葉に、私は胸が痛くなりました。
「でも、私は困ってるの。自分たちのことくらい、自分で決めたい。これ以上耐えられない。このまま続くなら、同居をやめたいと思ってる」
声が震えそうになるのを、必死でこらえ、懸命に思いを伝えました。
妻の本気さに気付いた夫は
夫は黙り込み、考え込むように視線を落としました。私の本気さにようやく気づいた様子。
「母さんみたいに“全部決めてくれる”のが、俺にとっては普通だったんだ。でも、それが君には負担になってたんだな、ごめん」
「君の気持ち、ちゃんと考えてなかった。母さんには、距離をとってもらうように話すよ」
その言葉に、張りつめていた気持ちがふっと緩みました。
次の日、夫は義母に「僕たちの家庭のことは、僕たちに決めさせてほしい」と丁寧に伝えてくれました。
義母は少し寂しそうにしながらも、「わかったわ」と受け入れてくれました。そして、「今まで勝手にいろいろ決めてしまって、ごめんなさいね。良かれと思っていたけれど、あなたたちに負担をかけていたなんて気づかなかったわ」と謝罪してくれました。
程よい距離感で
その後の義母は、予約したり購入するまえに「これ、どう思う?」と事前に聞いてくれるようになり、私たちの意見も尊重してくれるようになりました。
息子の4歳の誕生日ケーキは、息子が選んだキャラクターケーキ。義母はそれを見て、「かわいいわねぇ」とやさしく笑ってくれました。
家族みんなが程よい距離感でつながる関係。それがようやく、形になり始めた気がします。
義母の言動に振り回されて、泣きたい夜もありましたが、今は、あのつらさがあったからこそ、互いに歩み寄る大切さを知ることができたのだと思います。少しずつ言葉を重ねて、ようやく同じ方向を向けるようになった気がします。これからもお互いの気持ちに耳を傾けながら、穏やかな日々を過ごせらたらと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。