突然の訃報と距離のある祖母
いとこが亡くなったとき、私はA子ちゃんと「祖母であるB美さんへ知らせるべきか」を相談しました。
「長く会っていないおばあちゃんだけど、お母さんのことは伝えたほうがいいよね?」と私が言うと、A子ちゃんは不安そうに「聞いても、どう思うのかな……」とつぶやきました。
連絡を入れると、訃報を聞いたB美さんは動揺しつつも、なかなか気持ちが追いつかない様子でした。娘(いとこ)の人生についても、「もっと違う選択をしてほしかった」と複雑な思いを口にしていました。
私は静かに答えました。「いとこは、A子ちゃんのために一生懸命働いていました。誰よりも娘さんを大切に思っていましたよ」と。
葬儀の日に起きたこと
葬儀の日、来られないかもしれないと思っていたB美さんが、予定より遅れて会場に姿を見せました。久々に顔を合わせたA子ちゃんを前に、何から話していいかわからないようで、ぎこちない空気が流れました。
しかし、ふとした拍子に、A子ちゃんの髪色を見ると、「随分明るい色にしたのね」と驚いたように声を漏らしました。表現こそ厳しめでしたが、長く会っていなかった孫への戸惑いがにじんでいたようにも思います。
気まずい雰囲気の中で、B美さんは「これからどうするの」と心配とも取れる言葉を投げかけましたが、A子ちゃんは答えに詰まってしまいました。
私は間に入り、「A子ちゃんのことは、私たち夫婦で支えていくつもりです。昔から交流もあり、部屋も用意できます。もちろん、A子ちゃんが望むならですが」と伝えました。
するとA子ちゃんは、ほっとした表情で小さくうなづいてくれました。
その後の成長と、8年越しの再会の気配
それから8年。A子ちゃんは勉強に励み、有名大学を優秀な成績で卒業。現在は海外の企業で働き、夢を実現させています。
親戚づてにその活躍を聞いたB美さんは、「そんなに頑張っていたなんて」と驚きつつも、どこか信じられない様子だったそうです。
A子ちゃんはよく言います。「私、インターナショナルスクールだったから自由な校風で、髪色も珍しくなかったんです。あのころは誤解されやすかっただけで、別に反抗していたわけじゃない」と。
私は伝えました。「あなたのお母さんも、何かを決めたら一生懸命向き合う人だった。あなたが努力家なのは、その姿を見て育ったからだと思うよ」と。
B美さんは、年齢とともに以前より柔らかい表情を見せるようになったと聞きます。価値観の違いで距離ができてしまったとしても、家族の形は時間とともに変わっていくものだと感じています。
一方で、A子ちゃんは今も私と夫に、「これからも支えさせてね。第二の親のつもりだよ」と言ってくれます。その言葉だけで十分すぎるほど幸せで、これからも彼女の人生をそっと見守っていきたいと感じています。
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価値観の違いから実家に頼れなかったA子ちゃんでしたが、いとこの家で温かく育ち、立派な大人へと成長しました。血縁の濃さよりも大切なのは、そばにいて寄り添おうとする気持ち。支え合える関係こそが、家族の本当の姿なのかもしれません。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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