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予定日はまだ先……今赤ちゃんが生まれたらどうなる?【前編】

この記事では、助産師のREIKOさんが早産について解説します。在胎24週で生まれた赤ちゃんの体重は約650g前後。いろいろな臓器が未発達で、さまざまな手助けが必要。まずママのおなかの中の環境に近い状態をつくり、未発達な部分を補う治療やケアがおこなわれていきます。

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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保育器に入っている赤ちゃん

 

こんにちは! 助産師のREIKOです。私はNICU(新生児集中治療室)のある病院で働いていたので、産婦人科病棟には切迫早産で入院されている方がたくさんいらっしゃいました。なかには、長期の入院を余儀なくされる方もいらっしゃって、医師も助産師も、「妊娠〇週まで頑張ろう!」とよく説明していました。

 

妊娠6カ月で入院したママに、いきなり「妊娠37週まで……」なんて言いません。まずは「妊娠24週(7カ月のはじめ)」まで。それがクリアできたら「妊娠28週(8カ月のはじめ」までと、目標を設定していきます。この目標はその後、「妊娠32週(9カ月のはじめ)」「妊娠35週(9カ月の終わり)」と続きます。これにはきちんと理由があるんです。この理由について、2回に渡り、解説したいと思います。

 

赤ちゃんの体重もだけど週数も大事!

在胎22週未満で生まれた赤ちゃんは、厳重なNICU管理があったとしても、ママのおなかの外では生きることができません。言い方を変えると、在胎22週以降に生まれた赤ちゃんは、厳重なNICU管理があれば、ママのおなかの外で生きることができる!?……たしかにそうかもしれませんが、やはり在胎週数(赤ちゃんがママのおなかの中にいる週数)が浅ければ浅いほど状況は厳しいというのが現状です。

 

順調に経過すれば、ほとんどの赤ちゃんが在胎10カ月で生まれてくるので、みなさんは在胎何週で生まれたかということより、何gで生まれたかということのほうが気になるのではないでしょうか? 体重も大切なのですが、NICUで小さな赤ちゃんを治療・ケアをするうえでは、「在胎何週何日で生まれたか?」ということも重要なんです。

 

まずは「妊娠24週」。この時期に生まれた赤ちゃんって?

在胎24週で生まれた赤ちゃんの体重は、約650g前後。生まれたときの体重が1,000g未満の「超低出生体重児」ですが、体重が500gを超えてくると、生存率も上昇すると言われています。しかし、いろいろな臓器が未発達で、ママのおなかの外で生きていくためにはさまざまな手助けが必要になります。

 

呼吸の補助

ヒトが呼吸をするうえで「肺サーファクタント」という肺の中にある物質が必要になります。この肺サーファクタントは在胎20週ごろから作られ始めます。この時期では、肺サーファクタントの量が十分ではないので、「呼吸窮迫症候群(こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)」となり、お薬で肺サーファクタントを補ったり、気管に管を入れ、人工呼吸器で呼吸を助けたりということが必要になります。

 

出血予防

この時期の赤ちゃんの血管は細くもろいです。加えて血圧コントロールもうまくできないので、脳内出血を起こしやすい状態です。また、肺からも出血する可能性もあります。

 

感染予防

この時期の赤ちゃんの皮膚はとても弱く、傷付きやすくなっています。免疫力もないので、感染もしやすくなっています。そして、感染すると重症化しやすいのも特徴です。

 

栄養

この時期の赤ちゃんの腸の機能も未発達です。そのため、新生児壊死性腸炎という病気のリスクが高くなります。必要な栄養や水分は点滴をしたり、口から胃までチューブを入れて、そこから母乳やミルクを注入していきます。ちなみに、私が働いていた病院では、NICUに入院している赤ちゃんがお口から飲めるようなる目安は、保育器から出てからでした。

 

このほかにも未発達ゆえに、生まれたら閉じるべき血管の穴が閉じていなかったり、血糖値が乱高下したり、黄疸が強く出たりとさまざまな影響が出てきます。

 

「在胎24週」の赤ちゃんにはどんな治療・ケアをする?

「在胎24週」の赤ちゃんに必要なのは、まずママのおなかの中の環境に近い状態をつくること。ママの体温に近い温度に設定し、加湿した保育器に収容して体温管理をしていきます。それに加えて、保育器内を薄暗くし、赤ちゃんをママのおなかの中にいたときのように姿勢を整えます。

 

小さな赤ちゃんにとって、光や音は刺激となって悪影響を及ぼすことがあります。そのため、モニターの音、スタッフの話し声など細心の注意を払っているんですよ。赤ちゃんに刺激を与えないように、おこなうケアも必要最小限です。また、赤ちゃん自身が泣くことも呼吸状態が落ち着かなくなったり、出血の要因となったりするので、安静第一。ときにはお薬を使って安静にすることもあります。

 

そして、呼吸状態などを常時観察するために、心電図モニターや血液中の酸素濃度をモニタリングする器械などを装着しますが、皮膚が弱いので、こちらも細心の注意が必要です。点滴も同様です。血管が細くてなかなか点滴できない生まれたばかりの赤ちゃんの場合、へその緒の血管に管を入れて点滴をすることもあります。

 

こうして生まれた赤ちゃんにも、まずは24時間、次は3日、そして1週間といった目標があり、継続的な治療やケアがおこなわれていきます。私が働いていた病院のNICUでは、在胎24週以降の赤ちゃんの救命率がそれ以前の週数に比べて、ぐっと上がるということもあり、最初の目標が「妊娠24週」だったのかもしれませんが、とにかく1日1日の積み重ねが大切になってくると思います。

 

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