帰宅しない夫
「仕事終わったから今から帰るねー!」と夫から連絡がありました。職場から家までは15分ほどの距離です。ところが、メッセージが来てから1時間経っても帰ってきません。
さらに30分経っても帰宅せず、メッセージは既読にならず、電話もつながらなくなりました。心配が募ります。
「もしかして事故にでもあったのだろうか。それとも寄り道かな……? でも夫はそういうタイプじゃないし……」そんな考えが頭をよぎりながら不安になりながら待っていました。
すると、突然「ただいまー!」と夫が帰宅しました。いったいなにがあったのかと問い詰めると、「人助けて来た」と夫。
「え?人助けた?事故でもあったの?」と私は驚いて聞き返しました。
夫の仕事は大型トラックドライバー。さっきまで隣で作業していた別会社の人が、遠くから荷物を運んできて次の行き先について話をしていたそうです。夫は仕事が終わり、いつも通りの道を帰宅中に、その人とたまたま赤信号で隣同士になりました。
「あれ? どうしてここに?逆方向だし、あそこは道が狭いのに……。土地勘もなさそうだったし……」と心配になった夫は、助手席の窓を開けて運転手さんに声をかけ、目的地まで誘導しながら一緒に行ったのだそう。そのため帰りが遅くなったのでした。
誇らしげに話す夫の笑顔を見て、「この人と結婚して、この人の子どもを産めてよかった」と心から思いました。正直に言えば、私だったら「大丈夫かな」と思っても、そのまま帰宅していたかもしれません。
夫の行動は、特別なことではないのかもしれません。でも、困っている人を見過ごさず、自然に手を差し伸べられる。そんなやさしさを持った人だからこそ、私は惹かれたのだと改めて感じました。そして、子どもたちにもこの背中を見せていきたい。いつか子どもたちも、誰かのために動ける人になってくれたらうれしいです。
著者:山本杏奈/30代女性/4歳、2歳のきょうだいを育てる母。趣味はドラマ、映画鑑賞、YouTube見ること。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)