私を救った義母のひと言とは
私は初めての出産で里帰りをしていました。里帰り中は、夫は仕事終わりに私の実家で夕飯を食べ、車で15分ほどかけ自宅に帰る生活です。私は、1カ月経ってもまだまだ疲れは取れていませんでしたが、両親の負担も考慮し里帰りを終え、自宅に。
自宅に戻ると案の定、家事は手つかずのまま。トイレや浴室は汚れ放題で、洗濯物も山積みでした。覚悟はしていましたが、すべて片づけたころに私は体調を崩してしまいました。
症状は微熱程度だったため、市販薬でやり過ごそうと風邪薬を服用。授乳を控えるよう注意書きがあったため、仕方なく授乳はせず、搾乳して母乳は捨てていました。しかし、風邪が治まったころにひどい胸の痛みと、39度の高熱が出てしまい……。「きっと乳腺炎だ」と感じた私は、何度も母乳を絞りますが、なかなか改善せず、疲労困ぱいでした。
すると、仕事から帰宅した夫が不機嫌そうに「いつまでも具合悪そうにしてないでくれる!? 家事も全然終わってないじゃん!」と怒りはじめます。どうやら、私がずっと横になっていて家事が片づいていないのが気に入らない様子。夫の冷たい物言いに、私は「高熱が出て胸が硬くなってすごく痛いの。乳腺炎だと思う」と答えると「母乳が詰まってるなら風呂に入って温めるなりなんなりすればいいだろ! あと熱があるなら布団かけろ! そんな薄着で布団もかけないで。だからよくならないんだよ!」と毛布をかぶせられました。
もはや罵倒ともとれる夫の口調に私は言い返す気力もなく、夫の言うがままに毛布をかけて横になっていました。しかし、体温はどんどん上昇し、あまりの胸の痛さに涙目に。そのとき「体調はどう?」と、徒歩5分のところに住む義母が、夫から私のことを聞いて様子を見に来てくれました。
すると夫が「こいつ熱があるくせに、薄着で布団もかけずに寝転がっててさ。家事も全然だし体調管理する気ゼロなんだよ」とスマホを触りながら義母に言いつけます。「そんなに具合が悪いの?」と心配する義母に「胸がめちゃくちゃ痛くて……。きっと乳腺炎なんですけど夫はあっためろって……」と伝えると「乳腺炎は温めちゃダメよ!」と義母が夫の肩をベシ! と叩きました。
「え……そうなの?」と困惑する夫。「乳腺炎は冷やさなきゃ! テキトーなこと言わないでちゃんと調べてあげなさいよ! なんのためのスマホよ!」「それに産後しんどいときに風邪までひいたのは、あんたが家事もろくにしないで○○ちゃん(私)に全部押しつけてたからでしょう! なのに体調管理がうんぬんって、あんたこそ妻に寄り添う気ゼロね!」と義母に叱られ、先ほどまで勢いよく話していた夫はみるみる縮こまっていきました。義母のおかげで毛布から解放された私は、夫に保冷剤を手渡されながら、小さい声で「ひどいこと言ってごめん」と謝罪されたのでした。
その翌日には、胸の痛みは無事に引きました。乳腺炎の対処について私も詳しく知らなかったため、夫の言う通りにした結果、今回のような事態に。義母が教えてくれなければ、悪化していたかもしれません。今後は少しでも体調が変だと感じたら対処法を調べて、セルフケアが難しい場合は病院で診てもらうべきだと学んだ出来事でした。
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乳腺炎は、母乳を作る乳腺が詰まったり、細菌が感染したりすることで起こる炎症です。主な症状として、胸が硬くなったり、熱感や痛みが出たり、場合によっては赤く腫れることがあります。また、38~40度の高熱を伴うこともあり、産後のママにとって非常につらい症状です。乳腺炎の主な原因は、母乳の排出がうまくいかないことですが、疲労やストレス、授乳ペースの乱れも発症のリスクを高めます。
今回お義母様が仰った通り、乳腺炎を温めることについては注意が必要です。詰まりが原因の「うっ滞性乳腺炎」の場合、温めることで母乳の流れがよくなることもありますが、細菌感染を伴う「感染性乳腺炎」の場合は、温めることで炎症が広がり悪化する可能性があります。そのため、乳腺炎になった際は自己判断で温めるのではなく、基本的には冷やして炎症を抑え、痛みや腫れを軽減することが大切です。タオルなどを巻いた保冷剤や冷たいタオルを使い、患部を冷やすとよいでしょう。
また、乳腺炎の対処法として、母乳を適切に排出することも大切で、授乳や搾乳を行うことで乳腺の詰まりを解消する助けになります。ただ、無理に搾乳するのは禁物で、痛みが強い場合は助産師や医師に相談してくださいね。授乳姿勢を変えることで、母乳が流れやすい方向を調整でき、詰まりが解消されやすくなる場合もあります。
乳腺炎は疲労やストレスからも悪化しやすいため、しっかりと休息をとることも大切です。家事や育児を周囲に遠慮なく頼り、まずはご自身の体調を最優先にしてください。無理をしないことが改善への近道です。
もし乳腺炎の症状が重い場合や改善が見られない場合は、早めに病院を受診してください。高熱が続いたり、胸の痛みや腫れが広がったり、母乳に血液や膿が混じる場合は、「乳腺膿瘍」と呼ばれる状態に悪化している可能性があります。乳腺膿瘍とは、乳腺に膿がたまる状態で、切開して膿を排出する処置が必要になることもあります。そのため、早めの診断と治療が重要です。
産後の体は、疲労やホルモンバランスの変化でとてもデリケートです。乳腺炎だけでなく、心身ともに不調を抱えることも多いですよね。体調に不安を感じたら、無理をせず医師や専門家に相談してくださいね。
著者:清水清香/30代・ライター。1歳のひとり息子の母。共働きで忙しいが、充実した生活を送っている。趣味でイラストを描いたり、編み物をしたりするのが好きで、子どもの小物を作って楽しんでいる。
作画:sawako
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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