義母の嫌味から救ってくれたのは
私の夫には、弟が1人います。私たち夫婦の長女が2歳になり、また2人目の子宝に恵まれたころ、義弟は私より年下のA子さんと入籍しました。義母はおめでたいこと続きだと喜んでいたのですが、その後、事あるごとにA子さんと私を比較するようになったのです。
事の始まりは、義母の誕生日でした。義実家とは離れて暮らしている私たちからのプレゼントは、毎年当日着で郵送するのが恒例に。しかし、弟夫婦が入籍した年は、義母の誕生日を少し過ぎたころに義実家で法事が予定されていたため、義母も了承のうえで直接プレゼントを手渡すことにしたのです。
法事の前日に帰省した私たちは、早速2歳の長女から義母へプレゼントを渡してもらいました。義母は「あら、ありがとう」と言ったものの、中身を見ることなくプレゼントの袋を床へ置きます。そして、「それより赤ちゃんを抱っこさせて」と生後6カ月の次女を抱え、長女も連れて散歩に出かけてしまったのです。
私と夫は開けられなかったプレゼントの包みを見ながら、義母の様子が普段とは違うことを感じ取りました。しかし原因までは思い当たらず、その日は義母の機嫌をうかがいながら過ごし、法事当日を迎えることに。そして翌朝、参列する親族が集まったところで、義母がA子さんを皆に紹介し始めました。
「このたび次男と入籍したA子さんは本当に素敵な人で、先日の私の誕生日には当日にプレゼントを送ってくれました。いつもは長男からももらっていましたが、今年は届かずに寂しい思いをしていたので、うれしかったです」と話す義母。
そこで私と夫は、義母の不機嫌の原因はこれだったのだと気づきました。しかし、直接手渡ししたほうが喜ぶだろうと事前に義母本人に了承も得ていたのに、まさか親族の前でつるし上げられるとは思わず、ぎこちない笑顔でスルーするしかありません。
法事の後、義母にはきちんと当日にお祝いできなかったことをお詫びしましたが、その日を境に義母の態度は一変。それからというもの、帰省のたびに「字がきれい」「服のセンスがいい」などとA子さんを褒めながら、それに比べて……と私を蔑むようになりました。あげくの果てには、「A子さんは鼻の形がいいのに……。孫ちゃんたちも不細工なママじゃかわいそうだし、整形したら?」とまで言われる始末。A子さんも「いえいえ、そんな……」と、困った表情を浮かべます。夫は外出中でフォローしてくれる人もおらず、さすがに笑顔で流せなくなり、涙がこぼれそうになったとき、救世主が現れました。
「いじわるばぁばは嫌!あのねぇ、ママの鼻はかわいいの! 」と、2歳の長女が義母に反論してくれたのです。義母も孫には嫌われたくなかったようで、「違うのよ、もっとよくなるって言いたかっただけよ」と、まるで冗談だったかのように言います。しかしたとえ冗談だったとしても、まだ2歳の長女にわかるわけがありません。「じゃあ、ママの鼻も、私の鼻も不細工なの?」と目を潤ませながら話します。義母は「ごめんごめん。かわいいわよ。みんなかわいい。みんな、ばぁばの宝物よ~」と必死に弁解。長女も機嫌を取り戻しました。
さすがに義母も堪えたのか、その後は差別するような発言や、嫌味はなくなりました。
義母にとってはちょっとした意地悪だったかもしれませんが、それはただの嫁いびりではなく、2歳の娘の心にも傷をつける深刻なものでした。娘の純粋な言葉で、間違ったことをしたと義母が気づいてくれたのが救いです。家族間であっても、そしてどんなに自分の機嫌がわるかったとしても、人の心を傷つけることのないよう、発言には気をつけようと思った出来事でした。
著者:田村ゆい/30代・ライター。おしゃまな6歳とマイペースな3歳の姉妹を育てる二児の母。夫が単身赴任中のため、毎日ワンオペで奮闘中。賑やかな娘たちと慌ただしい毎日を過ごしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)