胎児の心拍が急低下…“珍しすぎるトラブル”の正体は
和痛分娩(麻酔薬を用いて陣痛の痛みを軽減する出産方法)のため前日に入院し、すでに子宮口も3センチ開いていたので、当日の朝はのんびりとした気持ちで迎えました。朝6時ごろにLDR(陣痛室・分娩室・回復室が一体になった部屋)へ移動し、麻酔も効いてほとんど痛みがなく、夫や子ども、母と和気あいあいと会話しながらスマホを触る余裕までありました。
しかし、子宮口が8センチほど開いたころ、突然赤ちゃんの心拍が急低下し、モニターの音が部屋中に響き渡りました。看護師さんたちが続々と駆け込み、私は酸素マスクをつけられて、何が起きているのか分からず不安でいっぱいに。
ところが、内診と超音波検査を行なった医師が状況を一変させる衝撃のひと言を発したのです。「赤ちゃんが、自分でへその緒をぎゅっと握りつぶしているね」。その瞬間、張り詰めていた空気が一気にゆるみ、先生が対応してくれたおかげで心拍はすぐ正常に戻りました。今でも「そんなことある!?」と家族の笑い話になるほど、忘れられない出産体験です。
このハプニングには、ちょっとした後日談があります。無事に生まれた次男を見た助産師さんたちから、「あの握力は将来大物になりますね」と世間話的にですが、何度も言われました。退院のときにも「へその緒を自分で握っていた子は初めてです」と言われ、あらためて珍しい出来事だったと実感。2歳になった次男はやんちゃで何でも掴むのが大好きなので、「あのころから性格が出てたんだね」と家族でよく話しています。
◇ ◇ ◇
妊娠中期(10〜20週ごろ)になると、おなかの赤ちゃんは顔を触ったり、指しゃぶりをしたりといった“練習運動(生まれてから行う運動の準備のような動き)”をするようになります。近くにあるへその緒を触ることもありますが、多くの場合、それだけで危険になることはほとんどありません。
ただ、ごくまれに今回のようなケースや、胎児の首にへその緒が巻き付くといった臍帯(さいたい)トラブルが起こることもあります。胎動が急に少なくなったり、いつもと違う気がして不安を感じたりしたときは、早めに医師や助産師さんに相談しましょう。
著者:森山まなみ/30代 女性・会社員。4歳と2歳の兄弟を育てながら、現在3人目を妊娠中のママ。合間の時間に楽しむネットサーフィンが息抜き。
イラスト:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)