大揉めだった遺産分配
父が亡くなり、四十九日も過ぎて落ち着いた頃、遺産の分配について家族で話し合うことになりました。生前、父は「きょうだい仲良く、平等に分けてくれればいい」と何度も口にしていたため、母と私、弟の3人でトラブルなど起こるはずがないと安心しきっていたのです。
しかし、いざ蓋を開けてみると、事態は思わぬ方向へ進みました。
父の通帳や印鑑を管理していた弟が、話し合いの席で提示してきたのは、驚くべき遺産分割案でした。「長男である自分が家を継ぐのだから」という理屈と「父が生前言っていた」ということで、預金の大部分である約500万円を弟が取得し、私と母にはわずか100万円ずつしか渡さないという内容だったのです。
「これはどういうこと?」と、頭が真っ白になり、目の前の数字が信じられませんでした。後で分かったことですが、正式な遺言書はなく、弟が独断で作成した分割案だったのです。
驚きと不信感で混乱し、「お父さんは平等にって言ってたじゃない!」と反論しましたが、弟は聞く耳を持ちません。母はショックのあまり、言葉を失い、ただうつむいて涙をこぼすばかりでした。信じていた弟の豹変ぶりに、私は驚きと不信感で頭が真っ白になりましたが、「このままでは母の生活が守れない」と強く感じ、すぐに弁護士へ相談することを決意しました。
正式な遺産分割調停を申請しました。調停中は家族間で言い争いが絶えませんでした。弟は「父から直接言われた」と主張し、私は「そんな話は聞いていない」と反論する日々。
電話をするたびに険悪なムードになり、精神的に追い詰められました。書類のやり取りや手続きにも時間がかかり、約3カ月を要しましたが、最終的に預金は母・私・弟で均等に分け直され、事態はようやく落ち着きました。
今回の経験を通して、家族間だけの話し合いでは思わぬ不公平が起こることを痛感しました。遺産分割は必ず書面で確認し、専門家を交えて進めることが本当に重要だと感じました。また、感情的になりやすい相続問題こそ、冷静に第三者の意見を取り入れることが解決への近道だと分かりました。そして何より、元気なうちに遺言書などで「親の意思」を形に残しておけば、残された家族の絆を守る最大の防御策になるのだと、深く心に刻みました。
また、私自身にもまだ幼い子どもたちがいます。将来、彼らが私と同じように相続で争わないようにしようと思い、私は元気な今のうちから「遺言書」を準備することに決めました。財産の多い少ないに関わらず、分け方や想いを法的に有効な形で残しておくこと。それが、子どもたちの変わらない仲の良さを守るために、親としてできることをしておかなくてはと深く心に刻みました。
著者:岡田ゆか/30代女性/結婚10年目の主婦。2児の母。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
※生成AI画像を使用しています