長男を預けている実家から突然の着信が
数年前、次男を1歳児健診に連れて行く際に、実家で2歳の長男を預かってもらうことにしました。1時間ほどで健診も無事に終わり、実家へ戻ろうとしていたら、母から着信が……。「そんなに時間かかってないのにどうしたんだろう?」と思いながら電話に出る私。すると、「長男が寝起きで食べた子ども用のパンを詰まらせてしまって! 詰まらせたパンは全部吐き出したと思うんだけど、全然飲み物を飲まないの!! どうしよう!!」と母が慌てふためきながら長男の様子を説明してきます。
母が長男にあげていたのは、いつも家で与えているやわらかくて小さいパンでした。「えっ!? 長男は呼吸できてるの? 苦しそうにしてない?」と私が尋ねると、「苦しそうにはしてないんだけど、ひと言もしゃべらないし、水分をとらないのが心配で……」と答える母。私は、「今すぐ119に連絡して!」と伝え、「とにかく、今からすぐに帰るから!」と電話を切り、不安な気持ちを抱えつつ、私もすぐに実家へ車を走らせました。
実家へは車で5分。救急車よりもはやく到着しました。長男は少しぼーっとした様子で母の膝に座っており、「本当にごめんなさい。長男に何かあったらどうしよう……」と憔悴しきった母は、しきりに謝り続けます。その後すぐに救急車が到着し、長男は病院へ。病院の先生に事情を話し、レントゲンを撮ってもらいました。幸い、のどに詰まっているものはないと先生から言われ、胸をなでおろす私と母。先生の話によると、長男が飲み物を口にしなかったのは、のどにパンを詰まらせたことに驚いてしまって、一時的に何かを口に入れるのを拒否してしまったのではないかとのことでした。
その後、実家に戻ると、長男は何事もなかったように元気に遊び出します。「本当に今日はごめんなさい。おなかが空いてたみたいで、飲み物も飲まずに、どんどんパンを口に入れていたの……。早く気づいて注意してあげればよかったね」と母が反省の言葉を口にしました。私は「でもすぐに対処してくれて、連絡もちゃんとくれて助かったよ。ありがとう。心配かけてごめんね」と言って、疲れた顔の母と私は目を見合わせ、ふっとお互いの肩の力が抜けたのを覚えています。
子育て中は予想もしないことが起こりえます。今回は、長男が大事に至ることはありませんでしたが、誤えんしたものを吐き出させたあとも、母のように様子の変化をよく観察しなければ、気づかないうちに取り返しのつかないことになるかもしれないなと思いました。
ヒヤッとした体験後、長男は空腹になると口に食べ物を詰め込むクセがあることに気づきました。「今まではしていなかったから」「吐き出したから大丈夫」という思い込みは持たず、小さい子どもの食事にはしっかり注意をし、家族や預ける相手とも細かな情報を共有して子育てしようと考えさせられた出来事でした。
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お子さんが無事に回復し、また元気に遊び出したとのこと、本当によかったです。
お子さんがのどに物を詰まらせてしまったとき、慌てて指を口の奥まで入れてかき出そうとしてしまいがちですが、これはNG行為です。かえって異物を押し込んでしまい、より危険な状態を引き起こす可能性があります。もしお子さんがのどに物を詰まらせてしまったら、すぐに119番通報をし、以下の応急処置をおこなってください。
<意識がない、呼吸がない場合>
心肺蘇生(気道確保・胸骨圧迫)をおこないます。
※母子健康手帳に方法が記載されています。もしものときのために、日ごろから手順を把握しておくと安心です。
<1歳以上の子どもの場合>
腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)をおこないます。
①子どもの背中側から救護者の両手を回す
②みぞおちの前で両手を組み、勢い良く両手を絞ってぎゅっと押す
<1歳未満の乳児の場合>
①救護者が膝を曲げ(もしくは椅子に座り)、太ももの上に子どもをうつ伏せに抱きあげる
②子どもの背中の、肩甲骨の間のあたりを手のひらで5~6回強く叩き、詰まった食品を吐き出させる(背部叩打法)。
それでも窒息が解除できない場合や意識がない場合には……
③子どもをあお向けに寝かせ、心肺蘇生と同じように、左右の乳頭を結んだ線の中央で、少し足側を指2本で押す。
異物を誤えんするとすぐに咳の発作、窒息、えずき、気道閉塞が発生しますが、その後異物が詰まって反射が衰え、直後の刺激症状がおさまります。この無症状期が最も危険で、診断の遅れや異物の見落としの大部分を占めます。異物が出てきたかどうか、見落とさないよう注意してください。
また、今回のようにのどに詰まったものを自然に吐き出た場合でも安心せず、その後の様子を慎重に観察することが大切です。特に、呼吸が苦しそうであったり、顔色が青白くなったりする場合は、速やかに医療機関を受診してください。
飲み物や食べ物を拒否する場合は、のどに違和感が残っている、心理的ショックを受けているということが考えられるため、無理に飲ませたり食べさせたりせず、お子さんの気持ちを落ち着かせながら様子を見守りましょう。
咳が続いたり声がかすれたりするなど、普段と違う状態が見られる場合も、異物が気道に残っている可能性があるため、医師の診察を受けてください。
もし「病院に行くべきか」「救急車を呼ぶべきか」と迷ったときには、小児救急電話相談「#8000」を活用するのも一つの方法です。「#8000」は、地域ごとに小児科医や看護師などの専門スタッフが対応し、適切なアドバイスを行ってくれる相談窓口です。携帯電話や固定電話から「#8000」をダイヤルするだけでつながり、簡単に利用できるため、事前に番号を覚えておくと安心です。例えば、今回のように誤えん後に子どもの様子が普段と違うと感じたときや、夜間や休日に体調不良が起きたときなどにも役立ちます。専門家に相談することで落ち着いて次の行動を決めることができ、親としての不安を和らげる助けにもなります。
小さなお子さんの誤えんは、どのご家庭にもあり得ることです。誤えんした際の対処法、応急処置の方法、その後の注意点を事前に知っていることが、きっと実際に起きた際の冷静な対応につながります。日ごろから「#8000」などの相談窓口や緊急時の対応について家族で共有しておき、万が一の場合にも落ち着いて適切な行動が取れるよう備えておきたいですね。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:鈴木遼子/30代・ライター。7歳と6歳の年子の男の子を育てる母。毎日パワフルに活動する子どもたちに振り回される日々だが、大好きなコンビニスイーツを食べて体力を回復している。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)