義母に遭遇し、青ざめるママ友
近所の児童館で知り合った、気さくで話しやすいママ友Aさん。Aさんの子どももうちの1歳の娘と同い年ということもあり、すぐに打ち解けました。お互い保育園に預け始めてからは、1カ月~2カ月に一度、二人で仕事の休みを合わせてランチに行く仲に。しかし、次第にAさんの気になる「クセ」が見えてきたのです。
というのも、ランチの後、決まって会計の直前になると「ごめん、財布忘れちゃった」と言ったり「財布に小銭しかなくて……」と困った顔で言い出したりするのです。クレジットカード等も持たない主義のようで、「私が立て替えとくね」と言うのを待っているかのよう。しかも、立て替えた1回1,000~2,000円のランチ代を返さないまま、平然と次のランチの予定を組もうとします。それを繰り返されること3回。娘たちが仲良くしている手前、変に揉め事にもしたくありません。私は笑顔で誘いに乗っていましたが、心の中は複雑な気持ちでいっぱいでした。
そんなある日、またお金ないとか言い訳するのかな……と複雑な気持ちのまま、いつものようにカフェでAさんとランチをしていたときでした。
「え!? Aちゃん、なんでここにいるの?」と突然、私たちの席の横をすれ違った60代後半くらいの女性が驚いた様子で声をかけてきたのです。Aさんの顔が明らかに真っ青になっているのがわかりました。その女性は追い打ちをかけるように「あなた今日、副業があるから家の仕事は手伝えないって言ってたじゃない!」と言い放ちます。
その言葉を聞いた私は、「副業があるのになんで私とのランチ代払えないの……?」と思わず、心の声が口から出てしまいました。女性と私の問いにAさんは何も答えられません。しばらく沈黙が流れます。すると女性が静かに、「Aちゃん、今夜息子と3人で話をしましょう」と告げ、その場を立ち去りました。その後、Aさんは「ごめんなさい、さっきの女性なんだけど……」と静かに口を開きました。
どうやらその女性はAさんの義母だったよう。Aさんの義母は自営業をしているそうで、Aさんは家の仕事をいつも手伝わされているのだとか。しかしAさんは義母とそりが合わないようで、次第に「副業を始めた」と嘘をついて私とのランチを楽しむようになったと言うのです。そこで初めて、Aさんが「ごめんね、毎回お金がないと言ってたのは、出費があると家族に『副業の嘘』がバレるかもと思ったからなの……。いつか返さなきゃとは思ってたけど、返金したらその出費で結局家族にバレるから、返すタイミングもわからなくて……」と、支払いを私任せにしていた理由を教えてくれたのでした。
その日は嘘をつかず、ランチ代を支払ったAさん。数日後、Aさんからは「ランチ代、返せてなくてごめんなさい……」と謝罪とともに未払いのランチ代、総額約6,000円分が返金されました。私は、「いいよ」と笑顔で受け取りましたが、この一件をきっかけに、Aさんからは距離を置かれており、保育園や児童館で会えばあいさつするだけの、一線を引いたママ友という関係になっています。
嘘をついてまでランチをしていたということは、Aさんには、もしかすると相当なストレスがあったのかもしれません。あれからAさんと義母の関係がどうなったのかもわからず、少し心配な気持ちもあります。しかし、だからと言って、私に「財布を忘れた」と嘘をついて支払いを押しつけていい理由にはならないと思います。ストレスの逃げ口を作ることも大事ですが、誰かに一方的に迷惑をかけることのないように、私は節度ある行動をしようと思った出来事でした。
著者:小西希実/30代・自営業。好奇心旺盛な1歳の娘を育てる甘党ママ。夫と娘との3人で暮らしている。ダイエットを宣言しながらも、お菓子の誘惑に勝てない。
作画:ryo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)