

“家庭的な彼女”になりたかった
夫と交際を始めた当時、彼は典型的な独身男性のひとり暮らしという感じでした。自宅の冷蔵庫の中身といえばビールとコンビニ弁当ばかり。「私が支えてあげなくちゃ」という使命感が湧いてきて、週末に彼の部屋で手料理を振る舞うのが日課になっていました。
肉じゃがに豚汁、オムライス、からあげ……。いかにも家庭的な女性をアピールできそうな定番料理で、彼の胃袋を掴もうと頑張っていた私。今思えば、「料理上手な彼女」気取りだったと思います。
まさかの発言に場が凍る
ある日のこと。彼と共通の友人たちと集まったとき、私の手料理の話題に。友人の1人が何気なく「○○(私)が作る料理で、何が一番好きなの?」と彼に質問しました。
私は内心、「これは私が“料理上手で、家庭的な彼女”だと思われるチャンス!」とほくそ笑みながら、「肉じゃがかな? それともオムライス?」なんて予想しつつ、彼の答えを待っていました。
そんな私の淡い期待を打ち砕いて、彼が即答したのは、まさかの「サラダ」。
一瞬、時が止まった感じがしました。私が作るサラダというと……キャベツを切って市販のドレッシングをかけただけの簡単なもの。たしかに毎回「一応野菜も」的な感じで用意してはいたけれど、それを「一番好きな手料理」と言われるとは思っていませんでした。
友人たちも「え? サラダ? サラダ(笑)」とじわじわツボに入り始め、盛大に笑い始めました。彼は本心で私がつくるサラダが好きで言ってくれたようでしたが、当時「料理上手な彼女」気取りだった私は、正直、穴があったら入りたい気分でした。
以来、そのメンバーと顔を合わせるたびに「最近サラダ作った?」と言われるように。もはや「私=サラダの人」という不本意なキャラが定着してしまいました。
“手抜き料理”こそが私の真骨頂?
時は流れ、彼の妻となった今、夫にあのときと同じ質問をしてみたところ……。夫の答えは「ねぎマリネ」でした。ねぎを斜め切りにして調味料に漬けただけ。これまた包丁で切っただけ系じゃないですか。
もう認めざるを得ませんでした。きっと、私は料理が得意ではないのです。「手間をかけない素朴な味」が私の真骨頂なのかもしれません(涙)。
きっと恋愛や結婚って、相手に良く見せようと無理をするより、ありのままの自分を受け入れてくれる人と一緒にいるほうが幸せなのだと思います。これからは堂々と「得意料理はサラダです」と言いたいと思います。
著者:岡田圭/30代女性・新卒で編集プロダクションに入社後、女性誌やウェブを中心に恋愛や人間関係などのテーマで数多くコラムを執筆。
作画:あさうえさい
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)
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