こんにちは。助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。
母乳をあげていると、虫歯になりやすいといわれていますが、本当でしょうか?
歯が生えてきても、安心して母乳育児が続けられるように、ラクに虫歯予防できる方法をお話しします。
母乳は虫歯の原因になる?
母乳相談の中に、お子さんに虫歯ができて、母乳のせいだからと歯科医に断乳をすすめられたというお話がありました。母乳が虫歯の原因なのでしょうか?
実は、母乳に含まれている乳糖からは、虫歯の原因となる酸は生成しないといわれています。
しかし、離乳食が始まり、食物の残りカスなどに母乳の乳糖が混じると、急に虫歯のリスクが上がってきます。母乳だけでは、0.01%だった虫歯のリスクが、食物の糖分(しょ糖)が加わると、1.3%になったという研究データがあります。特に睡眠中に、口腔内は虫歯になりやすい環境になるため、寝る前はしっかり食物のカスを残さないようにしてから授乳することが大切です。
虫歯になりにくいお口の環境をつくろう
・普段からの甘いものに気をつけよう
市販のお菓子やジュースなどは、赤ちゃん用であっても砂糖の入っているものが多くあります。しかし、おやつ(間食)はお子さんの楽しみだったり、栄養の補足のためには必要なことも。市販のお菓子やジュースを与える場合は、砂糖不使用のものや、できるだけ糖分の少ないものを選ぶようにしましょう。
・歯に食べカスを残さないように
食事やおやつ(間食)の最後にお茶や白湯を飲んで洗い流すようにしましょう
・ずっと食べ続けない
口の中のPHは、食事が始まると食べ物に含まれるしょ糖によって酸性に傾き、虫歯になりやすい環境になります。そして、食事の時間の合間に修復されます。食事やおやつ(間食)は時間を決めてダラダラと食べないようにすることが大切です。
効率的な歯みがきで時短テクニック
寝ている時間は唾液の分泌が減るため、口腔内が虫歯になりやすい環境になってしまいます。寝る前の歯みがきが1番重要で、1日1回、この時間の歯みがきだけでも十分とされています。
歯みがきを嫌がる赤ちゃんの場合、お互いに憂鬱な時間になってしまうこともあるかもしれませんが、虫歯のリスクが高い部位を知って効率的に歯磨きをしてあげましょう。
【虫歯のリスクの高い部位ランキング】
1位…上の前歯 (上唇を持ち上げて表裏を横磨きしましょう)
2位…上の奥歯のほっぺた側(指を入れて広げて横磨きしましょう)
3位…下の奥歯の舌側
下の歯は最初に生えてくるので、ついつい先に磨きがちですが、唾液などで虫歯になりにくいので、最後にするようにしましょう。
歯医者さんにいって虫歯予防
歯が一本でも生えてきたら、小児歯科のあるところで健診を受けてみましょう。お子さんの対応に慣れている医師や歯科衛生士が子どもの歯の健康をサポートしてくれます。
最初は泣いてしまう子も多いですが、お母さんと一緒だから大丈夫。口をあーんとあけることに慣れることも大切です。
歯医者さんを身近に感じることが虫歯予防のひとつになります。また、お子さんの個性や歯の生え方に合わせた歯みがきのアドバイスを受けたり、定期的にフッ素を塗ってもらうことで、歯も虫歯に強くなります。
母乳育児は、顎の発達を良好にし、歯並びを良くするといわれています。歯が生え始めても、離乳食が完了するまでは出来るだけ長く母乳育児は続けていくことが大切です。今回は、母乳育児の視点から虫歯予防のお話をしましたが、ミルクで育っているお子さんでも共通することです。お母さんやお父さんも一緒に虫歯予防をして、小さいころから習慣をつけるようにしましょう。
※引用・参考文献
母乳育児支援を学ぶ北関東教室2016 資料集
青葉達夫「長期授乳のための歯・口腔の衛生について」