不妊治療を思わぬ形で知られた日
不妊治療のことは、家族以外には話さずにおこうと決めていました。診察も、ごく限られた日時にこっそり通っていました。ところがある日、通院した帰り道で、PTA会長を務める保護者の方に偶然会ってしまいました。
私は「個人的なことなので、他の方にはお話ししないでいただけると助かります」と丁寧にお願いしました。しかし後日、PTAの会合で、私が不妊治療をしていると推測されるような話題が口にされた、と別の保護者の方から聞きました。
さらにその際、「子育ての大変さは実際に出産した人にしかわからない」といった趣旨の発言があったとも伝え聞き、胸が締めつけられるような思いになりました。
私は「出産経験はなくても、娘を育てている」という気持ちを言い返したい気持ちでいっぱいでしたが、相手の保護者のお子さんとうちの娘は同じクラス。娘の学校生活に影響が出てはいけないと考え、言葉を飲み込みました。家族にも心配をかけたくなくて、この件は黙っていました。
娘から届いたメッセージ
数日後、学校から帰った娘が、少し真剣な表情で言いました。
「ママ、この前のPTAで何かあったでしょ?」
私は驚き、「特に何もないよ」と答えましたが、娘は続けました。
「大丈夫。私に考えがあるから、任せてね」
どうやら、会合の様子を別の子どもから聞いたようでした。私は不安もありましたが、「無理しないでね」とだけ伝えました。
授業参観の日、胸を打つ作文
それから2週間後、授業参観の日がきました。気持ちは重かったものの、私は学校へ向かいました。この日は子どもたちが事前に書いた作文を読む時間もありました。
やがて娘の番になり、私は後ろの席から見守りました。娘はしっかりと前を向き、作文を読み始めました。
「私のお母さんは、私が小さいときに亡くなりました。でも、寂しいと思ったことはありません。今のお母さんが、ずっとそばにいてくれたからです。この前、PTAでお母さんのことが話題になったと聞きました。血がつながっているかどうかじゃなくて、私は今のお母さんが大好きです。私にとって世界で一番大事なお母さんです」
その瞬間、私は胸がいっぱいになり、娘が言っていた「作戦」がこれだったのだと気付きました。教室には温かい拍手が広がり、会合で話題にしたとされる保護者の方は、静かにその場を離れました。
その後、私に対して出産経験や子どもの有無を引き合いにした言動はなくなりました。後日、別の保護者の方から「娘さんの言葉に救われた」と伝えられたと娘が話してくれました。
今回の出来事は、娘のために我慢するしかないと思い込んでいた私が、逆に娘に支えられた経験となりました。不妊治療はこれからも続けるつもりですが、まずは目の前にいる娘に、今まで以上にしっかりと寄り添っていきたいと思っています。
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授業参観という日常の場面で、娘が自分の言葉で家庭への思いを伝えたことは、周囲の空気を穏やかに変える大きな力になりましたね。誰とも対立せずに状況を改善できただけでなく、親子の絆がより深まるきっかけにもなったのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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