自信たっぷりママからの侮辱
デパートの特設キッズスペースで行われた、サンタクロースとの撮影会。私は当時3歳の娘を連れて、そのイベントに行きました。そこでたまたま、同じ幼稚園のクラスに通う女の子のママ・Aさんと居合わせたのです。
Aさんはクラスのなかでもリーダー格という感じで、いつも全身ハイブランドで着飾り、自慢話が多く、自分の育児方針がすべて正しいという前提で話す人で、地味なタイプの私はあまり話したことがありません。
娘は、サンタさんに渡すために私と一緒に作った手作りのフェルトオーナメントを持って、「はやくサンタさんに見せたい!」と楽しそうにしています。しかし、それを見たAさんは、周りの人にもはっきりと聞こえるような大きな声で「あら、それ手作り? ちょっと安っぽくて残念な仕上がりね。うちの娘ならそんなの恥ずかしくて持ちたがらないわ」と急に話しかけてきたのです。しかも「クリスマスって、子どもにとって一生の思い出なんだから、母親ならもっと豪華に演出してあげないと」と私に説教までしてくる始末。
娘はせっかく作ったオーナメントをばかにされて、うつむいてしまいます。私が「これ、娘と一緒に作ったものなんです……」と伝えるも、Aさんはスルー。その後も攻撃は止まりません。
「ところで、今年のクリスマスプレゼントは何にするの? うちは例年、有名ブランドのおもちゃや服にしてるの。娘もすっごく満足してるわ」「やっぱり、こういうイベントは、ちゃんとお金をかけてあげたくなっちゃうのよねぇ」「あ、ごめんなさい! お給料とかに余裕がないと、なかなか難しいか。パパ、パートさんだったっけ?」「低賃金だと質素になっても仕方ないわよね」と、わが家が裕福ではないとか、夫の仕事内容などを、一方的に決めつけられて侮辱してきたのです。
「夫は正社員ですけど……」と反論しつつ、そこまで言われると怒りと悲しみを通り越した私。娘も不安そうにしていたので、私はそれ以上言い返すことはやめて、その場を立ち去ろうとしました。
するとそのとき、「Aさんあのね」と誰もが聞き取れるはっきりとしたトーンで後ろから誰かが話しかけてきました。たまたま同じ撮影会に参加していた、幼稚園の年長さんのママ・Bさんです。Aさんに近づき、「クリスマスって、見栄や値段を競うもの? その手作りオーナメントには、見栄だけで買うブランド品よりも価値が詰まってると思うわ」とはっきり言ってくれたのでした。
Aさんが私に向けて言ってきた数々の言葉をその場で聞いていた、周囲の親子連れの方たちも「そうだよね」「手作りのものって思いが詰まってて素敵」と口々に言ってくれたのです。
Bさんの言葉や周囲の人たちの反応に一瞬で顔が青ざめ、言葉を失うAさん。Bさんは私に微笑みかけると、「気にしなくていいからね。プレゼントは値段じゃないわ、子どもの笑顔が見られるのが一番よ!」と言ってくれたのです。
Aさんは「さらし者にするなんてひどいわ」と言うと、娘を連れて足早にその場を去っていきました。しかしどちらかと言うと、勝手に低収入と決めつけられ、さらし者にされたのはわが家のほう。Bさんの勇気あるひと言のおかげで、私の心と、その場の重い空気を救ってもらえ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
もちろんお金をかけて買ってあげるプレゼントも素敵だと思います。しかし、Aさんのように、自分の価値観を他人に押し付けてはいけないと改めて感じました。プレゼントは値段や豪華さではなく、子どもが心から喜んでくれるか、笑顔も見せてくれるかを大切にしていこうと思います。
著者:長嶺りょう/30代・主婦。4歳の女の子を育てるママ。寝る瞬間までおしゃべりを続ける娘の横で白目を剥きながら、大好きな推しのことを考えて現実逃避中。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)