保育士さんに、夢子の足の長さが左右で違うことを指摘され、母は急いで夢子を連れて受診したものの、何軒病院をまわっても、原因は判明しませんでした。
母は、父に大反対されながらも、自宅からは遠い大きな病院に夢子を連れていき、そこでようやく夢子の病名が骨の軟骨部分に腫瘍ができる「オリエール病」と判明。足の長さの違いはその腫瘍によるもので、腫瘍は悪性ではなさそうなものの、治療をせずに放っておくと、歩行が困難になるケースもある、と言われたのです。
次の受診には、治療方針を決めるために父も同席。医師は「腫瘍をそのままにして経過観察をするか、治療をして腫瘍を取り除くか、ご両親に選択してほしい」といいますが、「私たちは専門家ではないので判断できない。先生にすべて一任します」と父。すると医師は少し考えたあと「3才の夢子ちゃんには手術は酷。左右の足の差が5㎝になったら治療を始めましょう」と言い、しばらくは経過観察をしていくことになったのです。
夢子の足は経過観察のまま、2年が過ぎ…














経過観察として年に何度か、病気を見つけてくれた大きな病院に通っていた夢子と母。ある日、5才になった夢子と母に、医師が「夢子ちゃんの左右の足の差が5㎝になりました。治療を始めましょう」と告げたのです。
治療を始める――。それは、夢子が入院をして手術をし、リハビリを受けるということです。それには半年くらいかかり、5才の夢子には母の付き添いも必要です。それを父に相談すると「半年!?その間、俺たちはどうなるんだよ」とひと言。
母は、その間は祖母が保育園の送り迎えや食事作りなどのサポートをしてくれると父に伝えると、ホッとした様子を見せた父ですが、「大前提として…夢子の足って治療しなくちゃいけないんだよな?」と言ったのです。
母は「夢子の足、左右で5㎝も違うんだよ?このままだと歩けなくなっちゃう…:」と悲しい顔を見せました。
-----
「半年!?その間、俺たちはどうなるんだよ」「夢子の足って治療しなくちゃいけないんだよな?」という父の発言…。夢子の足よりも、自分が不自由な思いをすることのほうが気になっているようで、父親としてどうなのか?と思ってしまいます。母が、夢子を遠くの病院で診てもらいたいと言ったときは大反対し、受診の間、長女と三女を見てもらえないかとお願いしたときは断った父…。
幸い、夢子ちゃんの家の近くには祖母の家があり、協力を得られているようです。
しかし、もし身近に頼れる人がいなかったら―そう考えると、決して他人事とは思えません。子どもの治療や入院は、想像以上に家族の負担が大きいものです。仕事が忙しい、生活を守らなければならない事情があるとしても、「誰かがやってくれるから」と役割を委ねきりになってしまうと、家族の気持ちは少しずつすれ違ってしまうのかもしれません。
病気そのものだけでなく、困難な状況に直面したとき、家族がどう向き合い、どう支え合うのかを問いかけているように感じました。夢子ちゃんが治療を乗り越えられることを願うと同時に、家族全員が同じ方向を向くことの大切さを、改めて考えさせられますね。
なお、オリエール病という病気は、多発性内軟骨腫症とも言い、成長盤の軟骨細胞に腫瘍ができるという、たいへん稀な病気です。身長が伸びるためには、骨の末端近くにある成長盤の軟骨が増えて、骨が長くなる必要があるのですが、この成長盤の軟骨に腫瘍ができると、正常な成長が阻害されてしまいます。オリエール病は、この現象が片側半身のみにおきるのが特徴であるため、左右で足の長さが違うということが起きるのです。痛みが出る、骨がもろくなって骨折しやすいなどで歩行に問題が出ることもあり、治療には複数回の手術が必要です。足の長さが違うなど、異変に気づいたら、早めに受診をしましょう。
つきママさんの連載は、このほかにもブログで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
つきママ